2012年10月19日

toujyouka016.jpg 女姓婚のアンケート

結婚して妻の苗字を名乗る「女姓婚」なるものが、
ときどき話題になることがあります。
産経新聞が、ネットで女姓婚についてアンケートを取ったので、
それをご紹介したいと思います。

「女姓婚 「賛成」が約7割に」
「増える「女姓婚」 子育て、夫婦生活はうまくいくか?」

 
(1)女姓婚に賛成か
69%←YES NO→31%

(2)少子化対策に役立つか
29%←YES NO→71%

(3)婚姻で名字が変わることに抵抗があるか
54%←YES NO→46%

結果を見ると、賛成が7割近くをしめています。
夫婦別姓よりは、抵抗がすくないことがわかります。
女姓婚も夫婦同姓であり、現行民法下で法律婚ができるからでしょう。

賛成意見を見て行くと、やはり「女性にはプラス」と
考えているかたがいることがわかります。
苗字を変えないですむことは、メリットなのであり、
結婚改姓は不利益であることを、しめしていることになるでしょう。

また、反対意見のひとつ目は、「どちらかに合わせるのではなく、
自分の名字をキープできるほうがよい」という意見になっています。
これは、女姓婚よりも夫婦別姓がよいと考えている、
ということで、反対の中にはこうしたかたも
ある程度含まれているのだろうと思います。


ほかの反対意見を見ると、「長男が結婚して嫁の姓を
名乗ったので悔しくて眠れなかった」と言っている人がいます。
おおげさだと考えるかたもいるかもしれないですが、
こう考える親も、結構いるように思います。
これは、女性に改姓させて夫の苗字を名乗らせることが、
男性の「既得権」であることを、しめしているわけです。

また、「なにやら世の中、弱い男性と強い女性を育てる方を
向いているようだ」などと言っている人がいます。
ここでは結婚改姓をさせるほうが強い立場であり、
男性のほうがその「強い立場」でなければならない
という考えを、現していることになります。

あとの反対意見ふたつも因習主義から来るものであり、
結婚したら男の苗字を名乗るという現状を維持せよ、
という主張にほかならないものです。


アンケートでは反対の人は3割ほどいますし、
決してすくないとは言えないだろうと思います。
「結婚したら、女が改姓して男の苗字を名乗って
夫婦同姓でなければならない」という考えが、
それだけ根強いことをしめしているのだと思います。

「男女どちらの苗字でも選べるから現行民法は男女平等だ」と、
とくに選択別姓の反対派は言います。
ところが、これが口先だけの男女平等で、
内実のともなわないものであることを、
かかる女性の苗字を名乗ることへの反発が、
あらためてしめしていると言えます。


>永池栄吉へのインタビュー

さらに、ウェブアンケートに連続して、
つぎのインタビュー記事が書かれています。
登場するのは、ひとりは『女姓婚のすすめ』を書いた伊達蝶江子氏で、
もうひとりは、おそらく反対意見を述べる人として
招いたであろう、永池栄吉氏というかたです。

「増える「女姓婚」 子育て、夫婦生活はうまくいくか?」

それで、この永池氏なのですが、「父親の役割」とか
「父親という社会基盤を大切にしろ」とか、
そんなことばかり言っているのです。
まるで、林道義の『父性の復権』のようです。
この内容自体にも、批判するところはたくさんあるでしょう。


しかしそれよりも、肝心の女姓婚とどう関係があるのかと、
思うところではないかと思います。
といっても、想像するのは容易だと思います。
「父親の役割があるから、女が改姓して男の苗字を
名乗らなければならない」と言いたいのでしょうね。

「女が改姓して男の苗字を名乗るべきだ」と直接言ったら
差別と言われるのを警戒しているのでしょう。
それで「父親の役割」を強調して、「女が改姓するべき」と、
正直に言うのを避けているのだと思います。

これだけ「父親の役割」を強調していて、
「男女平等の世なので、名字の選択は個々のケースで、
お互いが納得すればいい」などと言われても、
しらじらしいだけだと、わたしは思いますよ。


また永池氏は、日本人は「祖先から受け継がれた命を含めて、
一体としてつながっていると考えてきた」とも言っています。
これはたぶん、苗字は「祖先から受け継がれた命」の
つながりを示すから、男の苗字を名乗らなければだめだと、
言いたいのではないかと想像されます。

そうだとしたら、苗字が変わる女性は、
祖先から受け継がれた命など、どうでもよいのか?という疑問が、
すぐに出てくることは言うまでもないでしょう。

posted by たんぽぽ at 19:21 | Comment(4) | TrackBack(0) | 民法改正一般 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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この記事へのコメント
>苗字が変わる女性は、
>祖先から受け継がれた命など、どうでもよいのか?
どうでもよいのでしょうね。
日本の父権主義は中国に由来することは誰でも知っていることですよね。何しろ神道最大の神様が女神様(太陽神)なのですから。その中国の友人の家系図を見たことがあります。女性の名前は、子ども以外書かれていません。つまり、「妻の名前は書かれていません」。由来する国の、特に特権意識の高い人(具体的には書けませんが元貴族の血統の持ち主たち)がそのようにしているのですから、つまりはそういうことだと思います。

それにしても、少子化なのに「片方の苗字しか名乗らせない」というのは苗字の歴史にとっては自殺行為だと思います。無くなっていく苗字も多いということですから。そのうち、日本の苗字も中国や韓国のようにバラエティに欠けたものになることでしょう。

想像してみました。そうなったら韓国人のようにフルネームに「氏」ってつけないと誰が誰だかわからなくなるかもしれませんね。あ、もしかしたら最近の「キラキラネーム」(個性の強い名前)ブームはそれを防止するいい策なのかもしれません。
Posted by mmm at 2012年10月19日 19:54
このエントリにコメント、ありがとうございます。

>>祖先から受け継がれた命など、どうでもよいのか?
>どうでもよいのでしょうね。

改姓する女性のことがまったく念頭の外なのが、
「苗字で先祖とつながる」と言っている人たちの
いやなところですよね。

>日本の父権主義は中国に由来することは誰でも知っていることですよね

そして、近代のイエ制度はヨーロッパ由来。
それにもかかわらず、「日本の伝統」なんて言うんだから
(アンケートでも、そう答えている人がいる)、
とんだラーメン保守にしてスパゲッティ保守です。


>そのうち、日本の苗字も中国や韓国のようにバラエティに欠けたものになることでしょう。

いまのところ、「苗字の数が減って困る」という主張は、
反対派はもちろん推進派からも聞かないですね。

嫌韓厨やネトウヨも、韓国や中国の苗字のバラエティが
すくないことを、とくにあげつらうことはないようです。

本当に日本人の苗字の数が減って来たら、
なにか言い出す人が出てくるのかもしれないですが。
Posted by たんぽぽ at 2012年10月20日 23:04
>嫌韓厨やネトウヨも、韓国や中国の苗字のバラエティが
>すくないことを、とくにあげつらうことはないようです。
それは、おそらく日本には「同じ姓の持ち主同士(または同じ姓であり同時に同じ「系統」)は結婚できない」という社会的なルールがないからです。このルールがある状態で姓の種類が少ないと、実害が本当にあります。
Posted by mmm at 2012年10月23日 20:11
またまたコメントありがとうです。

>「同じ姓の持ち主同士(または同じ姓であり同時に同じ「系統」)は結婚できない」

韓国にはそういうルールがあるのは、わたしも聞いています。
法的には結婚できるみたいだけど、抵抗のある人も多いとか。

でも、このような日本人には理解しがたいルールがある、
ということは、やはり嫌韓厨どもがあげつらうもとに
なりそうに思うけれど。
(このルールをあげつらった、というお話はないようですね。)
Posted by たんぽぽ at 2012年10月24日 18:38
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