すこし前ですが10月16日に起きた、アメリカ兵による
沖縄の女性に対する暴行事件について、お話しておきます。
(たんぽぽ、これについてお前はなにか言うことはないのか?と
思っていたかたは...いないかな...)
「沖縄:米兵2人が女性に性的暴行 強姦致傷容疑で緊急逮捕」
「沖縄 米兵2人女性暴行 集団強姦致傷容疑」
軍隊なんて、基本的に「男社会」です。
また、組織体質は任務の性質上、どうしても非民主的になります。
たくさんの軍人が隣り合わせでいる以上、
いかに規律を正し、厳罰化を徹底したところで、
こうした事件は一定の頻度で起きうるのだと思います。
こういう事件が起きると、とうぜんのことながら、
女性団体などが、アメリカ軍や日本政府に対して、
猛烈な抗議をすることになります。
「米兵女性暴行:首相官邸前で抗議集会」
「沖縄における米兵性暴力事件への抗議文」
それから、日米同盟を重視する人や、いわゆる「国士さま」たちは、
アメリカ軍を擁護しようとして、セカンドレイプをしたり、
デマを流したりする、というのもお決まりのようです。
「あまりにもタイミングが良すぎる沖縄の米兵強姦事件」
「田母神俊雄氏がセカンドレイプ&デマ発言で炎上」
そして、アメリカ軍・日本政府や、上述のセカンドレイプや
デマを流す人たちに対して、批判のエントリを
ウェブログに書く人たちが、出てくることになるわけです。
たとえば、こんなふうに。
「セカンド・レイピスト再び」
「産経は沖縄の米兵犯罪を無視する気か【追記あり】」
「沖縄で何人の女性がレイプの被害を受ければ米軍と米日両政府は反省するのだろう?」
「普天間を閉鎖撤去させ土地を返してもらう」
「産経新聞コラムニストの沖縄女性へのセカンドレイプ」
沖縄の基地問題や、性被害のセカンドレイプに関しては、
関心のある人たちがたくさんいるので、
このように記事もたくさん書かれるのでしょう。
これくらいいっぱいあれば、わたしが書くことは、
もうなにもない、という感じですね。
いまから4年半ほど前、2008年の2月にも、
在日アメリカ海兵隊による女性への暴行事件があったとき、
花岡信昭がセカンドレイプ発言をしたり、
クライン孝子が陰謀論を展開したりしたのでした。
それでわたしは、今度もおなじことをする人は
出てくるのではないかと思ったのでした。
大手メディアではなかったようですが、
個人ブログでセカンドレイプや陰謀論を書く人はいたわけです。
(井上政典のブログや田母神俊雄のツイートを見たときも、
わたしには意外性はなかったですね。
4年半のあいだに、わたしも擦れたのでしょうか。)
井上政典氏は、今回のアメリカ兵による強姦事件について
「あまりにもタイミングが良すぎる」などと書いています。
このところは、沖縄のアメリカ軍基地に関しては、
ほとんどいつも確執やトラブルが続いています。
なので、いつこのような事件が起きても、
「タイミングがよすぎる」ことになるだろうと思いますよ。
在日アメリカ軍による女性暴行事件が起きると、
日米同盟の維持を是とする人たちは、どうしても分が悪くなります。
女性に対する性犯罪はどうやっても悪です。
そして、米兵による強姦が起きるのは、米軍基地の存在が
そもそもの原因だと、主張されることになります。
アメリカ軍の擁護はあきらかに困難でしょう。
「日本の安全保障のために、日米同盟は必要です」などと
こんなところで説いたところで、現実にアメリカ兵によって
強姦被害が出ている以上、被害者にとっては、
米軍の存在のほうが脅威ですから、説得力は感じられないことです。
それでときおり、「小さな強姦事件」と性被害を矮小化したり、
被害者にも問題があった、などとセカンドレイプをしたり、
あるいは、「美人局(つつもたせ)」のしわざだなんて
まがまがしい陰謀論を持ち出したりするという、
醜悪な議論を展開することになるわけです。
「国士さま」の反応も、日米同盟維持派とおなじようですね。
それで「日本人の女性がアメリカ人に襲われたのに、
なんでアメリカ人の加害者を擁護するのか?
それこそ反日的であり売国奴ではないのか?」というのが、
こうした場合によくある批判だと思います。
わたしが思うに、日本の国粋主義というのは、
アメリカの権威のもとで、それを否定しない上で存在しうるという、
屈折したナショナリズムとなっているからでしょう。
太平洋戦争の敗北とその後の日米関係のせいでしょうが、
おそらく、彼ら日本の国粋主義者たちは、
「アメリカに生かせてもらっている」という意識が
あるのではないかと思います。
それで、彼らのナショナリズムは、アメリカにだけは
絶対に逆らわないのだろうと思います。
大国の影響によって、ナショナリズムが屈折するのは、
ナチス占領下のフランスとか、他にもいくつか例はあるようです。
特に田母神氏は「元軍人」なのだからそういうことを説得力もって語れる専門家のはずでしょうに、それがおかしな陰謀論を唱え出すのは何か後ろめたいことがあるのでしょうかね。
>警察官による犯罪が起きても警察そのものが
>不要になるわけではないのと同じように
>在日米軍は必要なのだと普通に言えばいいと
それがオーソドックスというか、正攻法の議論なのでしょうね。
でも、在日米軍は撤去するべきだ、という論調はとても強いので、
そういう議論展開がやりにくいのはあると思います。
在日米軍の存在の正当化を試みると、反発が猛烈なだけでなく、
強姦事件を擁護しているとも批判されかねないでしょう。
それで強姦事件のほうを矮小化しようとしたり、
あるいは強姦の非道さは否定できないというので、
なにかの陰謀を仮定したりするのだろうと思います。