すこし遅くなりましたが、これに触れておきたいと思います。
陸山会事件で、政治資金規正法違反で強制起訴されていた
小沢一郎氏が、12日に2審も無罪となりました。
「小沢一郎氏、二審も無罪 陸山会事件で東京高裁判決」
「小沢一郎氏、2審も無罪…虚偽記入の共謀認めず」
指定弁護士は19日に上告をあきらめました。
これで陸山会事件は、すべて決着がついたことになります。
「厳しい月日だったと小沢代表 無罪確定で記者会見」
「小沢氏「忍耐の毎日だった」 無罪確定で」
めでたく解決したことは、なによりよかったと思います。
やましいことなどなにもないのに、怪しげな証拠だけで
長いこと被告の立場に立たされることの心理的負担は、
相当に大きかったのではないかと想像します。
無罪判決に関しては、とうぜんのことと言えるでしょう。
小沢氏が有罪とする証拠はつぎつぎと切り崩され、
調査報告書にもねつ造があるなど、捜査はきわめてずさんでした。
本来なら、1審の無罪判決を受け止めるべきで、
控訴に踏み切ったこと自体、無理があったのでした。
つぎの記事は事件の経緯について、くわしく書いてあります。
「陸山会事件:小沢一郎代表、2審も無罪 特捜捜査、迷走のツケ 矛盾つく証拠少なく」
この裁判は、メディアがあおった要素も大きいと思います。
とくに1審のころは、メディアはなにかにつけて、
「政治とカネ」とか、「説明責任」「政治責任」と言い続けていました。
メディアの論調に釣られて、小沢は有罪だと思っていた人も
(有罪とする証拠が崩されていたにもかかわらず)
多かったのではないかと思います。
検察が描いたストーリーにメディアが乗っかったのですが、
彼らも最初から、「小沢は有罪」と決めてかかっていたのでしょう。
メディアによる小沢バッシングのひどさは、
報道被害の域に達しているという指摘もあるくらいです。
「小沢代表無罪確定 強制起訴では初」
2審の無罪判決後は、メディアはおとなしめになったようです。
それでも無罪判決がおもしろくないのか、納得しきれないのか、
小沢氏はすべての責任を果たしていないとか、
疑惑がすっかり晴れたのではないとか、
往生際悪く小沢叩きをする論調も、すこし見られました。
小沢氏を有罪だと信じて指定弁護士を支持していた人たちや、
メディアの小沢バッシングに便乗していた人たちは、
「小沢が嫌いだ」とか「どうせ黒いに決まっている」
といった決め込みや、小沢氏の政治的スタンスが
気に入らないといったことではないかと思います。
今度のことは、そうした感情的反発や政治的思惑で、
司法を利用してはならない、という教訓にもなったと思います。
(すくなくとも、無罪判決を下した側は、証拠にもとづいて
公正な判断をしたのであり、感情論や政治的思惑で
無罪にしたのでは、もちろんありません。)
つぎの社説はよく書けていると思います。
検察審査会の強制起訴という制度の懐疑をはじめ、
一歩間違えれば冤罪の可能性まであったことや、
2審の無罪判決後の一部の報道機関の姿勢にまで言及されています。
「小沢氏無罪確定 検察制度の抜本見直しを」
陸山会事件でもっとも深刻と、わたしが考えることは、
検察によって小沢氏の政治活動と民主党政権の運営が、
いちじるしく阻害されたということです。
検察は、国民が選挙で民主党政権を選び、
小沢氏が首相になることが気に入らなかったので、
邪魔立てをした、ということだと思います。
つまり、官僚による議会制民主主義への干渉です。
どのような政権であっても国民が選んだ以上、
そのもとで官僚は、忠実に職務をこなさなければならないという
行政の中立性への侵犯でもあります。
そしてこれによって、民主党ないし小沢政権を
選ぼうとしていた、日本の有権者たちは、
莫大な損失を受けたことになるわけです。
いったいだれがどうやって、この損失を保障するのでしょうか?
付記:
1審の無罪判決のときのエントリ
「小沢一郎に無罪判決」
「小沢一郎控訴される」
根本的な問題が解決されておらず、あれ?あれ?と肩透かしを食らっています。
政党内でのグループでは名義を立てられないということですが、個人名義で事務所や書類保管所を作ってしまうことに問題が発生するのではありませんでしたっけ…そこの解決が全然なされていないところに不満を感じています。他の政党にあるグループも同じことをしているのではありませんか、と。
小沢氏のその負担が、他のメリットを生まなかったところがとても残念です。ここまで大ごとになるならそこまで話を回してほしかったのですが。しかしもっと長期化(他の裁判と同じように、10年、15年と)すると思っていたので、あっさりと終わって私は驚いています。
なんにしても、どんな問題が起きてもその問題を起こさせるシステムをすっかり変える、という方向にはどうやら絶対にいかないことだけはわかりました。そりゃこんなままなら、どんな政治家も黒くなると思います。
結論。裁判は、何も改善しなかった。
これは「小沢は黒い」と思っている側の、「理解責任」だと思いますよ。
「黒い」と思っている人たちが、それが根拠のない思い込みに
すぎないことに納得しなければ、いつまで経ってもその人の中では
「なにも解決しない」のだと思います。
客観的にはこの事件は解決していることです。
裁判結果がすべてを物語っています。
>小沢氏のその負担が、他のメリットを生まなかったところがとても残念です
メリットなんてないでしょうね。
あらぬ疑いをかけてバッシングしたところで、
まったく不毛だということを示しただけだと思います。
>あっさりと終わって私は驚いています
それだけ「黒い」とする根拠がとぼしかったということですよ。
http://www.asahi-kasei.co.jp/maison/ma-net/archives/2010/03/post_282.html
実はこんな感じで、「物納」がアテにならない土地というのも存在したりなんかするので、これから人口が減っていく時代にはそういった土地の受け皿に「政党」もいいんじゃないかと思ったりなんかしています。
そういえば、私の住んでいる辺り(たんぽぽさんにはIPかなんかでわかると思うんですが)の自治体はとうとう「物納拒否」を始めたようです。まあ、近所の人間の噂ですが、公園や避難所にもならない土地を受け取っても邪魔だし管理に金がかかる、ということらしいです。
近いうち、その拒否られた土地の行き先を記事にするかもしれませんw
>「政党やグループを個人所有にすべきではない」と考える人がいなかった気がします。
すくなくとも、この問題に関しては関係ないと思います。
土地登記の名義が個人だろうと政党だろうと、
小沢一郎が嫌いな人たちは、なんらかの言いがかりを
つけてくるだろうと思います。
この問題は、あくまで「小沢は黒い」と決め込んでいる側の
問題なんだと思います。
>http://www.asahi-kasei.co.jp/maison/ma-net/archives/2010/03/post_282.html
土地の相続について、受け皿を政党にするというのは、
それはそれで興味のあることなのだとは思うけれど、
わたしはほとんどわからないので、コメントは控えることにしますね。
>その拒否られた土地の行き先を記事にするかもしれません
わたしにもわかるように書いていただければさいわいです。
つけてくるだろうと思います。
っていうことは…次のスケープゴートが決まったら同じネタで吊り上げて裁判、というパターンがあり得るってことですよね。私がガックリしたのはその点です。コレについては彼ら政治家が積極的に動かないと制度も何も変わらないということがわかったから、改善を諦めることにします(笑)。
私は、既存のムラ的政治より公共の政治をやっていただきたいんですよね。事務所もちゃんと「公共の場」扱いにして、何から何まで記録する、というような。
>拒否られた土地
なんと、不動産屋が安く買い叩きそうなムードです。突然税金が払えなくなると、そういうことになるっていうのはよくあることらしいですね。今年分の税金を払えそうにない、だから年度末までに売りたい、となると確かにかなりの弱みですよね。続編お待ちください(爆笑)。
ああ、いやいや。
スケープゴートはいつも小沢一郎ですよ。
つまり「小沢だから気に入らない」なのであって、
「おなじことをする政治家が許せない」ではないです。
なので、小沢でなければ、裁判にはならないでしょう。
実際、小沢以外の政治家が似たようなことになっても、
追求がたいしてなされないですしね。