2012年11月29日

toujyouka016.jpg CEDAWにまたゼロ回答

今月、日本政府は国連の女子差別撤廃委員会に、報告書を提出しています。
民法改正を求めた勧告に対するものです。

「女性差別撤廃へ、国連に現状報告」
(はてなブックマーク)

これはおそらく11月2日に提出したという、
女子差別撤廃委員のフォローアップのことだろうと思います。

「CEDAWへフォローアップ報告書を提出 11月2日」

 
今年もまた、民法改正法案実現のためになにもしていないです。
よって、報告書の内容はいつもとおなじく、
「法案は提出をしていません」というゼロ回答ですよ。

「今後も国民的な議論を深める必要がある」とか書いているのですが、
いったいどれだけ議論を深めればいいのだ、という感じです。
法制審議会の答申書から、すでに16年経っています
議論なんて嫌というほどやりつくされているでしょう。

「政府・国民の間に様々な意見があるため法案提出に至っていない」
ともありますが、マイノリティの権利を多数決にあおいでいたら、
いつまで経っても実現しないのは、無理もないことです。
世論を言いわけにせず、人権尊重の考えにもとづいて、
法的整合性を優先しろと、CEDAWから言われてもいます。


「その後2回にわたって、追加報告を求められた」とあります。
2回目は今回ですが、1回目は昨年の8月のフォローアップですね。

「CEDAWフォローアップ」
「CEDAWフォローアップ(2)」
「CEDAWからの見解」

このときも、法案提出がないという報告をしていて、
「1年以内に民法改正を実現しろ」という勧告を受けています。
そのとき「1年以内には民法改正は実現しないだろう」と
わたしは予想をして、それが当たったというわけです。


このように、CEDAWの勧告がつまでも放置されるのを見ると、
日本政府や日本の議会は、批准した条約を守らなければならない、
という遵法意識がとぼしいのではないかと思います。

実効的な罰則はないですし、放置しても問題ない、
くらいに思っているのかもしれないです。
せいぜい、報告書を書くときだけ肩身が狭い思いをするのを
我慢すればいい、くらいの考えなのかもしれないです。

日本のようにいつまでも勧告を放置する国を、
国連はもっと悪質と考えて、なにか実効的な罰則を課すことを
検討したほうがいいのではないかと思います。


CEDAWへの報告書が、またしてもゼロ回答だったことを受けて
書かれたと思われる社説があるので、ご紹介します。
「もう放置は許されない」というのは、まったくです。
ずいぶん前から「放置は許されない」状況でしょう。

「男女差別法改正 もう放置は許されない」
(はてなブックマーク)

夫婦別姓は、男女差別法の「改正の象徴」であるとし、
いつまでも実現しないのは、「立法の不作為」としています。
また、民主党政権になってから、期待が膨らんだにも関わらず、
政府提出も議員立法もなかったこと、
そして民主だけでなく、社民、共産も、「法改正への具体的な
取り組みを怠ってきた」ことなどが書かれています。

この社説は、夫婦別姓訴訟の関係者や、
mネットの影響を受けているという印象が、わたしはしました。
おそらく書いた記者は、ふだんからよく取材していて、
関係者との交流も深いのかもしれないです。

最後に「総選挙では民法改正も候補者に問いたい。
人権感覚をみるバロメーターになる」と結んでいます。
実際、民法改正に賛成できるかどうかは、
議員のまともさを表わす指標だと思います。
mネット資料を作り始めたので、完成を待つことにしましょう。


付記:
自由権規約委員会の勧告も、女性差別撤廃委員と同様、
日本はほとんど放置する状況が常態化しているそうです。
じつは、日本は批准しているかなり多くの条約に対して、
こんなていたらくなのではないかという気がします。
(ご存知のかたがいましたら、教えていただけたらと思います。)

posted by たんぽぽ at 22:24 | Comment(2) | TrackBack(0) | 民法改正一般 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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この記事へのコメント
おっしゃるとおりですね。

民法改正反対の議員をもし一掃したら、民法と関係のない他の法案についても、まともな議員が増える気がします。

次の選挙では、なんとしても、一人でも多くのまともな議員を増やし、民法改正に賛成するような、宗教右派的なオカルトな政治家あるいは勘違いな民族主義的全体主義的な政治家を落とさなければならないですね。

世界で見れば、アメリカもフランスもまともではない人種差別的あるいは非科学的な保守派大統領候補にちゃんとNOを言いました。

日本も国民の良識が問われているように思います。
Posted by 魚 at 2012年11月30日 11:43
魚さま、このエントリにコメント、ありがとうございます。

>民法改正反対の議員をもし一掃したら、民法と関係のない他の法案についても、
>まともな議員が増える気がします

民法改正に賛成するかどうかは、その議員がまともかどうかを
測るバロメータみたいなところはありますね。
政治感覚のおかしさが、民法改正への反対と、
それ以外のおかしさとに効いてくる、ということなのでしょうけれど。

>民法改正に賛成するような、宗教右派的なオカルトな政治家
>あるいは勘違いな民族主義的全体主義的な

あら、「民法改正に反対するような」、では?

それはともかく、mネットが民法改正に賛成かどうかの
資料を作っているので、早く完成がみたいところです。
まだ3人しかなくてとてもさみしいんだけど。
http://www.ne.jp/asahi/m/net/campaign.html


>日本も国民の良識が問われているように思います

そうなんだけど、日本国民の良識は、どうにも心もとないですね。
このままいけば、改憲なんて右翼イデオロギーを
あらわにする安倍が政権を取りそうですし。
Posted by たんぽぽ at 2012年11月30日 22:48
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