2012年12月03日

toujyouka016.jpg 少数政党と民法改正

より民主的な状態を実現するためには、少数意見や多様性が
反映されるよう、小政党も存在しやすくするべきだとして、
二大政党制や小選挙区に反対する人を見かけることがあります

そうしたかたに、国民新党が反対したため、
民法改正が実現しなかったことをどう考えるかと訊いてみました。
これは少数政党の意見が「尊重」されたために、
かえって非民主的な事態になった典型的な例だからです。
民主党の単独政権であれば、すぐに実現していたでしょう。

https://twitter.com/pissenlit_10/status/274170532218413056
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夫婦別姓と外国人参政権は、国民新党の反対で実現しなかったけれど、
これらふたつが反対されたことを「少数意見の尊重」として評価しますか?
RT @stbambino: 少数意見の圧殺ともとれる主張には賛同いたしかねます
========

 
そうしたら、尊重するのは「良心的」少数意見だと言ってきましたよ
なんでもかんでも尊重しろと言っているのではないそうです。
(「何度も」って、一度も言っていないと思いますよ。)

ところがシステム上は、良心的か独善的かを区別する方法はないです。
良心的な少数意見が認められやすいシステムは、
同時に独善的な少数意見も認めやすくしてしまいます。
あえて区別するのであれば、その少数意見が良心的か独善的かを
だれがどうやって決めるのか、という問題が出て来ます。


つぎに民法改正に反対する政党には、投票しなければいいという、
いささか無責任なことを言ってきましたよ。
(いやなら投票しなければいいって、「もも281」みたいだな。)
民法改正に賛成する政党に投票すれば、
ことが解決するのなら、だれも苦労しないですね。

https://twitter.com/stbambino/status/274173491899666433
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どの政党を選ぶかは主権者たる民衆の権利です。
夫婦別姓に賛成の有権者は反対の政党に次の選挙で投票しなければいい。
少数政党に邪魔する勢力があるから最初から排除してしまえ
というのはいかにも乱暴な考え方ですね。@pissenlit_10
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どこの政党が連立を組むかは、「数合わせ」の要素が大きく、
選挙ではコントロールできないものです。
つまり、民意と関係のない、あるいは民意と反する
連立政権ができることもあるわけです。

つまり、いくら民法改正に期待して民主党に投票しても、
民法改正に反対する政党と連立を組む可能性は、
選挙によって排することができない、ということです。

これは単独過半数を取りにくく、かならず連立を組まないと
政権が作れないシステムを採用する場合の欠陥とも言えるでしょう。
少数政党がいくつも併存する状況を支持するというのなら、
「嫌なら投票しなければいい」は無責任だと思います。


後半の「少数政党に邪魔する勢力があるから最初から
排除してしまえというのはいかにも乱暴な考え方」というのは、
「民法改正に反対する意見を尊重しろ、
そのほうが民主的だ」と、言っているようですね。
https://twitter.com/pissenlit_10/status/274174495021998080
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夫婦別姓なんか反対するのが少数政党に配慮していて民主的だ、
あなたはこうおっしゃるのですね RT @stbambino:
少数政党に邪魔する勢力があるから最初から排除してしまえ
========

ここが議論のいちばんの核心だと思うのですが、
残念ながらここに直接のリプライは、いただけなかったのでした。


そして矛先を変えてこんなことを言ってきました。
https://twitter.com/stbambino/status/274174046525091841
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それに夫婦別姓と外国人参政権の不成立は
民主党内の党内世論さえまとめきれなかった民主党の
(国民新党と連立を組んだことも含め)ミスです。
少なくとも夫婦別姓は賛成の他党と連携して世論をリードし
「良心的多数意見」を形成する戦略が必要だったのにそれをしなかった。
@pissenlit_10
========

民主党の党内の意見は、鳩山政権のころにはまとまっていました。
民法改正の反対派は閣僚の中にもいました(中井洽)が、
閣議決定で反対しないことは、明言していました

国民新党と組んだことがミスだというのなら、
民主党が単独で政権を取っていればよかった、ということになります。
このかたの支持する、たくさん少数政党の併存状態が
政権を連立にすることを余儀なくするので
そもそもまちがっている、ということになるでしょう。

また、国民新党が党の方針として民法改正に反対するのは、
民主党から見れば他党の決定ですから、干渉できないことです。
これ自体は、民主党の責任ということではないですね。

それから、「世論をリード」などと言っていますが、
(「またそれか」という感じですが)マイノリティの権利を
世論にあおいでいたら、いつまでたっても実現しないです。
女子差別撤廃委員からも、世論調査を口実にせず、
条約との整合性を優先しろと、勧告されていることです。


「少数政党の尊重で、多様性の保障を!」と言っているかたに、
民法改正が、国民新党の反対でつぶされたことを
どう思っているかは一度訊いてみたいと、わたしは思っていました。
少数政党の尊重で、かえって多様性が損なわれるケースなので、
彼らの信念とあきらかに逆行するからです。

こうして議論をしてみると、やはりというか、
うまく答えられないなというのが、わたしの思ったところです。
(このかたのあまたの中では、以後民法改正のことは
「なかった」ことにされているのでは?という気もします。)

一般論を言えば、少数政党の意見が良心的か独善的かは、
ケースバイケースで、一概には言えないことです。
「少数政党を尊重すれば、多様な意見が保障される」などと
無条件に決まっているのではなく、少数意見の存在によって、
非民主的にもなりえるという欠陥も、ふまえる必要があるでしょう。

このかたは、なにかというと一般論に持って行くのですが、
この手の議論は一般論にすると、
一概に言えないことになって、よくないと思います。
「民法改正に反対されたことはどう思うか?」とか
「民主党のマニフェストは守るべきか?」とか、
あくまで個別の具体的な議論にする必要があるでしょう。


ちなみに、この「上田 龍」というかたとは、
このあともすこし議論が続いたのですが、
結局わたしはブロックをされてしまいましたよ。
(そして、わたしを勝手に「二大政党制の信奉者」と決めつけて
ひとり「勝利宣言」をしていました。)

このかたは、わたしのような意見は、いままでに聞いたことが
なかったのではないかと想像します。
多様な意見を聞くことが大事だというのなら、
わたしをブロックするのは、おおいなる矛盾だと思いますよ。


関連資料:
以前中小政党が多く存在することの問題点について
書いたことがあるので、リンクをしめしておきたいと思います。

「中小政党の問題点」
 「中小政党の影響力の問題」
 「多様性を含む大政党」
 「比例部分の併用は必要」
 「ブックマークでの反響」

posted by たんぽぽ at 22:06 | Comment(4) | TrackBack(1) | 民法改正一般 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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この記事へのコメント
いま読んでいる、早川文庫の「不可能、不完全、不確定」によると、「個々人の選好傾向を集計することで社会的に好ましい選好を導くルールを作るのは不可能である」と数学的に証明されているそうです。

「民主的な投票方法はありえない」と一般に解釈されているアローの不可能性定理、だそうで。

http://www.hayakawa-online.co.jp/product/books/116395.html

選挙も、政治家の活動も、原理的に公平にはならないし、そもそも人間が政治を行う以上、なんらかのバイアスがかかる。

各自で、どうすれば自分に有利になるのか、それを考えて行動するしかないんでしょうね、きっと。
Posted by キンシャチ at 2012年12月04日 12:46
キンシャチさま、
このエントリにコメントとトラックバック、ありがとうございます。

>http://www.hayakawa-online.co.jp/product/books/116395.html

ご紹介ありがとうございます。
不確定性原理、不完全性定理と並んで、アローの不可能性定理と
いうものがあるのですね。
これは寡聞にしてはじめて聞きました。

「民主的な投票方法はありえない」というのが、
どのようにして証明されるのかが、とても興味を惹きますね。


>選挙も、政治家の活動も、原理的に公平にはならないし、
>そもそも人間が政治を行う以上、なんらかのバイアスがかかる。

選挙の方法はいくつか考え出されているけれど、
どの方法も一長一短なのですよね。
それを考えると、なんとなくわかるような気がします。

もちろん一部の人たちが信奉している、比例代表中心で
たくさんの政党が併存するようにする、というのも欠点がある。
信奉者は欠点をしばしば無視するけれど。
Posted by たんぽぽ at 2012年12月05日 06:54
男女の婚姻年齢を18歳に統一することが『民主的』とも思えないのですが・・・
Posted by ねこのみみ at 2012年12月11日 16:24
ねこのみみさま、こちらにもコメントどうもです。

女性の婚姻年齢が男性より低いのは、女は結婚したら
社会的責任がなくなる、という考えによるのだろうと思います。
婚姻年齢を男女とも18歳にするのは、そうした女性差別的な考えを
なくすということになるのでしょう。
(「民主的」というのとは、違うのかもしれないけれど。)
Posted by たんぽぽ at 2012年12月12日 18:24
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