ジェンダー平等アンケートですが、今度は民法改正に
かかわるところを見て行きたいと思います。
「「ジェンダー平等政策」を求めるキャンペーンのよびかけ人・賛同人は
24団体280人になりました」
政策リスト回答書・政策カテゴリー別
民法改正に関係する設問は
(13)選択的夫婦別姓の実現
(14)婚姻年齢の男女の統一・再婚禁止期間の廃止
(15)婚外子の相続差別の撤廃
の3つがあります。



民主、国民の生活が第一、社民、共産、緑の党の5つの党は、
(13)、(14)、(15)の3つとも、2点の「賛成」です。
公明党は(13)と(15)は「賛成」で、(14)の婚姻年齢と
再婚禁止期間だけ1点の「どちらかといえば賛成」です。
公明党が(14)でなぜすこし消極的なのかはわからないです。
それでも上記6党が、基本的に民法改正に積極的なのは、予想通りでしょう。
自民、国民新、維新の3党は、(13)、(14)、(15)に対して、
-2点の「反対」か-1点の「どちらかといえば反対」と答えています。
(維新は(15)の婚外子だけ、無回答の0点です。)
前のエントリでもしめしたように、これら3党は、
全体的にジェンダー平等に対して消極的です。
民法改正に対しても理解がないのも、予想通りだと思います。
いささか気になるのが「未来の党」です。
(13)、(14)、(15)のいずれも、1点の「どちらかといえば賛成」です。
国民の生活が第一は全部2点の「賛成」ですから、
合流元の政党より、消極的になったことになります。
そして、(13)、(14)、(15)のいずれにも、
「今後党内で議論していく」とコメントが付いています。
前のエントリでも触れましたが、新党なので党内での議論が
ふじゅうぶんで意見がまとまっていない、ということなのでしょう。
そして、これも前のエントリで、わたしが推測したことですが、
党内で意見がまとまらなくなったのは、
「減税」から来た議員が原因ではないかと思われます。
民法改正に反対しまくった亀井静香などが、
ここでも反対したことが、じゅうぶん考えられます。
>差別をなくすことに反対の自民党
自民党は、(21)の性的少数者の差別や社会的排除をなくすことにも、
-1点の「どちらかといえば反対」と答えています。

(15)の婚外子差別と、この(21)の自民の回答は、
毎日新聞の記事でも簡単に言及されたのでした。
「衆院選:ジェンダー政策 各党の違い浮き彫り」
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「婚外子差別の廃止」と「性的マイノリティーへの差別・
社会的排除をなくす」については、自民のみ「反対」
「どちらかといえば反対」と答えた。
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このように書かれたこともあって、「自民党は差別を
なくすことに反対している」と、考えられたのでした。
そして、自民党は差別に賛成するとんでもないところだと、
ツイッターでちょっとしたさわぎになりましたよ。
「「婚外子差別の廃止」と「性的マイノリティーへの差別排除を無くす」のに
自民は反対だそうです。その反応まとめ」
「差別をなくすか?」と訊かれたら、ふつう反対とは言わないです。
差別はあきらかに悪いことなので、どんな差別的な考えを
持った人でも、「差別はなくすべき」と答えるからです。
このようなアンケートで、単に「差別をなくすか?」と訊くのは
じつはほどんと意味がないことになります。
具体的な政策を訊くと、差別的な考えのある人は、
たとえば「家族のありかた」がどうのとか、
理由をつけて差別をなくすことに、反対するようになります。
(15)の婚外子は、まだ具体的な政策を訊いていると言えます。
ところが、(21)の性的少数者は、具体的な政策でなく、
単に「差別をなくすか?」と訊いているだけの設問です。
ようするに、(21)でマイナス点の政党があるということは、
本来意味がないはずの設問なのに、
意味のある結果が得られてしまったことになります。
「差別に賛成です」と堂々と答えてしまうところに、
自民党の正直さと差別意識の程度が、現れていると思います。
>「正しい家族」幻想と宗教団体
自民党が民法改正や性的少数者の権利に反対するのは、
いつもお話していますが、「正しい家族」幻想を信じているからです。
高度経済成長期の核家族を「あるべき家族」としていて、
夫婦別姓や婚外子、性的少数者は、ここからはみ出すので
否定され差別が温存されるわけです。
こうした家族観、ジェンダー観は、自民党の支持基盤である、
宗教団体の意向に負うところが大きいのでしょう。
一般的にはあまり知られていないことなのか、
トゥゲッターのまとめでも、宗教団体まで言及した
ツイートが見当たらないのが、しばし残念でした。