日本国憲法の起草に関わり、憲法24条の男女平等規定を盛り込んだ
ベアテ・シロタ・ゴードンさんがなくなりました。
享年89歳です。ついにこの日が来たか、という感じです。
「ベアテ・シロタ・ゴードンさん死去 憲法草案作成携わる」
「ベアテ・ゴードンさん死去 日本国憲法の男女平等条項起草」
「訃報:日本国憲法起草のベアテ・シロタ・ゴードンさん死去」
亡くなったのは12月30日ですが、日本のメディアが
記事にしたのは1月1日です。正月早々から訃報ですよ。
ベアテ・シロタ・ゴードンさんは、GHQ民政局の
最年少メンバーとして、日本国憲法の起草に関わりました。
つい数日前まで生きていたとは思わなかった、
というかたも、いらっしゃるかもしれないです。
5年前、2008年の憲法記念日にも日本に来日して、
東京と大阪で講演をなさっていたのでした。
日本での生活経験のあるベアテ・シロタ・ゴードン氏は、
妻は「無能力者」で、夫の許可なしに財産管理ができないとされるなど、
日本女性の置かれた悲惨な状況を知っていました。
それで、日本側の抵抗を押し切って、女性の地位の改善のために、
いまの14条、24条のもととなる条項を、起草しました。
このような、本国アメリカにもないような、
はっきりとした男女平等規定のある憲法を、
世界に先駆けて、日本は持つことになったのでした。
14条と24条の規定が盛り込まれなければ、日本の女性の地位は、
いまだにもっと低いものにとどまっていたと思われます。
共同通信の記事を見ると、「生前、憲法の平和、
男女同権の条項を守る必要性を訴えていた。
改正に総じて反対だったが、この二つ(の変更や削除)を
特に懸念していた」とあります。
ベアテさん自身、14条と24条の男女平等の規定を守ることを、
とくに重要視していたことがわかります。
ご存知のように、夫婦別姓が認められない現行民法は
憲法違反であるとして、国家賠償請求訴訟が行なわれています。
この違憲性の根拠のひとつが、ほかならぬ憲法24条です。
「ベアテの贈り物」が、ここで活用されようとしているわけです。
付記1:
前にお話したように、自民党・安倍政権は改憲を画策しています。
この憲法草案は、憲法24条もターゲットになっていて、
「家族は、社会の自然かつ基礎的な単位として、尊重される。
家族は、互いに助け合わなければならない」という条文が加えられています。
「自民党憲法草案の条文解説」
ここに出てくる「家族」とは、彼らが信奉する、
高度経済成長期の核家族を「正しい家族」とする幻想と思われます。
つまり、夫婦別姓を「家族を破壊するものだ」として、
憲法違反にすることを、目論んでいると考えられます。
付記2:
ベアテ・シロタ・ゴードン氏のことは、
わたしはブログでは、過去に2回取り上げていました。
2007年と2008年の憲法記念日を意識したものでした。
「日本国憲法還暦」
「ベアテ来日」
2007年のときも、安倍晋三が政権を取っていたときで、
改憲によって24条の男女同権が損なわれようとしている、
という危機がやはりあったのでした。
付記3:
ベアテ・シロタ・ゴードン氏の訃報についてのエントリです。
日本国憲法や24条のことについて、
一通りのことが書いてあり、参考になるでしょう。
12月31日付けで、新聞記事より早いですが、
個人的に交流があったかたなので、情報が早かったと思われます。
「ベアテ・シロタ・ゴードンさんについて」