2007年01月11日

toujyouka016.jpg エグゼンプション

「ホワイトカラー・エグゼンプション(WE)」の導入を、
安倍内閣は、ついに本格的に、検討しはじめました。
「<エグゼンプション>厚労相、法案『国会提出方針変えない』」

エグゼンプション(適用除外)とは、一定収入以上の会社員に対して、
1日8時間、1週40時間といった、時間規定がなくなり、
能力に応じた給与体系にする...というと、
聞こえがいいですが、ようは、「残業代の廃止」です。
これで、なかば既成事実化している、「サービス残業」が、
労働基準法により、追認されることになりそうです。

こんな労働者の搾取を後押しする法案は、
断固阻止だと、正面切って反対したのは「連合」です。
連合というのは、民主党の支持基盤になっている、
労働組合の団体なのですが、さすがに動きがとても活発なようです。
「<高木連合会長>エグゼンプション導入に反対姿勢を強調」

この「残業代ゼロ」は、さすがの公明党も、反対を出してきましたし、
こんどの参院選を心配して、自民党内からも慎重論が出ています。
「残業代ゼロ見送り論、与党に強まる 厚労省に戸惑い」

 
ところで、われらが、安倍晋三くん、
「ホワイトカラー・エグゼンプション」に関しても、
とってもおかしなことを、言ってくれたみたいなのです。
「残業代ゼロ 首相『少子化対策にも必要』」
========
「(労働時間短縮の結果で増えることになる)
家で過ごす時間は、例えば少子化(対策)にとっても必要。
ワーク・ライフ・バランス(仕事と生活の調和)を見直していくべきだ」
とも述べ、出生率増加にも役立つという考えを示した。

首相は「家で家族そろって食卓を囲む時間は
もっと必要ではないかと思う」と指摘。
長く働くほど残業手当がもらえる仕組みを変えれば、
労働者が働く時間を弾力的に決められ、
結果として家で過ごす時間も増えると解釈しているようだ。
========

もう、なにを考えているんだって、感じなんだけど、
現状のまま、サラリーマンの残業代だけカットしても、
経営者側に都合のよい働かせかたを、促進することになり、
かえって、長時間労働が増えることにも、なりかねないです。


働きすぎを解消したいのなら、労働者の賃金を抑えるだけでなく、
たとえば、オランダの「ワークシェアリング」のように、
雇用の維持、就労時間の短縮、フレキシブルな労働の保証など、
経営者側からの歩み寄りも必要になってきます。
「オランダ・モデルのワークシェアリング」
「オランダにおけるワークシェアリング」

もちろん、時間があっても、子どもを作るとはかぎらないです。
賃金が減らされたぶん、金銭的なサポートもいるでしょう。
さらに、子育てで休職しているあいだの、
キャリアの断絶を埋めるための保証も、必要になるでしょう。
さしあたって、次世代法が導入されて1年経っても、
男性の育児休暇取得率が、ほとんどゼロという現状を、
なんとかしたらどうかと、わたしは思います。

posted by たんぽぽ at 23:08 | Comment(4) | TrackBack(4) | 家族・ジェンダー | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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この記事へのコメント
へえ、本当ですか?日本では男性の育児休暇取得率がほとんどゼロって。そんなモノ取ったら男が廃(すた)るとでも思っているのでしょうか。信じられません。カナダではほとんどの男性が育児休暇取ってますよ。
Posted by 美爾依 at 2007年01月12日 04:46
美爾依さん、たんぽぽさん、こんにちは。
私は会社勤めが長いですが、育児休暇をとった男性は見たことがありません。
Posted by kojitaken at 2007年01月12日 07:33
WEは過労死時に労災が認められにくくなる、という問題も指摘されてます。
そもそも成果が客観的・絶対的に判断できる状況など、非常に限られてます。

>そんなモノ取ったら男が廃(すた)るとでも思っているのでしょうか。

多分、違います。
日本では人と違ったことをすると、虐めの対象となりやすいのです。
このことが、育児休暇を取り難くしている主要因だと思っています。
Posted by tema at 2007年01月12日 07:46
美爾依さま、kojitakenさま、temaさま
コメント、どうもありがとうございます。

カナダもそうでしょうけれど、欧米の民主主義国は、
日本よりは、男性の育児参加は、意識も進んでいて、
環境も整っているでしょうから、日本の惨状(?)は、
信じがたいものがあるかも...


06年3月24日の日経新聞を見ると、2004年の育児休暇取得率は、
女性が70%強に対し、男性が0.44%(!)となっています。
(猪口邦子氏が共同参画相だったころ、男性の取得率は、
10%を目標にしていたから、なにかの間違いではないはずです。)
http://taraxacum.seesaa.net/article/16398124.html

日本では、男性が育児休暇を取りたがらない、
いちばんの理由は、お仕事をお休みするので、情報が途絶えたり、
キャリアが断絶するのを、恐れていることみたい。
日経の記事には、「昇進に不利に働く懸念などから取得が進まず、
『企業にとって最大の関門』」とありますが。

(女性はいままで、お仕事に穴が開くどころか、
昇進が閉ざされたり、失業したりしてきたんですけどねえ...
それと比べたら、はっきり権利として保証されている状況で、
なにをびびっているんだって、感じなんだけど...)
Posted by たんぽぽ at 2007年01月12日 22:47

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