2013年01月26日

toujyouka016.jpg 出生届のない子に住民票

東京都の世田谷区で、出生届けが出ていないために、
ずっと戸籍がなく、住民票が作られない子がいたのですが、
このたび職権で住民票が作られた、というニュースがあります。
(戸籍はおそらくないままだと思います。)

「出生届ない子どもに世田谷区が住民票」
「世田谷区 婚外子記入しない住民票作成 区長「人権に配慮」」

 
子どもの親御さんたちは、事実婚夫婦なのですが、
出生届けに「嫡出でない子」と書く必要があるので、
かかる婚外子差別を拒否するために、届けを出していないのでした。
子どもは現在7歳で小学生です。

「児童の将来に配慮する」「子供の人権に配慮した」というのが
世田谷区のコメントです。
住民票がないことによる子どもの不利益は、お話するまでもないでしょう。
今回のこの裁量には評価をしたいと思います。
区長の保坂展人氏の判断が、大きかったのではないかと想像します。
こうしたことは、さすがという感じですね。

「職権」で住民票が作られたのですが、具体的にどのような
権限が用いられ、手続きが取られたのでしょうか。
この職権の行使は世田谷区だけでなく、ほかの自治体でも可能なのでしょうか。
このあたりが、いささか興味あります。

ところで、スポーツ日本の記事の見出しにある
「婚外子記入しない住民票作成」がよくわからないです。
住民票は婚外子も婚内子も、どちらも続き柄は「子」と表記され、
婚外子であることが記載される箇所はないからです。
出生届けに婚外子であることを記入するのですが、
見出しを付けた人が、勘違いをしたのかもしれないです。


この事実婚のご夫婦は2011年に、出生届けに婚外子の
記入を要求する戸籍法の規定は、「法の下の平等」を
定めた憲法に反するとして、国家賠償訴訟を起こしています。
1審、2審ともに敗訴なのですが、婚外子と記入させる規定については
「かならずしも合理性はない」という指摘が付いています。

「「婚外子記入強制は違憲」と提訴 事実婚夫婦が国賠請求」
「非嫡出子規定 必ずしも合理性ない」

今回の世田谷区の裁量で、子に住民票が作られたのですが、
「世田谷区には感謝しているが、差別がなくなったわけではない」
として、このご夫婦は裁判を続けるとのことです。


その前には、世田谷区に住民票の作成を要求するという
直接的な内容の訴訟を起こしています。
1審は原告が勝訴したのですが、2審で逆転敗訴となったのでした。
今回の住民票の作成は、裁判では勝訴したけれど、
訴えた事実婚夫婦の主張を理解したと言えることになります。

「無戸籍児訴訟」


付記:
無戸籍児訴訟については、こちらに記事の全文が引用されています。
http://blogs.yahoo.co.jp/den_den_mushi_den_den_mushi/18419601.html

上記エントリは、2審で原告が敗訴となったことを
「司法の健全性が感じられる」などと言ったり、
婚外子差別を訴えることを、「金持ちの道楽」などと言っていたりします。
こういう心ない人も、世の中には多いのでしょうね。


追記:
わたしははじめ、原告夫婦のお子さんには、住民票だけあって
戸籍はないのかと思っていました。
実際は「戸籍の職権記載を受けての住民票作成」ということであり、
戸籍がさきに作られていたのでした。
1月23日の日経新聞の記事では「次女が戸籍に記載され、
区も住民票を作成した」と書いてあります。

「出生届ない子に住民票作成 東京・世田谷区、職権で」

日経新聞の記事および、この情報を教えてくださったかた、
まことにありがとうございます。

posted by たんぽぽ at 23:08 | Comment(0) | TrackBack(0) | 民法改正一般 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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