自民党が生活保護の水準の引き下げを、着ちゃくと進めています。
来年度の予算案に組み込まれるのは、決まったようです。
これは社会保障の切り下げであり、好ましくないのは言うまでもないです。
生活保護については、たくさんの誤解や偏見もまかり通っていて、
それが水準の引き下げを後押ししている部分があると思います。
生活保護の実態や、引き下げの影響について書かれた記事を
いくつか集めたので、正確なことを知りたいかたは、
ご覧いただけたらと思います。
「今、ニッポンの生活保護制度はどうなっているの?」(日弁連パンフレット)
「生活保護制度をめぐる神話--「働けるのに働かない」を中心に」
「生活保護の「引き下げ」は何をもたらすのか 大西連」
「生活保護基準引き下げのどこが問題?Q&A STOP!生活保護基準引き下げ」
「「生活保護が恵まれている」と思う方へのお手紙」
生活保護叩きで、やり玉にあがるのが「不正受給」です。
報道されることが多いので、いかにもたくさんあるかのように
思っている人たちも結構いるのだろうと思います。
実際は、不正受給は金額で全体の0.4%程度、件数でも2%程度です。
その中身も多くは「申告漏れ」で、たとえば「高校生の子どもが
アルバイトをしたのを申告しなかった」といったものです。
不正受給は微々たるもので、しかもその大半は悪質ではないのでした。
生活保護バッシングの発端になった河本準一の母親は、
不正受給をしていたのではありません。
母親は受給資格を満たしていたし、正規の手続きを経ていました。
河本準一はなにも違反はなく、本来謝罪する必要はないのであり、
彼が謝罪したのは、自民党議員やあおられた世論が
理不尽に圧力をかけた結果にすぎないです。
「河本準一氏叩きで見失われる本当の問題」
生活保護の切り下げを主張する人たちは、
「本当に必要な人に受給させるべき」と言うことがあります。
ところが、生活保護の受給資格があるかたのうち
実際に受けている人の割合(捕捉率)は、日本は2割程度です。
つまり8割ほどのかたが、生活保護の受給資格がありながら、
実際には受けていないことになります。
「生活保護の低い捕捉率」
フランスは捕捉率が9割程度、スウェーデンは8割ほどなので、
生活保護の受給資格のある人の大半が、受けていることになります。
ヨーロッパの民主主義国と比べると、
日本は極端に生活保護の捕捉率が低いと言えるでしょう。
ようするに日本では、生活保護が「本当に必要な人」の多くが、
受給をしていないというのが実態です。
本当に問題にしなければならないのは、不正受給などではなく、
「捕捉率の異常な低さ」だと言えます。
彼らがいかにして、生活保護を受けられるようにするかを
考えるのが、本来必要なことでしょう。