ずっと前に発売された本なので、いまさらなんだけど、
『バックラッシュ!』という本があります。
ここで言う「バックラッシュ」とは、男女共同参画や、
フェミニズムなど、ジェンダー運動全般に反対する動き、
あるいは、そうした反対活動をする人たちのことです。
(民法改正、選択別姓に反対する人たちも、その一部に入るでしょう。)
バックラッシュの主張は、根拠のないデマ同然のものが多く、
陰謀論や疑似科学を、援用するものもあります。
その観点からも危険が多く、批判される必要があると言えます。
そうした「ジェンダーフリー・バッシング」を中心に、
現代日本のバックラッシュが、批判検討されています。
(つぎの公式ウェブログも、ご覧になるといいでしょう。)
http://d.hatena.ne.jp/Backlash/
わたしが、とくにすばらしいと思うのは、
5章1節「『ブレンダと呼ばれた少年』をめぐるバックラッシュ言説の迷走」と、
5章4節「政権与党のバックラッシュ」です。
5章1節(小山エミ氏が執筆)は、『世界日報』の取材のいかさまを、
取材を受けた本人の証言を引きながら、検証しています。
5章4節(荻上チキ氏が執筆)は、自民党PTの行なった、
「3500件の事例」アンケートの実態の検証です。
(安倍晋三と、山谷えり子が中心となった、あのアンケートですよ。)
どちらも、原資料をていねいに調べて、実証性の高いものとなっています。
わたしも、このコンテンツを書くのに、おおいに参考にしたのでした。
http://taraxacum.hp.infoseek.co.jp/teardrops/movement/telegraph2.html
これらは、もともとは、ウェブログ、
(『macska dot org』、『成城トランスカレッジ!』)で、
公開されていたものを、まとめなおしたものです。
ウェブで見ていたときから、本にしてもいいくらいの内容だと、
わたしは思っていたので、感激してしまいましたよ。
ジェンダー論に興味がなくても、
『世界日報』や、安倍晋三のでたらめに興味のあるかたは、
5章1節と5章4節だけでも、ご覧になるといいかもしれないです。
(わたしも、これら2節がお目当てで、本を買ったんだったりする...)
内容的には、つぎのサイトが、要約されています。
手っ取り早くすませたいかたは、これをどうぞ。
http://seijotcp.hp.infoseek.co.jp/genderfreeQandA.html#26
http://seijotcp.hp.infoseek.co.jp/genderfreeQandA.html#29
2007年01月28日
この記事へのトラックバック
女性は「産む機械、装置」
Excerpt: 講演で柳沢厚労相 柳沢伯夫厚生労働相は二十七日、松江市で開かれた自民県議の決起集会で、「産む機械、装置の数は決まっているから、あとは一人頭で頑張ってもらうしかない」と女性を機械に例えて少子化..
Weblog: 喜八ログ
Tracked: 2007-01-29 21:14
身内には優しく国民には厳しい安倍晋三
Excerpt: 朝日新聞のサイト、"asahi.com"に、「タガ緩む安倍政権 不規則発言乱発、波乱含み国会幕開け」という見出しの記事が出ている。 例によって新聞社のサイトの記事はすぐリンクが切れるので、「koji..
Weblog: きまぐれな日々
Tracked: 2007-01-31 22:48
バックラッシュ?
Excerpt: バックラッシュというのがあるらしい。ジェンダーフリーとか男女共同参画とかそういう
Weblog: おたきち雑記帳
Tracked: 2007-02-15 20:39
私が、昔、仕事で、笹川良一が支配していた船舶振興ビルに事務所が入居していたので、事務所が無理やり買わされて(高いんです)、私も目にしましたが、とてもまともに読めるような内容では無かったです。
(寡聞にして知らなかったです。)
ビルに入っていた事務所は、ぜんぜん関係ない会社だと思うけど、
買わされたのは、入居の条件だったのかな...?
(ご愁傷さまでした...)
手口がでたらめなのは、バックラッシュ全体がそうなので、
この場合は、その一員として『世界日報』もいる、とも言えるけれど。
ところで、船舶振興会というと、「戸締まり用心、火の用心♪」の
コマーシャルだけど、これはいったいなんだったんでしょう?
(イメージ刷新のための、「きれいごと」なんでしょうか...?)
(あのCMのおかげで、競艇がはやったというお話は、
そう言えば、聞いたことないですね...)
ところで、笹川良一の『世界日報』は、
のちに『産経新聞』に、統合された新聞のことですか...?
じつは、わたしがエントリで書いているのは、
統一教会の機関紙の『世界日報』なんだけど...
(おなじ名前だけど、まったくべつの新聞。)
そうだとしたら、最初のコメントは、わたしの勘違いだけど(苦笑)、
でも、どちらの『世界日報』も、「右翼のプロパガンダみたい」だし、
お話が合ってしまったよ。(笑)
この件にも、扶桑社(フジ産経グループの出版社)が絡んでるんですね。
統一協会系の新聞「世界日報」は確か1975年創刊で、当然統一協会は笹川良一ともつながっていたはずなので、笹川も経営に関係していたんでしょうか?
でも、よく「戸締まり用心、火の用心♪」なんてコマーシャル覚えてましたね。あれって笹川の最晩年までやってたんでしょうか?
『ジェンダー入門』には、書いてなかったけど、
八木秀次氏のいかさまは、『世界日報』が、
ダイアモンド氏に取材をしたことで、露見したのでした。
ところが、自分のわい曲がばれると、
八木氏は、なんと、「あの連中(フェミニスト)は、正義感にかられて、
すぐ外国人にお伺いを立てに行く」などと言ったのですよ。
さきに外国人にお伺いしたのは、八木に賛同した、
『世界日報』なのに、相手から仕掛けられたような、
もの言いをするんだから、なにをかいわんや、だよね...
(外国人に意見を聞くこと自体は、なにも悪くないけれど。)
>「世界日報」
ありゃりゃ。
笹川良一の『世界日報』は、やっぱり統一教会でよかったんだ。
>「戸締まり用心、火の用心♪」
じつは、こういうものを見たんです。(笑)
http://www.geocities.jp/fooming/hihyou/20000224.html
たんぽぽさんが書かれている、産経新聞に統合された世界日報というのは、調べてみたら1951年に統合されてますから、眠り猫さんの言っているのは統一協会系の方の世界日報でほぼ100%間違いないと思います。この新聞は、80年頃東京の御茶ノ水近辺で、自動販売機で売られていたのを覚えています。その頃には、既にこれが統一協会とつながりのある極右新聞だということは知っていました。彼らは70年代後半から広報活動を強めていて、80年代初頭には大学の原理研究会は社会問題になってましたからね。だから当時大学に入学した私くらいの世代は、結構統一協会には詳しいはずです(笑)。
CMの件了解です。リンク先を見ていて、コマーシャルに高見山だの故山本直純だのが出ていたことを思い出しました。私はリアルタイムでこのCMを見ていた世代ですが、笹川の正体を知る前からこのCMの偽善性が大嫌いでした。だから、やっているのがうさんくさい右翼だと知って、CMの悪口を思いっきり言えるようになり、胸のつかえがおりたものです。
それと、山本直純ってだいぶ前に亡くなった音楽家なのですが、ある時期から私は彼を激しく嫌うようになっていて、それがいつ以来からか思い出せなかったんですね。でも、このCMがきっかけだったということがわかりました。長年の疑問が氷解して、ありがとうです(笑)。
八木秀次氏は、バックラッシュ歴は長いですよ。
八木氏も著者のひとりに入っている、民法改正のギョーカイで有名、
『夫婦別姓大論破!』は、いまから10年前の本だし。
ほかにも、こんなところで、反対論者のおすすめの講師として、
お招きを受けちゃっているし。(笑)
http://taraxacum.hp.infoseek.co.jp/teardrops/movement/rebel1.html
じつは、恣意的な解釈や、わい曲ばっかりやるのが、
バックラッシュたちの常套の手口でして...
それでも、世間一般の偏見や思い込みを利用するので、
結構、蔓延してしまうんだけど。
八木は、ばれると、よく取って付けたような、言いわけをしますよ。
(八木は(「は」じゃなくて、「も」か(笑))、かなりのうそつきですね。)
>世界日報
原理運動が、いちばんお盛んだったころ、大学にいらして、
しかもそのころ、政治に興味がおありだったのね。
(どうりで、統一教会のことにくわしいわけだ...)
>CM
歌詞は一般的なお道徳で、ある意味イデオロギーに無関係だから、
それで右翼でも、どうってことないのかもしれないです。
(いや、右翼だから、かえって、ああいうお道徳が好きなのかも...)
>長年の疑問が氷解して、ありがとうです(笑)。
いえいえ、どういたしましてです。(笑)
多分たんぽぽさんならご存知だと思いますが、これは反フェミ トンデモ度を測る単位なんだそうで
http://d.hatena.ne.jp/keyword/%A5%C7%A5%D3%A5%E5%A1%BC%A5%DC
あたしゃ、コレを読んで(マズイことに就業時間中)抱腹絶倒してしまい言い訳が大変でした
デビューボは、聞いたことありますよ。
「シモーヌ・ド・ボーボワール」のことを、
「シモン・デビューボ」なんて、堂々と活字媒体に書いた、
バックラッシュ派がいたそうで、そこから来ているというお話だけど。
英語が苦手で、「gender」を「jender」と書く彼らは、
フランス語はもっと苦手だった、ということですね。(笑)
>抱腹絶倒してしまい言い訳が大変でした
どうやって言いわけしたの...?(笑)
私はバックラッシュという言葉を最近知ったのですが、よく見るWEBサイトの記事コメント欄に、男女平等を主張するような記事に対して、ひどい感情的な批判が大量に書かれることに疑問を持ち、いろいろと調べた結果、「バックラッシュ」というものに行き当たりました。WEBで調べたり本を読んだりして、なるほどと思い、自分のBlogに書いた次第です。
たんぽぽさんの記事も参考になります。また、MLでもよろしくお願いします。
わたしのブログに、コメントとトラックバックを
くださって、どうもありがとうございます。
ジェンダー問題にも、関心を持ってくださってありがとうです。
(なんて、わたしがお礼を言うのも変かな...?)
「バックラッシュ」は、はっきり言って「とんでも」ですね。
(上のコメントの「デビューボ」でも、わかると思うけど、
びっくりするくらい、知識が狭かったりする...)
でも、偏見や固定観念を利用するので、あたまの中に入って、
行きやすい人も多く、信者をたくさん集めてしまうみたい。
わたしの記事も、お役に立てたようで、光栄です。
こちらこそ、MLのほうでも、よろしくお願いしますね。