女子柔道の暴力事件が注目されてくると、自民党の橋本聖子議員が
告発をした15人の選手の名前を公表しろ、と言ってきました。
いったいなんのために公表をするのかと思います。
自民党内から、名前が公表されないと調査がしにくいという意見が
出たのですが、なにがどう調査がしにくいのかと思います。
「橋本聖子氏「告発選手名の公表を」」
(はてなブックマーク)
「女子柔道暴力問題:告発選手、調査進まず 氏名公表巡り混乱」
こうした場合、告発者を守るために匿名にするのが当然です。
名前を公表したら、選手たちはどんな二次加害をされるか
わからないし、選手生命に影響が出る恐れもあります。
匿名でさえ、告発には相当の覚悟を決めているでしょう。
名前を公表するというのは、それだけで選手たちに対する脅しです。
名前を公表したら、選手たちへのダメージはもちろん、
今後告発する人たちが、出て来ないことにもなるでしょう。
橋本聖子は、「名前を公表しろとは言っていない」なんて、
あとからごまかしたように否定をしました。
それでも橋本発言の影響で、「名前を公表しろ」と積極的に
主張するメディアも現れましたし、告発した選手たちの
名前を公表しようという動きも、実際に出て来たのでした。
「告発した15選手の肉声なし 「痛み」伝わらず」
(はてなブックマーク)
「告発15選手の名前公表検討 柔道暴力問題」
このあと、女子柔道の暴力事件に関しては、告発した選手たちの
名前を公表するかどうかが、しばらく話題になっていました。
選手たちは、いつ自分たちの名前があかされるかもしれないと、
不安だったのではないかと思います。
いまのところ名前の公表は、さいわいにして控えられています。
>選手たちより保身が大事?
女子柔道の暴力・パワーハラスメント事件を受けて、
全日本柔道連盟の上村会長が、国際柔道連盟に謝罪をしています。
「世界の柔道関係者にご迷惑をかけた」とのことです。
「上村会長が国際柔道連盟に謝罪 「世界の関係者に迷惑かけた」」
また、日本オリンピック委員会(JOC)の富田副会長が、
自民党スポーツ立国調査会・文部科学部会の合同会議に出席し、
「対応に甘さがあった」と謝罪をしたのでした。
「「対応に甘さ」JOC、自民党に謝罪 柔道女子暴力問題」
これらを見て思ったのは、彼らがまっさきに謝罪をする相手は
告発をした選手15人ではないのかということです。
そうした肝心の被害者である選手たちをそっちのけで、
国際柔道連盟や自民党に謝っている、これらのおエラいさんたちは、
いったいなんなのかと、わたしは思います。
わたしが思うに、彼らは選手たちのことよりも、
「こんな不祥事が起きたらオリンピックが招致できなくなる」という
保身や世間体のほうが大事なのではないかと思います。
告発した選手たちのことは、やっかいなことをしやがって、
くらいの認識なのかもしれないです。
それで選手たちよりも、自分の体面に関わる
国際社会や自民党相手に、謝罪をするのではないかと思います。
(わたしも「水伝騒動」で同様のことをやられました。
保身的で世間体に弱い人にありがちなことです。)
告発した選手たちの名前を公表しろ、というのも、
「あいつらのせいでオリンピックが開けなくなる!
世間体をつぶしたやつらの名前を公表してさらし者にしろ!」
という復讐心だったのではないかと、わたしは「邪推」します。
組織を大きくする為に権力と深く関わるとどうしてもそうなります。
それが嫌な競技団体はどうしてもこじんまりとした体制になるしかありません。(それでも競技会場確保などの為に最低限の政治家達との付き合いは必要となりますがね)
国際柔道連盟や自民党に謝罪するなというのではないです。
選手たちへの謝罪をなおざりにしているので、
保身のことしか考えてないと思われるということです。