2013年02月21日

mar0006.gif内閣府による世論調査

先日2月16日に、「家族の法制に関する世論調査」という
内閣府による恒例の世論調査が発表されました。
選択的夫婦別姓を中心に、婚姻年齢や婚外子など
民法改正についての意識を調べる調査です。

「家族の法制に関する世論調査」

 
調査の全体は内閣府のサイトをご覧いただくことにして、
もっとも注目を惹く、選択的夫婦別姓制度の是非を問う
Q11を見てみたいと思います。

Q11 [回答票17]

結果は残念ながら、賛成は伸びず、わずかに後退しています。
選択的別姓を認めるよう民法を「改めてもかまわない」が35.5%で、
「改める必要はない」は36.4%となっていて、賛否がほぼ同率です。
前回2007年は、賛成が36.6%で、反対が35.0%でしたから、
6年前とくらべて、ほとんど変化がないことになります。

選択的夫婦別姓制度を導入するための法改正について

とはいっても、このところは、夫婦別姓のことは
ぜんぜん話題にならないので、こんなものなのかもしれないです。
2001年のころは、夫婦別姓の議論がさかんでした。
それで理解がわりあい浸透して、賛成がかなり反対を
上回ったのもあるのかもしれないです。

2007年は安倍政権のときで、夫婦別姓の話題が逼塞していたので、
今回とほぼ同様、賛成が伸びない結果になったものと思います。
2010年ごろは、夫婦別姓の議論がかなり盛んでした。
このとき調査をすれば、賛成がもっと多かったかもしれないです。


世代と性別にわけると、ご想像の通りの傾向が出て来ます。
男性より女性のほうが賛成が多く、また若年層ほど賛成が多くなります。
とくに世代別は、50代までは賛成のほうが多いのですが、
60代以上できゅうに逆転して、反対のほうが多くなるという
きわだった特徴をしめしています。

「家族の法制に関する世論調査」 Q11(選択的夫婦別姓の是非)
「家族の法制に関する世論調査」 Q11(選択的夫婦別姓の是非)


>マスコミの反応

マスコミはどこの新聞社も、この世論調査のことを取り上げています。
記事はたいして長くないので、関心はそれほど強くないのでしょう。

「夫婦別姓、反対派が容認派上回る…内閣府調査」
「夫婦別姓反対派が賛成派を上回る 平成8年以来 内閣府世論調査」
「選択的夫婦別姓 反対わずかに上回る」
「夫婦別姓、賛否が拮抗=容認論は減少傾向−内閣府調査」
「夫婦別姓制の法改正、賛否は二分 世代間の差くっきり」
「選択的夫婦別姓 賛否分かれる」

記事の見出しの付けかたが、「反対が賛成を上回る」と
「賛否は二分」の大きくふたつにわかれていると言えます。
数字だけ見ると、反対のほうが賛成より多いのですが、
前回2007年の調査からの変動はわずかで、誤差程度の違いと言えます。
「賛否は二分」と書いたほうが良心的なように思います。

そこへもってきて「反対派が賛成派を上回る」と
見出しで強調することに、どういう意図があるのかと思います。
読売の記事には「導入の機運が高まっていないことが浮き彫りとなった」
と書いてありますが、この結論を書きたいためではないかと
ちょっと勘ぐりたくなってきます。

記事の記述がいちばん長いのは東京新聞です。
Q8の「家族の一体感」の質問についても言及があり、
「苗字が違っても家族の一体感に影響がない」という回答が、
調査ごとに増えていることに触れています。
さらに、「当事者意見重視を」という小見出しで、
榊原富士子教授のコメントを載せています。

この問題の一番の当事者である二十〜三十代女性の意見を重視すべきだ。
通称容認派も含めると80%以上が夫婦別姓に何らかの必要性を
感じていることを示しており、結婚して子供を産んでも
働きやすい環境を整えることが重要だ。
女性が社会に出て働かなければ、安倍政権が掲げる景気浮揚も見込めない。
世論調査の対象が高齢層に偏っていることも気にかかる。


>わたしの雑感

わたしはじつは、世論調査には醒めたところがあるのです。
かつて世論調査で反対が多いことを理由に、民法改正に反対してきて、
2001年に賛成が多くなるときゅうにだまった過去があります。
世論調査でどんな結果が出ても、どうせ反対するのではないか、
反対が多いときだけ「理由づけ」にするのではないか、
という懐疑があるのがひとつです。

それに女子差別撤廃委員会(CEDAW)からは、世論調査を民法改正しない
言いわけにするなと、勧告を受けています
民法改正は少数派の権利の尊重という立場で行なうべきで、
こんな「多数決」をすることにどんな意味があるのか、
多数決をしたらかえって少数派の権利は
守られなくなりかねない、という考えもあるからです。

それでも、この世論調査が発表されると、
ツイッターでは多少夫婦別姓のことが話題になりました。
世論調査なんてあまり意味なさげに、わたしには感じられるのですが、
話題作りくらいには、役に立つもののようです。
(世論調査をやらないよりは、やったほうがましだろうし、
賛成が多ければそれにこしたことないのは、たしかですが。)

posted by たんぽぽ at 07:16 | Comment(5) | TrackBack(0) | 民法改正一般 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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この記事へのコメント
賛成の多い20代、30代の回収率が低いせいで、拮抗しているように見えますが、実際は賛成が多いようにも見えます。

調査のマジックというか。

あと、共働きの方とかも当然忙しいので回収率が低そうですね。(そのデータはありませんが)

そういったハンディがあっての拮抗なので、そのあたりを強調する必要はありそうです。
Posted by 魚 at 2013年02月21日 19:47
この選択的夫婦別姓制度は議論なしでやってしまう方式を取らないと4〜50年経たないと実現しそうにないと思うな。
賛成側は合理性、反対側は感情論なんで基本的に議論にならない。
Posted by D at 2013年02月21日 23:04
というか、議論としては、もう導入する以外ありえない、という結果だと思いますけどね。

導入を希求する人の数が

国民127,817,277人 (2011年)の36.4%が賛成し、そのうち23.5%が実際に別姓を希望している、ということは、実に1000万人を超える人が、別姓を希望している、ということに他なりません。

これは、神奈川県や大阪府よりも多く、東京都の人口1300万人にも肉薄する数字で、導入しない、なんていう選択肢はありえないのだと思います。

Posted by 魚 at 2013年02月22日 10:48
魚さま、このエントリにコメントありがとうございます。

>賛成の多い20代、30代の回収率が低いせいで、

若年層ほど回収率が低く、高齢層の意見が多く反映される、
というのは、よく指摘されることですね。
若年層はただでさえ人口がすくないのに、
低い回収率のため、余計人数が減ってしまうのですね。


>というか、議論としては、もう導入する以外ありえない、

賛成派の主張は多くの根拠は事実に支えられているし、
反対派の主張は虚構や思い込み、偏見がほとんどですからね。
議論としては決着は付いていると思います。

>導入を希求する人の数が

あきらかに無視できるような少数ではないですよね。
反対派は努めて眼をそらすと思いますが、
世間一般の認識でも、「めったに見かけないほどの少数」だと
思われているのでしょうかね?
Posted by たんぽぽ at 2013年02月23日 07:22
Dさま、このエントリにコメントありがとうございます。

>選択的夫婦別姓制度は議論なしでやってしまう方式を取らないと

わたしも、おなじように思いますよ。
選択別姓の議論なんて20年以上前からやっているし、
いまさら議論することなんてないと思います。

反対論者は「まだ議論がふじゅうぶんだ」といまだに言う人がいるけれど、
単に自分が感情的に受け入れられないのを、
言いわけしているだけとしか思えないのですよね。
反対論者とはいくら議論を重ねても、
「まだ議論がふじゅうぶん」と言い続けると思います。

反対論者は導入を阻止するために、時間稼ぎをしたくて、
「まだ議論がふじゅうぶんだ」と言い続けて
いるのではないかと、思いたくもなってきます。
Posted by たんぽぽ at 2013年02月23日 07:24
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