1月28日エントリで、すこしお話した、
『バックラッシュ!』は、かくもすばらしいのですが、
この本(というか、小山エミ氏と、荻上チキ氏のふたり)について、
わたしは、以前から、気になっていることがあります。
それは、ふしぎなことに、この本のどこにも、
「統一教会」「国際勝共連合」という語が、出てこないことです。
『世界日報』は出てきますが、それがどこの機関紙かは触れないのです。
これは、かなり徹底していて、じつは本だけでなく、
もとになったウェブサイトでも、極力避けています。
どうやら、一定の方針があって、わざと触れないもののようです。
わたしが、はじめて、『世界日報』の存在を知ったのは、
「ジェンダーフリーとはなにか?」(荻上氏作)のつぎの設問です。
http://seijotcp.hp.infoseek.co.jp/genderfreeQandA.html#ex-10
ここでは、『世界日報』が、どこの機関紙なのか、
Wikipediaのリンクだけ示されていて、直接は書いてはいないです。
それでも、わかることはわかるし、わたしも、これで始めて知りました。
ところが、このもったいぶった扱いを見て、統一教会に言及することは、
「タブー」という印象を、わたしは、受けてしまったのです。
(統一教会に、いくらかくわしいかたでしたら、
信者からいやがらせにあったと、思うかもしれないです。)
これは、つぎにあるように、レッテル張りを避けたいからだ思います。
|あえて一度だけ《誰が・どこで・どんな理由でバッシングをしているか》
|という点に触れました。○○(団体名)《だから》だめだ、
|というようなことを言うつもりはありません
宗教とわかると、色眼鏡で見る人が多いからだと思いますが、
「『どういう社会が望ましいか』『どうすれば可能か』
『その見方は根拠があるか』の話」に徹底するために、
統一教会に触れることを、いっさい避けることにしたのでしょう。
とくに、バックラッシュは、「○○だからだめだ」のような
否定をよくやるので、同じ愚におちいりたくないのもありそうです。
実際、統一教会に批判的な人まで、賛同者と決めつける人も、
本当にいるようですし、それは冷静な議論の邪魔になるというので、
ますます避けたくなるのだと思います。
一切の偏見を排するために、出所のことを厳格に伏せたため、
著者ふたりの議論は、ひたすら事実と根拠に依存していて、
実証性のきわめて高いものとなったのは、たしかだと思います。
それゆえ、わたしに、すばらしいと感じさせたのですし、
かかる方針は、いちおう正しい判断だったと言えるでしょう。
とはいえ、『世界日報』が、統一教会のメディアであることは、
まぎれもない事実ですし、彼らの純潔思想が、
バックラッシュに影響していることも、たしかでしょう。
ましてや、政権与党のバックラッシュを批判しながら、
その支持基盤である、国際勝共連合をまったく無視するのは、
政治批判としてふじゅうぶんだと思います。
事実の一部を、わざと隠しているという印象もしてきますし、
また、腫れ物に触るようにも見えるので、
統一教会は、政治と関係ない(あると思ってはならない)ような印象さえ、
かえって受けてしまうかもしれないです。
(それとも、わたしだけが、そうなのかな...?)
じつは、このおかげで、統一教会は非政治的であり、
政治との直接のつながりはないのだなと、
わたしは、すっかり誤解してしまったのですよ。(泣)
(それは、たんぽぽが、馬鹿なんだということかもしれないが。)
2007年01月30日
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既知かも知れませんが、新情報です。
「パワー・フォー・リビング」と統一教会の関係についての情報整理
http://alcyone.seesaa.net/article/32424591.html
どうやらキリスト教原理主義的なものは共和党を通じていろいろとありそうですね。
「パワー・フォー・リビング」というのは、
寡聞にして始めて聞きました。(ぜんぜん知らなかったです。)
そう言えば、近くの駅のポスター広告で、
久保田早紀の写真が、貼ってあったけれど、
これも、パワー・フォー・リビングの宣伝だったのかな...?
(リンク先をたどって、サイトを見たら、同じ文章があった。)
「パワー・フォー・リビング」。
http://news.www.infoseek.co.jp/topics/society/power_for_living/story/01gendainet05017494/
アメリカ合衆国では、おとなになってから、あらためて、
キリスト教への誓いをしたり、あるいは、キリスト教徒になったりする、
「ボーン・アゲイン(生まれ変わり)」という人たちがいるんだけど、
そういう人たちを、排出しているのかな...?
ボーン・アゲインは、一般に狂信的、原理主義的ですね。
ブッシュ大統領もそのひとりで、
それで、アル中から救われたのではあるけれど。
(だから、ブッシュは、ダーウィン進化学に否定的だそうだ。)
それも、曰く付きの教会(協会?)だったのかもしれませんね。サンディエゴは海軍の町だから、結構保守的だろうし。
全国の主要な大学では、「原理研究会」という統一教会の下部組織があって、今調べてみたら、1967年には『親泣かせの「原理運動」』として新聞報道されていたようです。
http://www.ops.dti.ne.jp/~kup/genri.html
上記は、1999年か2000年頃の「京都大学新聞」(民青の影響が強いと思われる)の例ですが、民青系の学生新聞は、こういう呼びかけをしょっちゅうしていて、ビラも撒いていたので、私は学生時代から統一協会も世界日報も、自民党の政治家たちとのかかわりもよく知っていました。ちなみに、私は当時から政治には興味がありましたけど、当時も今も支持政党なしの反自民系無党派層です。
でも、世間一般の人には、自民党のタカ派政治家の多くが、韓国のカルト宗教(しかも裏では北朝鮮ともつながっている)と癒着していることは、ほとんど知られていないんでしょうか?
>(しかも裏では北朝鮮ともつながっている)と癒着している
知らないかたばっかりだと思いますよ。
(常識的に知っている人が、たくさんいたら、
自民党はいまごろ、消滅しているんじゃないかってね...)
安倍晋三氏が、合同結婚式に祝電を送ったことを、
ふとした機会に、あるところで、ちょっとお話したんですよ。
そうしたら、「統一教会なんて、もう消滅したのかと思った。
たんぽぽは、いろんなこと知っているねー」なんて言われちゃったし。(苦笑)
「ジェンダーフリーとはなにか?」でも、信教の自由があるとか、
宗教にもリスペクトが必要とか、書いているけれどね...
最高裁判所から、違憲判決をもらうくらいの、違法集団だと思うと、
このかばいかたは、かえって異様に見えますね。
(そうじゃなくて、議論させないための、方便かもしれないけれど...)
筑波大学創設に関わった福田信之元学長(故人)と久保木修己との関係も非常に深いものです。
福田氏は、大学創設の理念にまでその思想を取り込もうというほどの熱心さであった、と聞いています。
(もちろん、だからといって筑波大学について何らかのレッテルを貼るわけでないのは言うまでもありませんが)
検索しても引っかからないのかなと思ったけれど、こんなサイトがありました。
ご参考までに…。
http://www.chojin.com/person/fukuda_kuboki.html
ご紹介、ありがとうございます。
筑波大学初代学長ともご縁があるのも、はじめて知りましたよ。
福田信之氏は、もともと怪しげな方向に、行きかけていたようで、
そこへ久保木氏と会って、統一教会の賛同者となったみたいですね。
(大学を創るとき、四面楚歌だったって、
やっぱり宗教的なことが、原因だったのかな...?)
でもって、筑波大学は、そのあとどうなってしまったんだ...?
統一教会の影響からは、抜け出せたんでしょうか...?
(察するに、はまったのは、福田氏おひとりだけのようなので、
だいじょうぶな感じだけど...)
kojitakenさま
当時の学生さんのあいだでは、筑波の学長先生が、
統一教会の賛同者だということも、常識的だったのね...
(わたしは、つくばの怪しいお話なんて、都市伝説しか知らないよ...)