朝鮮学校が高校無償化の適用からはずされることが、
高校無償化が導入されたときから、ずっと問題になっています。
朝鮮学校を無償化からはずすことが、まったくの不当であることを
解説した資料があるので、いくつかご紹介したいと思います。
よくある「朝鮮学校を無償化の対象からはずすべし」という主張に対して、
ほとんど反論が述べられていると思います。
「朝鮮学校「無償化」除外問題Q&A 金明秀」
「朝鮮学校無償化問題FAQ」
「ぼん(Bong_Lee)さんによる、ネトウヨと朝鮮学校の補助金問題などに関するコメント」
朝鮮学校を無償化の適用からはずす側の言いぶんとして、
よく出てくるのが、「拉致問題が解決していない」といった、
北朝鮮に関する情勢です。
ほかにも、北朝鮮が核実験を行なうなどすると、
無償化を適用除外すべしという論調が、しばしば強くなります。
ところが、朝鮮学校の生徒たちが、北朝鮮の核実験を
起こしているのではないし、拉致問題に責任があるのでもないです。
朝鮮学校の無償化を停止すれば拉致問題が解決したり、
北朝鮮が核実験をやめるのでもないです。
北朝鮮の情勢を理由に、日本の朝鮮学校の無償化を停止するのは、
単なる「八つ当たり」にすぎないと言えます。
ぴんと来ないかたは、「日本では『従軍慰安婦はいなかった』なんて
でまかせの歴史を教えているし、慰安婦に対する公式の賠償も
していない」と言って、中韓や欧米で日本人学校への
支援を停止したらどうなるかを、考えればよいでしょう。
たぶんおおかたの人は、「それは日本人学校の生徒たちには
関係ない」と思うでしょうし、また日本人学校の支援を止めたところで、
日本政府の従軍慰安婦に対するスタンスに影響するとも、
だれも思わないのではないかと思います。
朝鮮学校の無償化の適用除外は、日本国憲法14条で定められた
法のもとの平等に違反しているとされます。
また日本が批准している、「人種差別撤廃条約」や「社会権規約」、
「子どもの権利条約」といった、いくつもの条約にも違反します。
これについては、アムネスティや日本弁護士連合会から
声明が出ているので、つぎの記事をご覧いただきたいと思います。
「日本:朝鮮学校の子どもたちに無償化制度を適用すべき」
「朝鮮学校を高校無償化制度等の対象から除外しないことを求める会長声明」
自民党・安倍政権は、朝鮮学校を無償化の適用からはずすことを、
いよいよあからさまにしてきました。
「文科相が日本の高校に相当すると指定する」という、
朝鮮学校の法的根拠を定めた省令の改正まで行なう予定です。
それでついに、名古屋と大阪の朝鮮学校の生徒たちが、
国を相手に提訴に踏み切ることになったのでした。
「無償化不適用巡り、朝鮮学校生徒らが提訴 大阪・名古屋」
「無償化求め提訴へ、大阪朝鮮学園 「日本の高校と同等に」」
「〈高校無償化〉朝鮮学校の存在をストレートに訴えたい/
山本かほり・「無償化ネット愛知」共同代表」
「「高校無償化適用を」大阪朝鮮学校が国を提訴 文科省「法にのっとり適切に対処」」
「孤独なたたかいにしてはいけない」
民主党・菅政権のときに、無償化の適用除外に対して、
訴訟を起こす準備をしていたので、動きが早かったのかもしれないです。
わたしも「きっと訴えられるのではないか」と思っていました。
この訴訟、国はかなりの確率で敗訴するのではと思いますよ。
朝鮮学校だけ無償化の適用外とするのは、
あからさまな差別であり、法的根拠がないからです。
菅政権のとき、訴訟になったら絶対に負けるからと、
文科省の官僚たちは、朝鮮学校の無償化の停止を撤回するよう、
菅首相(当時)を説得しようとしていたくらいです。
付記:
わたしがむかし書いたエントリ。
「朝鮮学校の無償化」
「朝鮮学校の無償化(2)」