2013年03月10日

toujyouka016.jpg 安倍に冷ややかなオバマ

またすこし前の話題ですが、安倍首相とオバマ大統領とのあいだで、
2月22日に日米首脳会談が実現したのでした。
(はじめは1月中に開くことを予定して、延期になったものです。)

ところが安倍は、この首脳会談では冷たく扱われたのでした。
もともとオバマ大統領は、会談を開くことを疑問視して、
難色をしめしていたところを、安倍が無理に頼んで
開いてもらったところがありますし、むべなるかなとは言えるでしょう。

「夕食会も出迎えもなし。日米首脳会談で見せ付けられた日本軽視の厳しい現実」
(はてなブックマーク)
「首脳会談、米側は抑えた反応 メディアの関心も低調」
「オバマ大統領から冷遇された安倍首相、その背景には」

 
他国の首脳が来たときはとうぜんある夕食会やお出迎えも、
今回の安倍に対してはなかったのでした。
さらにすごいのは会談後の共同記者会見で、記者からの質問は
オバマ大統領に集中し、安倍はぜんぜん質問されなかったのでした。
見かねたオバマ大統領が「次の質問は安倍首相に
向けられることを提案します」と言って、即したくらいです。

安倍としては、「民主党政権で悪化した日米関係を
自民党政権で修復した」という筋書きのために、
オバマと会談をしたかった部分が大きいのでしょう。
アメリカ側からは「ためにする会談」だと思われたのでしょう。

オバマ大統領としては、いそがしい中時間を取って
会うのですから、会談のテーマや目的をはっきりさせて、
意義のあるものにしたいと考えるのは当然です。
「ためにする会談」をしようとするのは、野田政権のころも
そうだったとあるのですが、安倍政権になっても、
それは変わってないと、アメリカ側からは見られたことと思います。


ところで日本のメディアは、この日米首脳会談で
安倍が冷たく扱われたことを、あまり大きくは伝えていないようです。
マスコミもいまのところ、安倍政権を持ち上げたいのでしょうか?
民主党政権がおなじ事態になったら、「日米同盟が悪化した」と
ここぞとばかりに叩いたのではないかと思います。

アメリカ側が冷ややかで、日本に対する関心が
低かったことを伝えた記事が、朝日新聞に出てはいます
(記者会見で安倍に質問が向かなかったことが書かれています。)
またブックマークを見ると、TBSのニュースで、
安倍が冷たく扱われたことが取り上げられたようです。
最初にリンクした記事ほどには、くわしくないみたいです。)


>従軍慰安婦問題への言及

安倍の訪米の際、従軍慰安婦のことはなにも言われなかったのかと
お思いのかたも、これをご覧の中にはいらっしゃると思います。
やはり言われていました。

「オバマ政権高官:日本は「慰安婦」問題にもっと本気で取り組むべき。一方、安倍首相は…」

オバマ政権高官のダニー・ラッセル氏から、
オバマ大統領との会談の前日に「日本は「慰安婦」問題に
もっと本気で取り組むべきだ」と、安倍は言われたのでした。
(オバマ大統領から直接言われたのではないようです。)

安倍の訪米にさきだつ2月15日に、アメリカの議会調査局が、
対日関係や安倍政権についてのくわしい報告書を出しています。
この中で従軍慰安婦問題は、独立した節が設けられ、
「米国の利益を害する」とはっきり書いているのです。
オバマ政権が慰安婦問題を、かなり重視していることがわかります。

http://peacephilosophy.blogspot.jp/2013/03/blog-post.html
========
歴史認識問題において安倍のナショナリスト的アプローチが
中国、韓国との関係を損ね、米国の利益を害する
可能性があることを指摘しています。
「慰安婦」問題については独立したセクションが設けられています。
全体的に価値判断よりも客観性を貫いている報告書の中で
この歴史認識問題についてだけは「米国の利益を害する」と
断言しているのは注目に値すると言えるでしょう。
========

日米首脳会談で、アメリカ側が安倍に冷たかったのは、
従軍慰安婦問題をはじめ、歴史認識のこともあるのかもしれないです。
アジア諸国、とくに中国との関係を良好に保ちたい
オバマ政権にとって、国粋主義とタカ派指向の強い安倍政権とは
距離を置きたいということなのかもしれないです。


日本のメディアは(オバマとの会談に含まれない
というのもあるのでしょうが)、安倍首相が慰安婦問題で、
オバマ政権の高官から水をかけられたことは、ぜんぜん報じてないです。
もともと日本のメディアは、外国から女性差別を
批判される話題はタブー気味ですし、いまは安倍政権を
持ち上げたいみたいですから、書けないのでしょう。

そういうしだいなので、オバマ政権が従軍慰安婦のことで
安倍政権を問題視していることを、日本の国民はほとんど知らないわけです。
このままいくと、国民の知らないあいだに日米関係が
ひどく悪化していた、ということにもなりかねないとも思います。

posted by たんぽぽ at 23:56 | Comment(2) | TrackBack(0) | 政治・社会 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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この記事へのコメント
一部右翼週刊誌とかは「ロン・ヤス再開」とかもてはやしてたりしますが、そもそも、民主党のオバマが保守安倍を好きになるなんてことがあるわけがないですな。
Posted by 魚 at 2013年03月11日 22:43
このエントリにコメントありがとうございます。
わたしのお返事が遅れ気味でもうしわけないです。

>一部右翼週刊誌とかは「ロン・ヤス再開」とかもてはやしてたりしますが、

あらあら、そんな持ち上げかたをしているのね。
右側の人たちは、安倍にお追従をしているとは聞いていたけれど、
これは都合の悪いところを、切り捨てすぎですね。

>民主党のオバマが保守安倍を好きになるなんてことがあるわけがないですな

安倍は欧米諸国ではタカ派で国粋主義という評判ですし、
それだけで諸外国から警戒される存在だと思います。
アメリカ以外の国も、多かれすくなかれ安倍とは距離を開けたいと
思っているのではないかと思います。
ましてやオバマ大統領とは、なおさら相性が悪いでしょうね。
Posted by たんぽぽ at 2013年03月14日 07:44
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