2013年04月03日

toujyouka016.jpg 高橋史郎の起用に抗議

1月13日エントリで、男女共同参画会議に「親学」の高橋史郎が
起用されるという、とんでもないことがあったのをお話しました。

この高橋氏の起用に対して、3月27日にmネットをはじめ、
11の女性団体と弁護士・有識者らが、抗議をしています。
タイミングが遅い感じはありますが、それでも抗議を出したことは
よかったというか、当然のことだと思います。

「怒れる女性11団体 男女共同参画会議 「つくる会」元副会長起用」

抗議文書の全文はこちらにあります。

「男女共同参画会議議員への高橋史朗氏の起用について(抗議)」

 
抗議をしたのはもちろん、高橋史郎の思想が、
男女共同参画の主旨にまっこうから反するからです。
高橋氏は、男女共同参画を阻む最大の要因とされる固定的な
性別役割分業を肯定するだけでなく、性教育やジェンダーへの
バッシングの急先鋒として知られており、男女共同参画会議の議員としては
極めて不適格であり、その起用に強く抗議いたします。

高橋史郎というのは、日本国憲法、女子差別撤廃条約、
男女共同参画基本法の理念にも、反対したことがあります。
2002年のさいたま市の条例制定過程で高橋氏は、
男女共同参画推進協議会が「日本国憲法、女子差別撤廃条約、
男女共同参画社会基本法等の理念をふまえる」と提言したことに異論を唱え、
「男らしさ、女らしさ」を肯定する文言を入れようと働きかけました。

東京新聞の記事を見ると、「従軍慰安婦否定」「戦後の男女平等教育の否定」
「夫婦別姓の否定(非共存派)」「性教育の否定」と、
反ジェンダー平等思想が、見事に並んでいます。
高橋氏は従軍慰安婦をめぐる教科書の記述を自虐的と批判する
「新しい歴史教科書をつくる会」の元副会長。
男女差別の解消を進めた日本の戦後教育を連合国軍総司令部(GHQ)による
「精神的武装解除」と捉え、夫婦別姓や性教育にも批判的だ。

このほかにも高橋氏は、過去にもたびたびジェンダー平等に反する
提言や活動をして、市民団体や有識者などから抗議をされるのを
繰り返すという、筋金入りの人物だったのでした。


この抗議には、南野知恵子元法相も加わっています。
むかしの自民党政権時代の閣僚が参加しているのは、いささか意外でした。
高橋史郎の男女共同参画会議への起用は、
かつての自民党の関係者が見ても、ひどいものなのでしょう。
いまの自民党はそれくらい劣化したということになりそうです。

抗議文を受け取った議長の菅義偉官房長官のコメントが、
東京新聞に載せられていますが、これがなんともしらじらしいです。
「知見を参考にしたいと任命している。
著書で男女共同参画に反対しているのではないことも明確に述べている」

上述のように高橋史郎が男女共同参画に反対なのは、あきらかだと思います。
高橋史郎の著書とやらを、わたしは知らないのですが、
想像するに「夫婦別姓は行き過ぎた男女共同参画」とか、
「男女共同参画は賛成だが、伝統的な男女の役割も必要」とか
そんなことを言っているのかもしれないです。


謝辞:
1月13日エントリのコメント欄で、東京新聞の記事を教えてくださった
魚さま、ありがとうございます。

posted by たんぽぽ at 22:53 | Comment(6) | TrackBack(0) | 家族・ジェンダー | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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この記事へのコメント
この抗議文には「わが国が加盟している女性差別撤廃条約は〜」とありますが、こういう条約や国際機関の権威をかさに着なければ自分たちの主張ができないのですか? 
貴殿もよく「外国では〜」「西欧の民主主義国では〜」とかおっしゃいますが、そうやってすぐに外圧をあてにすることしかできない姿勢は、まるですぐに「先生に言いつけるぞ」と言う子どもにそっくりですね。
Posted by クラムボン at 2013年04月05日 00:05
クラムポンさんという方の言っていることは、わかりやすくいえば、「外国がこう 言っているので、それはだめだ」ということですね。
大変説得力あることで、大変結構だと思います。

ただ、老婆心から付け加えますと、反論するべき事柄なのであれば、大人であれば、単純に、内容を論じればよいのですよ。

内容を論じないで「先生に言いつけるなんて許せん」とかいうのは、本当に子供そっくりですね。ご自身を棚にあげて他人を子供そっくりということも、子供そっくりです。

ちなみに、子供の喧嘩の場合、「先生に言いつけたな」と言って怒る子供がたいてい悪いことをしている、というのは誰でも知っていることです(笑)。


Posted by 魚 at 2013年04月05日 10:16
クラムボンさま

「虎の威を借る狐」の故事に例えるなら、先生と子供の例えは不適切でしょう。
Posted by D at 2013年04月05日 22:57
クラムボンさま

>この抗議文には「わが国が加盟している女性差別撤廃条約は〜」とありますが

自国が批准した条約を守るのは当たり前のことですよ。
憲法や国内法を守らなければならないのとおなじです。
遵法意識を問題にしているのであって、権威を傘に来たのではないです。

>貴殿もよく「外国では〜」「西欧の民主主義国では〜」とかおっしゃいますが

それはもちろん「他国を知ることは自国を知ること」ですからね。
自分の国を客観視するには、外国を見るのがいちばんです。

そして自分の国のいたらないところがあったらそれと向き合い、
外国にすぐれた例があればそれに学ぶことで、
自分の国をより住みやすいものに変えていくということです。
自分の住んでいる社会を改善する、外国から学べるものがあれば
それを学び取るというのは、あたりまえのことだと思いますよ。


>そうやってすぐに外圧をあてにすることしかできない姿勢は、

外国と比較しただけでは、外圧なんてありませんが?
それとも、女子差別撤廃委員への報告のことなのかな?
これは報告が義務づけられているので、条約に批准した時点で、
みずから受け入れたということですよ。
Posted by たんぽぽ at 2013年04月11日 23:25
魚さま、このエントリにコメントありがとうございます。

わたしは「ヨーロッパの民主主義国では」というのは、
わざと書いているのもあるのですよね。
もちろん、それで不愉快になる人が出てくるのも、織り込み済みです。

>内容を論じないで「先生に言いつけるなんて許せん」とかいうのは、
>本当に子供そっくりですね

まったくですね。
内容についての言及がいただきたいところですね。

>「先生に言いつけたな」と言って怒る子供がたいてい悪いことをしている、

クラムボンさまも、ご自分の主張が理不尽であると、
内心ではわかっているのかもしれないですね。
それで内容では反論できないので、「外国を持ち出すのは気に入らん」と
息巻くのかもしれないですね。
Posted by たんぽぽ at 2013年04月11日 23:27
Dさま、このエントリにコメントありがとうございます。

>先生と子供の例えは不適切でしょう

わたしも、ずれていると思ったです。

クラムボンさまの場合、外国を引き合いに出すことは
「外圧をあてにすること」だと思っているみたいなので、
それで「先生に言いつける」ということなのかもしれないです。
Posted by たんぽぽ at 2013年04月11日 23:28
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