すこし前の記事ですが、『サンデー毎日』の2月24日号で、
小沢一郎氏が昨年12月の総選挙の敗因について語っています。
大下英治氏によるインタビュー記事です。
以下のエントリに、その全文が写されているのでご紹介します。
「小沢一郎がすべてを語った」
こんな副見出しとリードが付いています。
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談合ニッポンをもう一回うちこわす!
《小沢一郎がすべてを語った》
アベノミクス、TPP、野党再編、憲法改正
ーー惨敗した「剛腕」次はどう動くのか
〈アベノミクスは「国民にカネが回らない」〉
〈安倍首相「なんとなく右」が危なっかしい〉
〈このままなら民主党は「第二の社会党だ」〉
嘉田由紀子滋賀県知事を擁した前回衆院選で惨敗を喫した
小沢一郎・生活の党代表。果たして“剛腕”は死んだのか。
景気対策の裏で「憲法改正」に突き進む安倍晋三政権の評価、
そして今後の政局はーー。
作家・大下英治氏が核心に迫った独占インタビュー90分。
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前にもこのブログで、民主党の敗因分析の記事を紹介していますが、
その内容に関係するところを見ていきたいと思います。
「衆院選・政治主導壊滅(3)」
「民主党崩壊の原因分析」
「失われた20年と民主党」
民主党が崩壊した根本として、小沢氏は「国民から政権を預かった、
という責任感と使命感がなかったこと」と語っています。
3月3日エントリで紹介した、「民主党崩壊の原因」の記事でも、
「全体を見る大局観や、自分やグループではない“公”に対する
責任感が乏しいのではないか」とおなじような指摘があります。
やはりそう見えるということなのでしょう。
直接の被害にあった本人なので、「小沢切り」にも多数言及があります。
ここで小沢氏は、民主党政権の体質について
「同志が力を合わせて助け合うという良い意味での仲間意識が皆無」
「セクト主義的な左翼運動の体質がある」と述べています。
連合赤軍の内ゲバのよう、なんて評する人もいましたが、
はっきり「サヨク的」という批判が出ていますね。
さらには「小沢を切れば支持率が上がる」という発想は、
「あいつを倒せば自分は安泰だ」という、
官僚とおなじ精神構造があるとしています。
民主党政権は、「サヨク」的にして「官僚」的ということになります。
これは「サヨク」や「官僚」のような体質では、
政権担当はできないことをしめしているとも言えます。
ちなみに、「民主党崩壊の原因」の記事では、
「小沢を切れば支持率が上がる」という発想は、
菅内閣、野田内閣の首脳陣は、目先の「局地戦」をクリアする
ことだけ考えて、大局を見通した判断をしないという
視界の狭隘化に原因があると考えていたのでした。
こうしたところも含めて、「民主党は“子ども”」なのでしょう。
そして「だから民主党は官僚と“共闘”できたんでしょう」と、
小沢氏は皮肉っぽく述べています。
民主党政権が官僚に取り込まれたのは、よく言われることですね。
「民主党崩壊の原因」の記事でも、「野田政権へと後にいくに従い、
官僚への依存度を増して」いったと、官僚依存からの脱却に
失敗したことが触れられているのでした。
小沢一郎氏がなぜこのように狙われるのかと言えば、
「旧体制の人たちにとって完全な標的」だからにほかならないです。
小沢氏は既得権益との対峙するを標榜するので、既得権を維持したい
もろもろの人たちには、ものすごく目障りということです。
陸山会事件で、検察が強制捜査を始めたのも、
彼らにとってはなはだ不都合である政権交代が起きて、
小沢氏が首相になるのを、阻止したかったからにほかならないです。
官僚機構が、自分たちには気に入らないというので、
国民が選挙で選ぼうとしている政権を妨害するのですから、
官僚機構による議会制民主主義への挑戦と言えます。
それは「普通の法治国家、民主主義国家ではあり得ないこと」であり、
「民主主義を否定する人たちの所業」ということです。
しかも証拠がないとなると、証拠の偽造までしたくらいです。
まさに「後進国の独裁国家」並みと言えるでしょう。
「日本は経済だけ発達した開発途上国」という体質が
ここでも現れていることになります。
日本人は非常識とか人権意識の欠如とか劣化したとか
いろいろ言われますが、陸山会事件で小沢氏を攻撃することが、
議会制民主主義の否定であることに、まるっきり無自覚なことが、
じつはいちばん深刻なのではないかと、わたしは思います。
メディアや世論さえも無自覚で、いっしょになって
小沢氏への攻撃に明け暮れていたのでした。
小沢氏が目障りな既得権益層はともかく、一般の人たちで
小沢氏を叩くのは、感情的反発が先行するのだと思います。
そうした感情によって、議会制民主主義を否定することの危険は、
もっと強く認識されなくてはならないでしょう。
いちばん深刻なのは「小沢切り」をした民主党政権です。
「内ゲバ」とか「政権交代の立役者への忘恩」と
いったことも問題ですが、それ以上に政権が率先して、
自己保身のために議会制民主主義の否定に加担したことが
なにより深刻なのだと思います。
陸山会裁判で小沢氏の政治活動を制限したことで、
小沢氏の政治生命は絶たれなかったけれど、
政権交代と民主党を壊したのですから、検察やメディアとしては
「上出来」だったのではないかと思います。
「90点くらい取れたと思っているよ、「彼ら」は」と
小沢氏は述べていますが、わたしもそうだろうと思います。
わたしのブログにコメントありがとうございます。
>杉浦迪也氏
これですね。
https://twitter.com/michiya1947
じつはこのかたのこと、わたしは寡聞にしてぜんぜん知らなかったです。
ご紹介ありがとうございます。
そうですねえ...
視界に入ってきたら、なにか書くかもしれないです。