4月15日エントリの続き。
『サンデー毎日』の「小沢一郎がすべてを語った」についてです。
昨年12月の総選挙ついては、小沢一郎氏は反自民勢力が
まとまらなければ、勝てないと見ていました。
衆院選は小選挙区がメインですから、とうぜんのことと言えますね。
すくなくとも、選挙区の棲み分けは必要です。
それで小沢氏はご存知のように、みんなの党や維新にも、
まとまるよう呼びかけたのですが、これらの党は非協力的でした。
その結果は、自民と公明の圧勝となったのでした。
3月16日エントリでご紹介の記事、「政治と経済の失われた20年」で
菅原琢氏は「学習の成果をすぐに生かすことです。
今回の選挙で、野党がまとまらないかぎり自民党と公明党には
勝てないことがわかりました」と述べていますが、
そんなことは小沢氏は先刻承知だったわけです。
ほかに小沢氏は、自民の得票数は増えていなくて、
民主党や「第三極」がばらばらになったから自民が圧勝した、
そして解散総選挙は民主党の「自殺行為」とコメントしています。
これもよく言われることで、「政治と経済の失われた20年」でも
おなじことが、荻上チキによって述べられています。
ちなみに菅原琢氏は、現在の選挙制度では都市部に不利で、
利益誘導を助長するとしています。
これは「一票の格差」のことでしょうか。
参院は衆院以上に一票の格差が大きく都市部に不利です。
参院の選挙区の区割りも、早急に是正する必要があることになります。
(というか、参院選を意識して言ったのかもしれないです。)
それにしても、「野田首相周辺から「これで党が筋肉体質になる」
「スリムになって逆に良かった」というような意見が聞かれる」
というのは、本当なのでしょうか?
そうだとしたら、民主党はあれだけの大敗にもかかわらず、
周囲がまるで見えていなくて、はなはだしい視野狭窄だと思います。
「いい加減眼を覚ませ」です。
夏の参院選に関しても、小沢氏は「このまま行くと、
野党は参院選で負けます」と見ています。
安倍政権は高い支持率が続いていて、支持が崩れる気配がないです。
わたしも民主党をはじめ、野党各党は敗色が濃いと思います。
参院選で野党が勝つためには、野党どうしの連携は必要でしょう。
ところが民主党に関しては、「「排除の論理」の人たちの
影響力もまだある」ようですし、生活の党の現職がいる
新潟や広島に新人候補をぶつけてくるくらいです。
民主党が連携できるのは、元「身内」の生活の党と緑の党で、
あとは状況いかんでみんなの党と連携できるかどうか、
というところだと、わたしは思います。(維新とはおそらく無理。)
生活の党に対してアレルギーが止まらないようでは、
民主党はおそらくどことも連携できなくなって、
参院選も大敗する可能性が高くなると思います。
>安倍政権の過小評価
わたしが気になっているのは、小沢一郎氏は自民党政権に対して、
「参院選で負けたって次の衆院選は絶対勝てる。
自民党は安定政権とは思えません。結構もろい」
「政権奪還自体は難しくないと思っています。
事実、自民党などの票は増えなかったのに3分の2の議席を得たわけだから、
再び(民意が)振れればドンデン返しになる」
のように、過小評価をしているところです。
自民党の大勝は敵失によるもので、自民党の支持自体は
伸びていないことは、たしかに得票数などが示しています。
とはいえ、現状では野党勢力は分裂したままですし、
なにより安倍政権の支持率が高い状態が続いています。
自民党政権はいまのところ支持が崩れそうにないし、
支持が崩れても、野党は対抗し切れないのでは?と、わたしは思います。
>アベノミクス
小沢一郎氏はアベノミクスについては、評価してないです。
「公共事業のばらまき」という従来の自民に戻っただけとしています。
つまり、「GDPを大きくすれば、みんなに配分が行き渡り、
国民の所得も上がる、生活水準も上がる」という
「右肩上がり」の時代の発想であり、現在においては効果はない、
とコメントをしています。
「政治と経済の失われた20年」でも片岡剛士氏は、
公共事業のばらまきには、やはり批判的でした。
いまでも公共事業で経済成長と考えている人が
自民党には多いので、それに引きずられたのだと見ています。
このあたりも、小沢氏とおなじ見かたと言ってよいでしょう。
ところで片岡剛士氏は、アベノミクスの金融政策は評価しています。
小沢一郎氏は金融政策については言及がないのですが、
これはどう考えているのかと、しばし気になるところです。