2013年04月29日

toujyouka016.jpg 福岡市カワイイ区のメモ(2)

福岡の「カワイイ区」に対しては、「男女差別を助長する」、
「女性はかわいくあるべきだといった意識を助長する」、
「『女性はかわいくなければ』というメッセージを発信している」といった
批判が寄せられたのでした。

「福岡市男女共同参画審議会:カワイイ区「配慮欠く」 見直し答申へ」
「福岡「カワイイ区」消滅? 「差別助長」苦情受け見直し」

 
今年の2月に、福岡市には苦情申出書が4件提出されました。
これを受けて福岡市の男女共同参画審議会は、
「男女共同参画の視点で事業展開してほしい」という主旨の、
「カワイイ区」の見直しを求める答申書案を出したのでした。

これはごもっともなことです。
言うまでもないことですが、女性を不必要に容姿で評価したり、
容姿によって女性を差別的に扱うことが、すくなからずあるからです。
「カワイイ区」がそれを助長するおそれはあるでしょう。
ジェンダーに関する知識があれば、こうした批判があることは、
容易に想像がつくと言うものです。

ところが「カワイイ区」の担当課は、「カワイイ区」を作る際、
男女共同参画課には、事前に問い合わせもしていなかったらしいです。
高島宗一郎市長が気に入ったので、ろくに検討をしないまま、
企画を進めることだけが先行したのではないかと、わたしは想像します。


ところで、「カワイイ区」の見直しを報じる産経の記事が、
なんだか偏った印象を与えるものだったりするのです。
「少数の偏った意見により、市政をねじ曲げることができる
現行の市男女共同参画推進条例は明らかに不当」などと書いていて、
10年ほど前の「ジェンダーフリーバッシング」を思わせます。
くわしくはつぎのエントリをご覧になるといいでしょう。

「再びカワイイ区、というよりそれを報じる産経の話」

「4件」というのは単に市に寄せられた苦情の数ではなく、
苦情処理の手続き上の「苦情申出書」が提出された数です。
こちらのエントリの孫引きですが、2009年の都道府県と
政令指定都市の苦情申出書は40件となっています。
したがって、福岡の「カワイイ区」だけで4件というのは
むしろ多いのであり、「少数の偏った意見」ではないことがわかります。

また、福岡市男女共同参画審議会の答申では、
「カワイイ区」の見直しを求めていますが、廃止の要求はしていないです。
それにも関わらず、産経の記事の見出しは「一転存続」とあって、
あたかも一度廃止が検討されたかのようです。

そして今回の件は、福岡市男女共同参画審議会苦情処理部会が
担当課に問い合わせをし、その回答について審議したうえで、
「カワイイ区」の見直しを求める答申書を出しています。
一連のことは事態を調査した上での正当な手続きであり、
市政がねじまげられたのではないことも、もちろんです。


おそらく産経新聞にとっては、「ごく少数の偏った
ジェンダーフリー論者によって市政がねじ曲げられた」という
筋書きになってくれたほうが、都合がよいのだろうと思います。
「カワイイ区」を、ていのよい「ジェンダーフリーバッシング」の
ねたにしたということです。

わたしのブログの3月23日エントリのコメント欄で、
とつぜん「カワイイ区」のことを持ち出した人がいたのでした。
(なんの脈絡もないのにもかかわらず。)
この人も反フェミニズム的ですが、こういう人の認識も
産経新聞の記事とおなじようなのだろうと思います。

「カワイイ区」の問題は、ジェンダーの観点からだけでなく、
ジェンダー以外の問題が大きいことは、前のエントリでお話した通りです。
契約の不透明性や、芸能人の宣伝行為への片棒を担ぐこと、
効果のはっきりしない事業への税金投入、といったことがあります。

それにもかかわらず、「カワイイ区」の見直しが、
一部の「反ジェンダーフリー論者」のジェンダーフリーバッシングに
利用されて、企画の見直しに干渉されたりするほうが、
「カワイイ区」に税金の無駄遣いを感じている福岡市民にとって
かなわないことではないかと思います。


付記:
つぎのふたつのエントリは、「カワイイ区」のことについて、
原資料を当たったりして、よく調べていると思います。

「「カワイイ区」について」
「再びカワイイ区、というよりそれを報じる産経の話」

posted by たんぽぽ at 17:25 | Comment(0) | TrackBack(0) | 政治・社会 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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