2013年05月03日

toujyouka016.jpg ネトウヨにならなかった

ネトウヨにならなかった理由をお答えしたトゥゲッターがあります。
多くのかたがお答えしていますが、とても興味深いですよ。

「あなたがネトウヨにならなかった理由を教えて下さい。」
(はてなブックマーク)

むかしネトウヨだったころの黒歴史とか、ネトウヨやめたという体験談
話題になることがありますが、それらとくらべると、
「ネトウヨにならなかった理由」というのは、
いささか趣旨が変わっているかもしれないです。

人はこうであればネトウヨにならずに済むというわけで、
ネトウヨにならないための予防に役に立つと思います。

 
ところで、「ネトウヨにならなかった理由は?」という質問は
改まって訊かれると、答えるのがむずかしいかたもいるかもしれないです。
この質問は「自分もネトウヨになったかもしれない」という
意識があることが前提になっているからです。

そして、自分はネトウヨになる可能性なんてちっともなかった、とか、
そもそもどうやったらネトウヨになるのかわからない、
というかたもいらっしゃるだろうと思うからです。
わたしも、もちろんネトウヨではないですし、
理由はと訊かれると、お答えするのがむずかしいクチだったりします。


わたしの場合考えられる理由として、子どものころから外国のことが好きで、
世界の地理や歴史の本をよく読んでいたことがあると思います。
外国のことに詳しくなると、おのずと外国や外国人に対して
配慮することを大切と考えるようになります。
外国を誹謗中傷することは、当然慎むべきこととなります。
となれば、排外主義や民族・人種差別はなおさらご法度です。

また地理や歴史を調べていれば、排外主義や民族・人種差別が
厄災しかもたらさないことも、自明なこととなります。
社会不満の転嫁先として、排外主義や民族・人種差別に走ることが、
ナンセンスかつ危険であることも、おのずとわかってきます。

19世紀から20世紀前半の世界史を見ると、
民族主義や国粋主義が戦争などの国どうしの衝突や、
少数民族の弾圧の原因になることを、痛感させられます。
民族主義や国粋主義など、やっかいものと考えるようになるわけです。

『クラルテ』を読んだこともあって、愛国心も受け付けなくなりました。
この本には「狂気じみた愛国心は蛆虫だ」という一節があって、
これがわたしにとって強い印象を残しました。
狂気じみてなければよいのだろうとは思いますが、
それでも愛国心は、わたしには注意深く遠ざけるべきものとなりました。


外国の中でもとくにドイツに興味があったことも大きいと思います。
ドイツはご存知のように、第二次世界大戦の戦争責任や
戦後責任に対して強く向き合っている国です。
歴史のねつ造に対しても、厳しい態度を取る国です。
戦争責任や歴史のねつ造に対する、わたしの考えかたも、
ドイツの影響を受けることになってきました。

わたしが、ドイツのことに興味を持ったのは、
『豊かさとは何か』という本の影響が大きかったりします。
バブルのころの本で、日本とドイツを比較して、
日本の福祉が貧しいことなどを批判しているのですが、
他国に学ぶことで、日本を批判的に見るというスタンスも、
このときにできあがったように思います。


国家や社会が個人に優先するという思想も、わたしは受け付けないです。
国家も社会も人間個人が快適に暮らすために作り出されたもので、
人間が生きていくためにある、人間による被造物だからです。

目的が人間なら、つねに国家や社会より人間個人が
優先されなければならず、個人より国家や社会が優先したら、
それは創造主たる人間への反逆ということになります。
ようするに、基本的人権の思想に忠実ということです。

それから前にお話したように、女性と右翼思想は相性が悪いのもあります。
右翼思想は家族やジェンダーに関して、因習・反動的なので、
おのずと女性差別的になりやすいからです。
これだけで、わたしにとって右翼思想は、警戒するべきものでした。
「ネトウヨ」ならなおさらのことです。


ここでお話したような、わたしの思想やスタンスは、
ネットをやる前にすでにできあがっていました。
そしてこれらはネトウヨの思想とは、まったく相容れないものばかりです。
こういうしだいなので、わたしにはネトウヨになる素地は、
まるっきりなかったのだと思います。

ネットを始めたころ、国粋主義や排外主義を声高だかに
主張する人たちを見たとき、わたしは彼らに対して
一種異様にして理解しがたいものを感じました。
それは、わたしにとって危険思想だったからです。
(彼らは当然のように女性差別的でもあるし。)

そのころは人間不信だったこともあって、そうした人たちに対して
猛烈な警戒心と恐怖心をいだいたものです。

posted by たんぽぽ at 21:06 | Comment(6) | TrackBack(0) | ウェブサイト | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

はてなブックマーク - ネトウヨにならなかった web拍手
この記事へのコメント
この質問は「自分もネトウヨになったかもしれない」という
意識があることが前提になっているからです。

どうでしょう、「質問者」にはそういうのないんじゃないかな。

本人が自分のTLを気持ちのいいものにしたかったのに文句言わないでよ的な、ドン引きするようなことゆーてはりましたから。

私はこの質問にはかなり違和感を覚えました。
本欄でも仰ってるように「そんな素地はなかった」し、なんか、警察がしてもいない犯罪ついて追求してるみたいで。

奇をてらった質問だと思いました。
不快だったのでまとめは拝見してませんが、TLに、異論を唱えた人と「質問者」とのやり取りが出てきて、「質問者」が妙な被害者意識を振りかざしていたので(先述のドン引きツイ)不快になり、その後別の人ともやり取りをしていたのでつい、嘴を挟みました。

3回ほど表面的で儀礼的なやり取りしただけですが、いきなりブロックされました。捨て台詞は私を日本人と決め付けてる口調でした。
ネウヨみたいな浅薄さだなあと思いました。

実際、TLで「質問者」が糾弾していた人は、人間のもつ差別意識の普遍性についてちゃんと向き合ってる人のようでした。その観点からの批判を、筋違いで、なおかつ(ここが非常に不快な点でしたが)情動に訴えて議論を封じた。「良心的」な人なら、この「質問者」がネウヨにいつも絡まれ理不尽な思いをしてるだろうことはわかっているのであまり追求もできない。そんな方向に持っていく。

ただ、この一件で、ライターとしての売名行為のためにわざわざ標的になってるんじゃないの、と思うようになりました。正直、文章力もあまりない。
これ以上あのまとめは話題にされないでほしい。彼女を在日の代表みたいにされるのは迷惑です。
Posted by 針男 at 2013年05月04日 00:11
乱暴なくくりなんですが、思想信条の左右は、世代による揺り戻しがあると思っています。

上の世代がリベラル気味で、ネトウヨはそれに対するカウンターなんですよ。だから今後の世代は、またリベラルに寄る。

ちなみに、僕の場合は、個より全体を優先する、右思想がうす気味悪かったから、です。天皇バンザイとか気持ち悪いし。けっこう生理的な嫌気です。
Posted by キンシャチ at 2013年05月04日 08:37
 普通ならないよ。

 だけじゃ、あんまりな回答ですね^^;
 でも、当たり前の倫理観(戦争は嫌だとか、差別は良くないとか)を持っていたら、ならないんじゃないかなあ、ネトウヨ。
 あと、とりあえず、リアルライフがさほど不幸ではなかったことかな?現状に不満が無いとは言いませんが、貧乏だけどとりあえず健康だし、夫との仲も良好だし。
 多分、リアルで孤立感が強い人がネトウヨには多いと思います。
 
Posted by イカフライ at 2013年05月04日 17:43
針男さま、このエントリにコメントありがとうございます。

>どうでしょう、「質問者」にはそういうのないんじゃないかな

こう書いてありますよ。
========
「しかしなんでネトウヨになっちゃうのか、っていうことと並べて、
どうしてネトウヨにならずにすんだのかっていう問題も大事だな」との
岸政彦さんのFacebook上での発言を目にして、
ツイッターで質問してみることにしました。
========

書いてなくても、「ならなかった理由」を訊くというのは、
「自分もネトウヨになったかもしれない」ということを、
暗黙のうちに前提にしていると思います。
だから自分がネトウヨになった可能性のない人は、
この質問にかえって答えにくくなるのですね。

>本人が自分のTLを気持ちのいいものにしたかったのに文句言わないでよ的な、

それは、「ネトウヨになった理由」ならふだんからさんざん見ているし、
その差別的な内容にうんざりしてもいるので、
あらためて見たいとは思わない、ということでしょう。


>TLで「質問者」が糾弾していた人は、
>人間のもつ差別意識の普遍性についてちゃんと向き合ってる人のようでした

まとめで質問に答えているかたも、人間の持つ差別意識の普遍性について
ちゃんと向き合っている人が多いと思いますよ。
ご覧になってないのなら、じっくりとご覧いただきたいと思います。

>その観点からの批判を、

じつは、わたしは「質問者」に対する、
その種の批判が的を得ているとは思えないのですよね。

エントリでリンクしている「ネトウヨだったころの黒歴史」とか
「ネトウヨやめました」という体験談のときは、
おなじような批判をするのかと思います。


>ライターとしての売名行為のためにわざわざ標的になってるんじゃないの

こんな「まとめ」で注目されたところで、たいして売名にはならないでしょう。
「まとめ」が話題になったのは、「まとめ」を批判した人たちが
騒ぎを大きくした部分も大きいと思うので、「まとめ」を注目されたくない
ということでしたら、むしろあまり批判しないことだと思います。

>彼女を在日の代表みたいにされるのは迷惑です

彼女自身はそんなこと思ってないでしょうし、
ほかのかたも、そう思っている人はいないと思いますが?
わたしは彼女を「在日の代表」と考えてはいないです。
Posted by たんぽぽ at 2013年05月09日 21:41
キンシャチさま、
このエントリにコメントありがとうございます。

>思想信条の左右は、世代による揺り戻しがあると思っています

そうなのか。
たしかに、いまの団塊の世代が若かったころは全共闘の時代で、
左翼思想に取り憑かれる人が多かったですね。

>だから今後の世代は、またリベラルに寄る。

ということは、つぎの世代はまた左傾するのかな?
それに期待したいと思います。
ヒダリに取り憑かれた人がまともというわけではないけれど、
ヘイトスピーチが垂れ流されるよりはましでしょうからね。


>僕の場合は、個より全体を優先する、右思想がうす気味悪かったから、

わたしも個より全体を優先する、というのは受け付けないですよ。
エントリにも書いたけれど、基本的人権の思想に反しますからね。

>天皇バンザイとか気持ち悪いし。

天皇に関しては、わたしの場合は「理解不能」かな。
(ある種の人たちにはアイデンティティのよすがになっているのかもしれないけれど。)
子どものころ、なんで日本に天皇がいるのか、
そして皇族たちはなんでエラいことになっていて、
なんの仕事をしているのかが、わからなかったですよ。
Posted by たんぽぽ at 2013年05月09日 21:44
イカフライさま、
このエントリにコメントありがとうございます。

>普通ならないよ。
>当たり前の倫理観(戦争は嫌だとか、差別は良くないとか)を持っていたら、
>ならないんじゃないかなあ、

わたしもそう思います。
ふつうにしていればなるものではないだろうと。

なので「ネトウヨにならなかった理由」というのは
改まって訊かれると答えにくい人もいると思うのですよね。
「まとめ」でツイートしている人を見ても、
答えにくそうにしているかたも実際にいらっしゃりますしね。

>多分、リアルで孤立感が強い人がネトウヨには多いと思います

それはありそうですね。
実生活の不満のはけ口として、韓国・中国とか在日コリアンといった、
攻撃しやすい弱者を攻撃する、ということはあるだろうと思います。
また、自分が見たこともない相手なので、絶対反撃してこないし、
不満のはけ口のために、あたまの中で都合のよいイメージを作って
叩く相手としては、格好なのでしょうね。

それから、「在日特権」とか人の知らない「真実」を知って
意識が高くなった気持ちになれるのもあるのかもしれないです。
陰謀論を信じるメンタリティとおなじなんだけど。
実生活に不満が多いなら、「意識が高くなった気分」というのは、
なおさら心地がよいのではないかと思います。
Posted by たんぽぽ at 2013年05月09日 21:46
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