きょうのエントリはちょっといいお知らせです。
先日から自民党の「少子化危機突破タスクフォース」が
検討を進めてきて、ものすごい批判を受けていたあの「女性手帳」が
とうとう配布を見送りされることになりました。
「不評の「女性手帳」当面配布見送りへ」
「女性手帳:政府、配布見送り 「余計なお世話」批判で」
「「育休3年」「女性手帳」がバリ女に総スカンのなぜ
政府の子育て支援策に学ぶ“男女間の非対称性”の罠」
「女性手帳をめぐる少子化危機突破タスクフォースとメディアの攻防
森少子化担当相の会見全文 」
女性手帳の配布は、5月21日に「男性を含めた希望者のみに配布」と
トーンダウンしていたのですが、それだけでは批判が収まらなかったのか、
結局すっかり中止にしてくれたのでした。
大勢で批判をした甲斐があったというものです。
がんばって声をあげてみるものだと思います。
フェイスブックの市民団体「全日本おばちゃん党」が
「提案した委員は、女性手帳がなぜこれほど批判されたのか
背景を理解する必要がある」とコメントをしています。
なかなか手厳しいですが、ごもっともだと思います。
ところが「タスクフォース」は、批判が集中したことを受けて、
一時期「男性にも手帳を配布する」なんて検討したことがあったのでした。
そもそもが自民党が主導していることなので、彼らが信奉する
「家族のカチ」から、結局抜け出せないように思います。
これらを考えると、なぜ女性手帳が強く批判されたのか、
「タスクフォース」がその理由を的確に把握できるのかどうか
心細いものがあると、わたしはちょっと悲観していたりします。
「再び的外れの施策が出されないか、今後も監視」することでしょう。
それから、「タスクフォース」では「今後は研究班を設けて、
妊娠や出産に関する知識を広める方策などについて
検討を続けたい」とも言っています。
知識を広めるもっとも好ましい方策は、性教育の充実だと思います。
ところが、「過激だ」とか「性行為を推奨する」などと
言いがかりをつけて、圧力をかけて性教育を萎縮させたのが、
ほかならぬ安倍やその周辺だったのでした。
性教育の必要性や、安倍が性教育をつぶしたという失笑する矛盾に、
「タスクフォース」が気がつくかどうかが問題になるでしょう。
付記:
女性手帳に関する批判記事。一通りのことが出ています。
「少子化対策で妊娠、出産の啓発 「女性手帳」に批判相次ぐ」
関連記事:
「大政翼賛会の母性の保護」
「女性の生きざまの現実」
「女性手帳で少子化対策?」
「これで少子化危機突破?(3)」
「これで少子化危機突破?(2)」
「これで少子化危機突破?」
「吉松育美の少子化対策」
「晩婚化を緩和するWLB」
「女性手帳・野党からの批判(2)」
「女性手帳がトーンダウン」
「男性手帳の配布を検討」
「女性手帳・野党からの批判」
「ベビノミクスを推進する」
森大臣が全力で女性手帳の発案者のハシゴをはずしにかかっていることがわかります。あまりの評判の悪さに怖じ気づいたか…
あるいはお役人が先走ったリークが報道されてしまったか…。
報道されて、ひとしきり話題になったらから蓮舫が追求したのに
「そのような名称は出ておりません。」ってのはすごいな。
井上明彦さんの5/15のエントリがわかりやすい面白い。
http://bylines.news.yahoo.co.jp/inoueakito/20130515-00024964/
妊娠出産に関する知識の啓蒙は、中学校と高校で2時間くらいずつ授業でやれば十分な内容のはずです…が、そうどこかに書くたびに
「それだと文部科学省の管轄なので厚生労働省の天下り事業にならないんです」という声が俺の中を何度もこだまします。
>井上明彦さんの5/15のエントリがわかりやすい面白い。
>http://bylines.news.yahoo.co.jp/inoueakito/20130515-00024964/
ご紹介ありがとうございます。
なるほどねえ...
>森大臣が全力で女性手帳の発案者のハシゴをはずしにかかっていることがわかります。
>あまりの評判の悪さに怖じ気づいたか…
猛烈な批判を受けて腰が引けちゃった可能性はありますね。
>「そのような名称は出ておりません。」ってのはすごいな
それは、わたしもすごいと思いました。
呼びかたが「女性手帳」か「生命と女性の手帳」かなんて、
この際本質的ではないですよね。
森大臣がいっしょうけんめい逃げているのが伝わってきます。
>「それだと文部科学省の管轄なので厚生労働省の天下り事業にならないんです」
>という声が
やはりお役人の都合というものもあるんでしょうかね。
>>「そのような名称は出ておりません。」ってのはすごいな
>それは、わたしもすごいと思いました。
思いっきり出てまんがな(爆)。下記(内閣府公式サイトの第2回議事概要)の4/6、5/6ページを参照下さい。
『「女性手帳」は大変賛成で・・・』なんて意見まで出てますよ。誰が言ったのか分からないけど。
http://www8.cao.go.jp/shoushi/taskforce/k_2/pdf/gijigaiyou.pdf
報道後、騒ぎが大きくなってから「誤報だ」とか「大誤報をやられた」とか言い出すヤツに、ロクなのはいないと言うことです(笑)。
これはあくまで私の推測でしかありませんが、結局この「タスクフォース」自体が、最初っから(最初は)「女性手帳にお墨付きを与える会」だったのではないかと思われて仕方ありません。しかし森少子化相の『天然』が遺憾なく発揮されたのかなんなのか、委員の人選を恣意的にせず、逆に幅広く人材を集めてしまったため、当初予定の結論とは真逆の意見がバンバン出て、収拾が付かなくなったんじゃないでしょうか・・・。
内閣府の公式サイトでも、当初「議事録」を公開する予定だったのが、結局「議事概要」の公開に変わっています。
勿論、当初の目論見(女性手帳)があまりにもトンデモだったため国民から総スカンをくった、と言うのが一番大きいのでしょう。
結論的には、だいぶまともな方向に軌道修正されて、最終提案はまとめられているようですね。具体には乏しい感じだけど。
http://www8.cao.go.jp/shoushi/taskforce/k_4/pdf/teian.pdf
このエントリにコメントありがとうございます。
>『「女性手帳」は大変賛成で・・・』なんて意見まで出てますよ。
>誰が言ったのか分からないけど。
>http://www8.cao.go.jp/shoushi/taskforce/k_2/pdf/gijigaiyou.pdf
ご紹介ありがとうございます。
「「女性手帳」は大変賛成で」はしっかりありますね、確認しました。
「そのような名称は出ておりません」なんて、なにをとぼけているのかと思います。
>騒ぎが大きくなってから「誤報だ」とか「大誤報をやられた」とか言い出すヤツに、
>ロクなのはいないと言うことです(笑)
まったくですね(笑)
自分の発言に責任を取らず、責任転嫁をしているのですからね。
>結局この「タスクフォース」自体が、最初っから(最初は)
>「女性手帳にお墨付きを与える会」だったのではないかと
委員はまともなかたが選ばれているのに、
あのようなピントのずれた「対策」ばっかりだったというのは、
「はじめに結論ありき」だったのではないか、という気はわたしもしていますね。
そして「結論」に自信があったので、集めた委員は
みんな賛同してくれると思ったのかもしれないですね。
>当初「議事録」を公開する予定だったのが、結局「議事概要」の公開に変わっています。
そこはわたしも気になっています。
山口一男氏は、察するに議論の進めかたに不満が多そうなんだけど、
http://bit.ly/136nWBj
やはり「はじめに結論ありき」で、まともな意見が
理不尽に押さえ込まれたのかなと思います。
それで議事録が公開できないでいるのかも、と憶測しているんだけど。
>http://www8.cao.go.jp/shoushi/taskforce/k_4/pdf/teian.pdf
こちらもご紹介ありがとうございます。
わりあいまともになったかな、という感じですね。
全く「危機突破」出来ていないのでありました。
http://www.nikkei.com/article/DGXNASFS0504T_V00C13A6MM8000/
上記の日経の記事には、「人口減に歯止めをかけるには、30歳代の働きながらの子育て環境を整えるだけでなく、低迷したままの20歳代の出生率も上向くような環境づくりが重要になる。」とありますが、20歳代の出生率を上向かせるためにも、30歳代の働きながらの子育て環境を整えることが重要ではないかと思うのですがね。
20代女性のロールモデルである30代女性が、出産を機に退社したり、必死の形相で子育てと仕事の両立をやり繰りしていたりすれば、20代女性が「20代の内に仕事と遊びと、満喫しとかないとね。」と思って、出産から遠のくことになっても、やむを得ないのではないかと思います。
またまたコメントありがとうございます。
>http://www.nikkei.com/article/DGXNASFS0504T_V00C13A6MM8000/
ご紹介ありがとうございます。
出生「率」が少々増えても、出生「数」が減るのは無理もないことですね。
ご指摘のように、出産適齢期の人口が減っていますから。
現状では出生数が減るのは、やむを得ないことであり、
出生率が上がったらそれでよしとしなければならないのだと思います。
いままでずっと少子化対策をしてこなかった
「つけ」が回っている、ということですね。
>「人口減に歯止めをかけるには、30歳代の働きながらの
>子育て環境を整えるだけでなく、低迷したままの20歳代の出生率も
>上向くような環境づくりが重要になる。」
「20歳代の出生率も上向くような環境づくり」というのは、
具体的になんなのだろう?と思いますね。
なにか特別な施策を意識しているのかと思います。
ご指摘の通り、30代が20代のロールモデルになっているというなら、
30代向けの対策を進めればよい、ということになるでしょうし。
特別変わった「環境づくり」ということではないですね。
晩産化が問題だというなら、こちらでちょっと出ているけれど、
ワークライフバランスの浸透だろうと思います。
http://taraxacum.seesaa.net/article/360628575.html#comment
これもいままで言われてきたことで、特別変わったことではないですね。
>山口一男氏
http://www.rieti.go.jp/jp/columns/a01_0370.html
こちらの論考の、1つ目のパラグラフ(でいいのかな。太字の項目で区切られたまとまりです)の最後の方、2つ目のパラグラフの直前の辺りに
『当日はより一般的な実証的反証を提示できず、そういった場合の学者の常で強い反論は控えた』
と書いてあるので、学者として、確定出来ないことをその場では断言出来なかったのではないかと思います。
「少子化危機突破タスクフォース」は、「女性手帳」というよりは、「自民党的家族政策」全体にお墨付きを与えるためのものだったのではないかな、と思います。
まあ、「はじめに結論ありき」という意味では大差ないですが。
そして、「最初から結論が決まっている」人は断言出来るので声が大きくなります。
誠実な人が断言出来ず、そうでない人が断言し、結果的にそうでない人の方が発言力を持ったり、あるいは第三者に支持されてしまったり…という意味では、ニセ科学問題と似たものを感じますね。
>http://www.rieti.go.jp/jp/columns/a01_0370.html
>『当日はより一般的な実証的反証を提示できず、
>そういった場合の学者の常で強い反論は控えた』と書いてあるので、
たぶん資料を持ち合わせてなかったとか、そんなことかと思うけれど、
ようするに、知的に誠実だったということですね。
>「少子化危機突破タスクフォース」は、「女性手帳」というよりは、
>「自民党的家族政策」全体にお墨付きを与えるためのものだったのではないかな、
それはわたしも感じていますよ。
しょせんは自民党の会合なので、自民党が信奉する「家族のカチ」に
抵触しないものだけが選ばれる、ということなのでしょう。
>「最初から結論が決まっている」人は断言出来るので声が大きくなります
そうなのですよね。
それで知的に不誠実な人のほうが、説得力ありげに見えてしまうのですよね。
あと知的に不誠実な人のほうが、「わかりやすい」ことを言いますね。
事実に対して不正確でよいので、相手のあたまの中に
入って行きやすいことを、選んで言えるからだと思いますが。
>誠実な人が断言出来ず、そうでない人が断言し、
>結果的にそうでない人の方が発言力を持ったり、
>あるいは第三者に支持されてしまったり
ゆゆしき事態です。
このあたりは受け取る側のリテラシーの問題もあると思います。