自民と公明の両党は、昨年12月の総選挙で、幼児教育の無償化を
公約に掲げていたのでした。
その「幼児教育の無償化」とは具体的にどういったものになるのか、
細部がはっきりしてきたので、ご紹介したいと思います。
「無償化」とは名ばかりの、じつにおそまつなものだったりしますよ。
「幼児教育無償化は第3子以降 3閣僚合意、一人っ子は対象外に」
「幼児教育無償化で方針案まとまる」
「幼児教育:無償化は第3子以降、第2子は半額」
「第3子は幼稚園無料に 政府案、第2子は半額」
その内容は
1. 幼稚園のみ。保育所やこども園は含まれない。
2. 第2子は保育料を半額、第3子以降は無償とする。第1子は適用しない。
というものです。
(ただし生活保護世帯は第1子から無償といった特例はある。)
じつは現行制度でも、年収680万円未満の世帯に対しては、
幼稚園の保育料は第3子は無償で、第2子は半額になっています。
ようするに今回の制度改正は、「所得制限を廃止しただけ」ということです。
ずいぶんとトーンダウンしたものになっていますね。
これで「無償化」と称するのは「詐欺」と言っていいでしょう。
自民と公明の両党には、「公約を守った」ことにしてほしくないです。
しかもはじめの公約では、幼稚園、保育園、こども園のすべてを
「無償化」の対象にすることになっていました。
ところが実際に対象となるのは、幼稚園だけになったのですから、
公約のこの部分も守れなかったことになります。
きょうびはひとりっ子の家庭が多いですから、
大半の家庭が、保育料減免の対象外ということになります。
そしてこの程度の保育料減免では、子どもをふたり以上持つことの、
経済的・年齢的ハードルをほとんど下げないでしょう。
よって少子化の歯止めには、ほとんど役に立たないでしょう。
下村博文文科相は「国民の皆さんに、14年度から無償化がスタートした、
と思っていただけるようにすることが必要」などと言っています。
実際に恩恵があるのは、年収が680万円以上あって、
子どもがふたり以上いて、ひとりが幼稚園に通っている家庭です。
該当するかたはごくすくないでしょうから、
ほとんどの国民にとって関係ないお話ですね。
「幼児教育の無償化」がこのようにおそまつになったのは、
ひとえに財源が確保できないからです。
国だけでなく、地方にも負担させるのですが、それでもです。
財源の捻出のために、どのくらい努力したのかわからないですが、
まだまだ「お金を惜しんで人口崩壊を覚悟する」という
従来のところにとどまっていると言えるでしょう。
それにしても、幼児教育の無償化のかかるていたらくを
世論もメディアもなぜかすこしも叩かないのですよね。
民主党の子ども手当てのときとは大違いです。
子ども手当てとおなじく頓挫した理由は財源ですし、
内容は半額支給できた子ども手当てより後退していて、
「騙した」と言ってもいいレベルにもかかわらず、です。
幼稚園では、おっしゃる通りに所得制限があり、今回政府が「無償化」と言っているのは、幼稚園の所得制限を外すだけのことです。
(保育園の第3子は無料にならない、と誤解される方がいるかもしれないので、念のため)
それと、幼稚園は保育料の差が大きいのです。公立幼稚園では月額5000円くらいの園もあるし、私立のいわゆるセレブ幼稚園では年額60万〜70万円(月額5万円以上)の園もあります。
幼稚園の保育料が半額とか無料というのは、そのバラバラな保育料がそのまま半額、無料になるのでなく、一定の補助金(奨励費と言う)を出すことだと思うので、年額70万円の保育料が3人目ならタダになるわけでない…のではないかと私は考えています。
具体的には、
第3子=年額30万円の奨励費を出す。
安い幼稚園では無料になる。
高い幼稚園では30万円安くなる(70万が40万に)。
ではないかなあと。
※このあたりは確定情報ではありません。
今回の「無償化」で保育料が安くなるのは30万人だとのことです。
3〜5歳児は全部で330万人くらいはいるので、対象になるのは1割以下ですね。
子ども手当は半額とはいえ全員を対象にしました。それを嘘つきと叩いて、全体の1割しか対象にならないのを「無償化がスタート」と言うのは何なんでしょうね。
>保育園(認可)では、すでに「第2子が半額、第3子が無料」は実現されています。
>この規定に所得制限はありません
補足してくださりありがとうございます。
認可保育園の現状がどうなっているかも、ちゃんと押さえておく必要がありますね。
はじめの公約で「幼稚園、保育園、こども園のすべてを対象」というのは、
やはり第1子や第2子も無償にすることを、考えていたことになりそうですね。
>今回政府が「無償化」と言っているのは、幼稚園の所得制限を外すだけのことです。
結局変わるのは、そこだけになりますね。
トーンダウンと言わざるを得ないです。
>幼稚園は保育料の差が大きいのです。
>年額70万円の保育料が3人目ならタダになるわけでない…のではないかと私は考えています
その可能性はありそうですね。
民主党政権の高校無償化も、私立の学校に対しては、
公立の従来の授業料と同額の補助でしたからね。
保育料の高い幼稚園に対しては、同様の扱いになりそうですね。
>子ども手当は半額とはいえ全員を対象にしました。
>それを嘘つきと叩いて、全体の1割しか対象にならないのを
>「無償化がスタート」と言うのは何なんでしょうね
幼児教育の「無償化」こそ「嘘つき」ですよね。
メディアも世論も自民党のやることには、まったく甘いと思います。
http://www.asahi.com/politics/update/1205/TKY201212050466.html
ほんと、何から何まで全て口ばっかしですよね、この出戻り首相は。
マスコミは何を遠慮してるんですかね。ひょっとして未だにアベノミクスとやらに、何か期待しているんでしょうかね?
>「幼稚園・保育園を無償化する。約束する。財源はある。」んじゃなかったんすか?
>安倍晋三さん??
>http://www.asahi.com/politics/update/1205/TKY201212050466.html
ご紹介ありがとうございます。
いよいよもって民主党の子ども手当てと同じですね。
「財源がある、ある」と言っておいて、結局なかったのですから。
でもメディアも世論もちっとも批判しないのですよね。
そんなに安倍政権をかばいたいのかと思います。
>マスコミは何を遠慮してるんですかね。
アベノミクスに期待しているのもあるでしょうけれど、
それ以上に民主党政権に戻したくないのが大きそうに思います。
記者クラブ制の廃止が話題になったように、マスコミも既得権益者ですから、
民主党政権なんて彼らにとっていまいましいのでしょう。
せっかくその民主党政権が自滅して凋落したのですから、
安倍政権を維持し続けるために、支持が下がらないよう、
せっせと持ち上げておかなければ、ということだと思いますよ。
子供を産む産まないは個人の自由で、なぜ産みたい人、産んだ人の費用を産まない人が負担する必要があるのかわからない。
まるで子供を産まない人間は無価値だとでも言われているようで不愉快です。
その「個人の自由」を保障するためには、
子どもを持ちたい人を福祉で支援する必要があるということです。
>なぜ産みたい人、産んだ人の費用を産まない人が
>負担する必要があるのかわからない。
子どものいないかたも、将来大人となる現在の子どもに、
社会的に支えられることがあると思います。
その将来のための投資ということです。
>まるで子供を産まない人間は無価値だとでも言われているようで不愉快です
ほとんどの先進国では、大学教育に多額の公的支援があり
授業料が安かったり、奨学金が充実していたりします。
これを「大学に行かない人間は無価値だと
言われているようで不愉快」とあなたは考えますか?