2013年06月22日

toujyouka016.jpg ロシアの反同性愛法

6月11日にロシアで、なんと同性愛の「宣伝」を禁止する法案が
下院で可決した、というニュースがあるのでご紹介します。
可決した法案はふたつあります。
ひとつは、未成年者を対象に同性愛の「宣伝」を禁止する法律で、
もうひとつは、宗教信者の感情を害する行為を禁じる法案です。

「ロシア「同性愛の宣伝」禁じる法案可決、議会前で抗議も」
「ロシア下院、「同性愛プロパガンダ」禁止法案可決」

こうした動きが、同性愛に対する迫害に向かう恐れがあることは、
言うまでもないだろうと思います。
実際、法案を根拠に、同性愛の権利を訴える集会が禁止され、
同性愛の支持者が断罪される恐れがあることが、指摘されています。
世界的には同性愛の権利を認める方向に進んでいますから、
かかる国際的な動きとも逆行することになります。

 
法案賛成の意見として、
「伝統的な性的関係とは男女の関係のことであり、
ロシア国民の多様な民族性を保護・発展させる上での条件だ」、
「同性婚で子どもが生まれないことには疑いの余地はない」、
「同性愛は薬物依存や売春などと同様、ロシアにとって最大の脅威の1つ」
と言ったものがあります。

人口維持や民族性の保護のために同性愛が脅威になると考え、
同性愛を否定するために「伝統的な家族」を持ち出すのは、
ヒトラー・ナチスをはじめ、こうした場合の常套と言えます。

ほかにも、「多くのロシア人男性が、保守的な考えを持つ
タフでひたむきな男性像を理想としている」という背景があります。
こういうマッチョ指向も、彼らがこのましいとする「男性性」と
対立するせいか、同性愛に否定的になりやすいです。


わたしが驚異的だと思ったのは、反同性愛の2法案は、
賛成436、反対0、棄権1という、全会一致で可決したことです。
ロシア議会では同性愛を擁護し、その権利を守ろうという意見は、
まったく健在化していないということです。

ロシア社会は同性愛に対する風当たりがとても強く、
先月5月にも、同性愛者だと告白した男性が、複数の知人から
暴行を受けて殺されるという、残酷な事件がありました。
反同性愛法案の可決は、国民の多くの忌避感情によって
支持されているということだと思います。

「ロシアで同性愛告白の男性が暴行死、背景に見える政治と宗教」


ピュー・リサーチ・センターの国際世論調査を見ると、
宗教の影響が強い国ほど、同性愛を受け入れない傾向があります。
具体的にはイスラム諸国やアフリカの国に多く、
これらの国ぐにでは、同性愛に厳罰が課されることが多いです。

「同性愛を受け入れつつある」
「The Global Divide on Homosexuality」

ロシアはかつて共産主義国でしたから、
宗教の影響は強くないはずですが、そんな中にあって例外的に、
同性愛に対して不寛容な国ということになるでしょう。
ピュー・リサーチ・センターの調査では、
同性愛を受け入れられる人が、ロシアはわずかに16%です。
日本は54%で、ヨーロッパの民主主義国は8割前後ですから、
ロシアの不寛容さは際立っていることになります。

ロシアがなぜ例外的なのかはよくわからないです。
可決した反同性愛の2法案のうちひとつは、
「宗教信者の感情を害する行為」を禁止するものですし、
またプーチン大統領は「ロシア正教会に倫理観の権威としての
役割を与えようと、宗教復興も主導している」とあります。
ロシアでは宗教の影響力が高まりつつあるのかもしれないです。

posted by たんぽぽ at 23:18 | Comment(0) | TrackBack(0) | 家族・ジェンダー | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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