2013年08月05日

toujyouka016.jpg 子を産めないから反対?

7月6日エントリで、アメリカ合衆国の連邦最高裁判所が、
同性結婚を禁止する「結婚防衛法」に違憲判決を下したことをお話しました。
この判決を受けた日本の反応について書いた記事があるので、
1ヶ月以上前のものですがご紹介します。

「「最終的に日本も」「家族制度が崩れる」 米最高裁の同性婚支持判決に国内は賛否」

同性愛者や性的少数者の団体のかたたちは、この違憲判決を
率直に喜んでいて、「日本でも同性結婚が認められることを目指している」
「同性愛者の人権にも眼を向けてほしい」と言ったコメントしています。

 
反対派にもコメントを取っているのですが、あの八木秀次氏ですよ。
この「いかにも」という人選に、わたしは苦笑するものがありますよ。
「婚姻は次世代を担う子供を産み出すものとして法律で特別に保護されてきた。
家族制度の根幹が崩れるので、同性婚を法的に認めるべきではない」

八木秀次氏も、家族に関して因習・反動的な人たちが大好きな、
高度経済成長期の標準家族を「正しい家族」とする
「家族のカチ」なるものを信奉しています。
そこに同性結婚は存在しないですから、当然それに反対ということです。

夫婦別姓さえ認められない八木秀次氏ですから、
同性結婚も認められないであろうことは、想像にがたくないですね。
「夫婦別姓で家族が崩壊する」というなら、同姓結婚が認められた
あかつきには、いったいなにがどうなると言うかと思います。


八木秀次氏は「婚姻は次世代を担う子供を産み出すものとして
法律で特別に保護されてきた」などと言っています。
そんなことはどの法律で規定されているのかと思いますよ。

「子どもを産めないから同性結婚には反対」というのは、
同性結婚の反対派の意見としては、よく聞くものです。
しかしそうだとすると、異性どうしの結婚であっても、
不妊症で子どもが作れなければ結婚できないことになります。
ところが同性結婚の反対派は、これには反対しないのですよね。

「子どもを産めない結婚はだめ」という考えかたは、
結婚したらかならずこどもを作らなければならない、
というカチカンを含みますから、異性どうしの夫婦であっても、
子どもを持ちたくないかたも許されないことになります。
「子どもが産めないから認めない」というのは、
同性結婚に反対するための方便なのだと思います。

なんらかの事情で生殖ができなくても、あるいはみずからの意志で
生殖しなくても、恋愛する感情だけは人間は持っているようです。
子どもを持てなくても人を愛し、結婚するということは、
きわめて人間らしい営みなのだと、わたしは考えていますよ。

「人間は愛する葦である」


付記1:

つぎのエントリにも、八木秀次のコメントについて書かれています。
因習的な家族観の人は、国家のために家族があるという考えなので、
「夫婦はこどもを持たねばならない」という具合に、
家族のありかたが上から決められる、という主旨です。

「出産しない夫婦に対して法的保護は無用と主張する産経」


付記2:

最初の産経の記事は、「同性カップル」と書くべきなのに
「同姓カップル」となっているところが、2か所もありますよ。


付記3:

八木秀次氏のような同性結婚の反対派は、ロシアで同性愛禁止法が
可決したことは、どう考えるのかと思います。

posted by たんぽぽ at 23:27 | Comment(9) | TrackBack(0) | 家族・ジェンダー | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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この記事へのコメント
ほんと、八木のようなオカルト信者はロシアにでも行ってください、といいたいです。
Posted by 魚 at 2013年08月06日 00:57
なるほど、婚姻は子供を産み出すための制度、ですか。
ならば、この方は年を取って子作りが出来なくなったら離婚するワケですね。
Posted by tema at 2013年08月07日 21:32
魚さま、コメントありがとうございます。

>八木のようなオカルト信者はロシアにでも行ってください、

いっそのこと南極にでも行ってもらうといいかもしれないですね。

でもまじめなお話、ロシアの同性結婚禁止法が可決したとき、
八木秀次みたいなのにコメントを取らないのかと思います。
「ロシアはよくやった。日本もこれにならうべし」なんて
さすがに醜悪なので載せられない、ということなのでしょうかね?
Posted by たんぽぽ at 2013年08月07日 23:08
temaさま、コメントありがとうございます。

>この方は年を取って子作りが出来なくなったら離婚するワケですね

そうかもしれないですね。(笑)
八木秀次は夫婦別姓に反対する際「離婚は家族崩壊」なんて言っているけど、
みずから家族崩壊に加担することになりそうですね。

それと、よその高齢者で結婚生活を続けている人たちにも、
「離婚するべし」とクレームをつける必要がありますね。

「婚姻は子供を産み出すための制度」なんて規定していると、
いろいろなところで矛盾をきたしますね。
Posted by たんぽぽ at 2013年08月07日 23:10
八木氏の話しではないのですが、連想で思い出したことがあります。
以前、年金に詳しい某大学教授のおじいさまに、年金制度についてお話を伺ったことがありまして、教授先生曰く
「年金制度は国民の人口が増加することが前提となっている。だから(年金に加盟している)国民は結婚して最低でも2人以上の子供を生す義務がある」
とおっしゃっておりました。
社会保障制度がすでに生めよ増やせよ前提で形作られているのであれば、子供を作らない(作れない?)結婚など、この社会においては論外なのでしょう。
そう考えている人って、多いんじゃないでしょうか。
Posted by aka21 at 2013年08月08日 18:13
aka21様
横からすみません。

>社会保障制度がすでに生めよ増やせよ前提で形作られているのであれば、子供を作らない(作れない?)結婚など、この社会においては論外なのでしょう。

社会保障制度だけではないでしょう。
人口が増えれば内需も増えて、経産も発展し、右肩上がりで景気も良くなる。例えば55年体制での政治手法であるとか、全てがその前提で出来ているんだと思いますよ、我が日本は。

しかし現実問題、日本の人口はこの先何十年と減り続けることが決まっている。
だから今の日本に必要な「少子化対策」とは、「子供をいかにして増やすか」ではなく(勿論、それも大事だけどそれ以上に)、人口が減り、景気上昇も無い前提で、いかに明るい将来の日本のビジョンを示すか、なんだと思いますよ。
高度成長期に、増え続けるパイの分配方法だけを考えていれば良かった、かつての自民党的発想がこびり付いている安倍政権には、逆立ちしてもそんなこと、出来ないだろうけどね。
Posted by ニャオ樹・ワタナベ@モバイル at 2013年08月08日 20:22
ニャオ樹・ワタナベ様
まったく持ってその通り、全面的に同意です。
日本という国は未だに高度成長期という幻想に取り付かれたままだと思います。でも、成長を続けることなんて、現実には不可能でしょう?
なんだか質の悪いねずみ講のような気がします。

Posted by aka21 at 2013年08月09日 13:53
aka21さま、このエントリにコメントありがとうございます。

>社会保障制度がすでに生めよ増やせよ前提で形作られているのであれば、
>子供を作らない(作れない?)結婚など、この社会においては論外なのでしょう

「年金や社会保障制度の維持のために子どもを産むべきだ」と
考えている人は、すくなくないとわたしも思います。
「子どもを作らないなら年金を受け取るべきでない」なんて、
露骨なことを言う人もときどきいますしね。

年金や社会保障を維持するために、国民の私生活を国家権力で
拘束しようという、本末転倒な考えかたですね。
年金や社会保障のほうこそ国民生活のためにあるのですから、
出生率に合わせて年金や社会保障を設計するのが本来のはずですね。

それから、八木のような「家族のカチ」を信奉している人が、
「結婚したら子どもを持たなければならない」と考えているのは、
社会保障制度が「産めよ増やせよ」を前提としていることと
無関係ではないだろうと思います。


>日本という国は未だに高度成長期という幻想に取り付かれたままだと思います

前時代の既得権益層の影響が強すぎるのだと思います。
既得権益層の抵抗に阻まれて、時代の変化に合わせた変革ができなければ、
その社会がおちぶれていくのは、古今東西をとわず世の常習いですね。
Posted by たんぽぽ at 2013年08月09日 23:44
ニャオ樹・ワタナベさま、
このエントリにコメントありがとうございます。

>例えば55年体制での政治手法であるとか、全てがその前提で
>出来ているんだと思いますよ、我が日本は

ご指摘の通り、社会保障制度や家族観だけでなく、
日本社会はさまざまなところで、55年体制時代の思考に留まっていますね。
ようは既得権益層の力が強すぎて社会が硬直して、
時代の変化に合わせた変革ができなくなっているということですね。

それで「年金や社会保障のために子どもを産むべきだ」なんて、
国民生活を制度に合わせようとする本末転倒な発想にもなるわけだけど。

>今の日本に必要な「少子化対策」とは、「子供をいかにして増やすか」ではなく
>(勿論、それも大事だけどそれ以上に)、人口が減り、景気上昇も無い前提で、
>いかに明るい将来の日本のビジョンを示すか、なんだと思いますよ

人口問題はまさに、現状はどんどん変化しているのに、
それに合わせた変革がぜんぜんできないでいる状態ですね。
少子化対策もいちおう口にするけれど、いまもって危機感が薄いようで、
「おいしい果実だけ求めてなにもしない」という感じですしね。

はなはだ残念だけど、手遅れになってどうしようもなくならないと、
本気で対策しようとは思わないのかもしれないです。

>かつての自民党的発想がこびり付いている安倍政権には、

「保守反動」の政権ですからね。
ますますもって時代に逆行するだろうと思います。
Posted by たんぽぽ at 2013年08月09日 23:46
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