事実婚夫婦が老後に直面する問題についてまとめた記事があるので、
ご紹介したいと思います。
弁護士にコメントを取っていて、要領よくまとまっていると思います。
「老後はどうなる? 女性が一生「籍を入れないでいること」のメリット&デメリット」
取り上げられていることがらは、4つあります。
1. 年金分割
2. 相続
3. お墓
4. 介護
>年金分割でも、事実婚は不利にならない!
夫の老齢厚生年金を専業主婦の妻にも分割する「年金分割」は、
事実婚の場合でも認められ、法律婚夫婦とくらべて不利はないです。
年金分割は事実婚がある程度認知されてから出て来たものなので、
事実婚夫婦に対しても配慮されたものと思います。
「離婚時の年金分割」
「離婚時の年金分割(2)」
>遺言がないとパートナーに遺産を相続させることができない!
事実婚の配偶者は法定相続人になることができないので、
遺産を相続させるためには遺言状が必要というのは、
別姓問題や事実婚問題に関心のあるかたでしたら、常識的にご存知と思います。
遺産相続には「遺留分」があることに触れられています。
これは遺言状で「愛人に全財産を託す」などと書かれていたとき、
残された家族が気の毒になるので、そうした場合遺族が遺産相続に対して
一定の権利を主張できるようにしたものです。
遺留分を受け取る権利のある相続人(法律婚の配偶者、子、父母)が、
自分の受け取る遺産が法定遺留分にたりないぶんがあると
それを請求できるので、遺言状に書かれた事実婚の配偶者の相続額が多いと
そこから差し引かれることあるということです。
(もっとも、いくら事実婚でも子どもたちを差し置いて、
配偶者に全額遺産を遺そうとすることは、あまりないように思います。)
>夫婦で一緒のお墓に入れないことも…。
夫婦別姓とか事実婚を希望するかたは、「夫とおなじお墓に
入りたくない」というかたもいらっしゃるだろうと思います。
そうではなくここでは、夫婦でおなじお墓に入りたいというときに、
問題が出てくるというお話です。
これは、宗派によっては事実婚の配偶者は入れないとか、
地方によっては事実婚の配偶者は入れないといった因習的なもので、
法的に事実婚だと制限があるということではないです。
それでも壁になることはあるので、事前に調べておくにこしたことはないでしょう。
お墓自体は、おなじお墓に苗字の異なる人が入る「合祀」もできるし、
夫婦別姓対応の墓石もあるので、とくに問題はないです。
お墓の引き継ぎも通常の遺産相続とおなじなので、
遺言状を書けば事実婚の配偶者に相続させることもできます。
「お墓を守る反対派」
>介護が必要になれば、子どもと別姓だと不都合も
これは非嫡出子の子を認知しないと、親を介護施設に入れる場合
まれに手続きが煩雑になることがあるということです。
事実婚夫婦に子どもが産まれた場合、通常は認知すると思うので、
とくに問題はないだろうと思います。
また親子で別姓だと社会的な眼から親子関係を疑われるというのですが、
女性が結婚改姓した場合、実の親とは苗字が異なりますから、
単に苗字が異なるだけで、親子関係を疑うほうがおかしいと思います。
そういう人に対しては、親子でも苗字が違うことがあることを、
はっきりと主張するほうがよいだろうと思います。