2013年08月27日

toujyouka016.jpg 恋愛と女性ホルモン

「恋愛をすると女性ホルモンが出る」という俗説を聞いたことが
あるかたもいらっしゃると思います。
この俗説には科学的根拠がない、つまり恋愛をしても女性ホルモンは出ない、
ということを解説した記事があるので、ご紹介します。

「恋愛をしていないとヒゲが生える?ーホルモンの名を借りたセクハラー」

信じているかたもいらっしゃるかもしれないですが、
根拠のないことですので、この機会にぜひ理解していってくださいね。

 
そういえば、男性について「恋愛をすると男性ホルモンが出る」と
言われるのを、聞いたことがなかったりします。
性ホルモンが分泌されることで、恋愛相手の獲得が有利になるなら、
男性にもおなじことがあっていいはずです。

女性だけ言われることが、根拠がないことをしめしているとも言えそうです。
この俗説は、恋愛をしている女性がみちがえるように見えるので、
「きっと女性ホルモンが出ているに違いない」と
思ったことによるのではないかと、わたしは想像します。

記事には「恋愛やセックスをしていないとひげが生える」とか
「仕事をやりすぎるとひげが生える」と言ったことも出て来ます。
ひげが生えてくるのも、恋愛やセックスは関係なく、
たとえばストレスがたまったとか、べつに原因があるのだろうと思います。


人体のメカニズムはもっと複雑なのですが、
「恋愛をすると女性ホルモンが出る」というのは、
複雑なことを単純化してわかった気になろうとするという、
にせ科学にありがちな心理が働いているとも言えるかもしれないです。

========
恋愛やセックスのときに分泌されるのは女性ホルモンではなく、
別のホルモンや脳内物質です。
しかも、人体や脳は非常に複雑で、数種類のホルモンや脳内物質で
恋愛やセックスが何たるかを解明できるものではありません。
デフォルメして理解した気になりたくなるのは分かりますが、
========


「恋愛をすると女性ホルモンが出る」というのが、
単なる科学的根拠のない俗説というだけならいざしらず、
セクハラになりかねないとなると、注意が必要になると思います。

========
恋愛やセックスと女性ホルモンの分泌を結び付ける発想は
セクハラにつながりかねないと思います。
「ずっと彼氏がいないと早く更年期になっちゃうよ」とか
「最近肌荒れてるみたいだけど、ご無沙汰なんじゃないの?」とか。
実際に性欲もないし恋愛も求めていないのに、
「女性として現役でいるためにセックスしないといけないんじゃないかと思って」と
あせりを感じている女性の相談もよく受けます。
========

容姿や外見を持ち出して、性に関して「かくあるべき」と
言うのですから、セクハラにもなりかねないでしょうね。
またしたくもないのに恋愛やセックスに駆り立てたりして
追いつめて行くということも問題だと思います。

これも一種の生物学的基盤を楯に取った、
ジェンダー規範の正当化とも言えるのだろうと思います。
なにしろ「女らしくありたいなら恋愛をしろ」とか、
「女らしくありたいなら仕事をしすぎるな」と言うのですから。

はじめにお話したように、おなじことを男性には言われないことも、
「科学」ではなく「規範」であることを、しめしていると思います。
「ホルモンの分泌」は、「母性本能」よりは
もっともらしく見せることができて、巧妙かもしれないです。


付記:
記事の著者がツイッターでリンクを貼って流したら、
ものすごい数のリツイートとお気に入り登録があったのでした。
わたしも記事をブックマークに入れたら、やはりわたしにしては、
リツイートとお気に入り登録がたくさんあったのでした。

信じていた人が多かったのか、うさんくさいと思っていたのか、
それともジェンダー規範の押し付けに悩んでいたのか、
多くのかたの関心を惹く話題ではあったようです。

posted by たんぽぽ at 22:24 | Comment(2) | TrackBack(0) | 家族・ジェンダー | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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この記事へのコメント
「恋する女は綺麗さ〜♪(お嫁サンバ:郷ひろみ)」の裏返しにホンマでっか根拠を付けた、って感じでしょう。

確かに恋する女は、内面の幸福感が表情やしぐさに出て、普段より魅力的に見える可能性はありそうです。
だけど、仕事が上手くいっている女性や、何か私生活で嬉しいことがあった女性も、内面の幸福感が表情やしぐさに出て、普段より魅力的に見える可能性はありそうですよね。となると「仕事が上手くいってる女は綺麗さ〜♪」とか「嬉しい女は綺麗さ〜♪」なんて歌があっても良さそうですが、そう言うのは記憶にありません。

一方、男だって熱烈恋愛中だったり、仕事が上手くいってたり、何か私生活で嬉しいことがあれば、内面の幸福感が表情やしぐさに出て、普段より魅力的に見える可能性はありそうですが、男の場合は「仕事の出来る男は魅力的」みたいな言われ方はあっても、「恋する男は綺麗さ〜♪(お婿サンバ)」なんて歌はありません。

結局は「男は仕事。女は恋愛(⇒結婚⇒家庭)。」と言う、典型的なジェンダー発想の形を変えたもの、と言う感じがしますね。
Posted by ニャオ樹・ワタナベ at 2013年08月28日 12:44
このエントリにコメントありがとうございます。

>「恋する女は綺麗さ〜♪(お嫁サンバ:郷ひろみ)」

これですね。
http://www.youtube.com/watch?v=blKYD7U0-hc


「恋愛すると女性ホルモンが出る」という俗説は、
仕事をする女性や男性には言われない、というのがポイントですよね。
ここに「恋する女性は女性らしい」「女性なら恋をするべし」という、
ジェンダー規範があるということだと思います。

あと、恋愛は生物学的基盤にもとづく感情と思われているので、
それで性ホルモンという生理現象と結びつけられやすいのも
あるのかもしれないですね。


むかしわたしは、恋愛相談の掲示板をよく見ていたのですが、
そのときも「内面を磨くと外見もよくなる」とは言われていたけれど、
「性ホルモンが出る」とは、そういえば言われなかったですね。

>「恋する男は綺麗さ〜♪(お婿サンバ)」

ちなみに、「内面を磨くと外見もよくなる」というのは、
男のほうがよく言われていました。
「自分はブサイクだからもてない」とこぼすのは、
ほとんどいつも男だからなんだけど。
Posted by たんぽぽ at 2013年08月28日 22:28
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