それにちなんだ夫婦別姓に関する調査があるので、ご紹介したいと思います。
「株式会社ダイス」が行なった調査です。
「9月19日は「苗字の日」 夫婦別姓どう思う? 選択的夫婦別姓制度に関する調査」
「9月19日は「苗字の日」 夫婦別姓どう思う? 選択的夫婦別姓制度に関する調査」
「夫婦別姓に関するアンケート調査(相談LINE調べ)」(全体の資料)
苗字に関する話題はたくさんありますが、その中であえて夫婦別姓を
取り上げたのはいささか変わっているかもしれないです。
わたしにしてみれば、よくぞ選んでくれましたと思うところです。
株式会社ダイスは、法律相談が無料でできる『相談LINE』という
iPhoneアプリを運営しているので、法律問題になる話題を取り上げた
ということかもしれないです。
この調査は20代から60代までの既婚女性330人を対象としています。
調査している内容もよくあるアンケートと違って、なかなか変わった質問をしていますよ。
>Q1
ひとつ目の質問は「結婚したときに、戸籍上、別姓が使えるとしたら、
旧姓のままでいましたか?」です。
結果は、
1. 35.2%: 姓を変更したと思う
2. 39.1%: おそらく姓を変更したと思う
3. 14.5%: おそらく姓を変更していないと思う(旧姓のまま)
4. 11.2%: 姓を変更していないと思う(旧姓のまま)
となっています。

1.と2.を合わせて74.3%になることから、「結婚したら別姓にするのが自然
(または無難)」と「考える女性が多くいる」と記事では結論しています。
「別姓なんて結局選ばない人が多いんだ」と考えていることになりそうですね。
3.と4.を合わせると25.7%になるので、別姓が選べたら改姓しなかった
というかたが、全体の4分の1以上いることになります。
これは考えようによっては案外多いと言えるかもしれないです。
今年の2月16日に発表された内閣府の世論調査では、
選択別姓の導入に賛成の割合が35.5%で、そのうち23.5%が「別姓希望」と
答えているので、全体の8.3%が別姓を希望していることになります。
また「別姓の希望」の質問で「どちらとも言えない」は27.2%ですが、
これらのかたたちがすべて別姓を希望したとしても、
合わせて全体の18.0%にとどまります。
「選択的夫婦別氏制度」
「別氏の希望」
夫婦別姓を希望するかたの割合は、内閣府の世論調査からの予想よりも
株式会社ダイスのアンケートの結果のほうが多いということです。
内閣府の世論調査は男女両方に訊いているし未婚者も含みますが、
株式会社ダイスのアンケートはすでに結婚している女性のみです。
これは実際に結婚改姓してみて、不便を感じたり後悔している女性も結構多い、
ということではないかと思います。
強く非改姓結婚を希望していなくても、女が苗字を変えないのはやりにくいので、
不本意だけど改姓してあきらめたというかたもすくなからずいて、
別姓を希望する人の「暗数」は結構あるのではないかと、
わたしは考えているのですが、それをすこし裏付けたように思います。
やはり結婚改姓に「見えない犠牲」は結構あるもののようです。
>Q2
ふたつ目の質問は、前の質問で1.か2.(姓を変更した)を選んだかた対象に
「そのまま旧姓を名乗らない一番大きな理由は何ですか?」と訊いています。
(「姓を変更しなかった」と答えたかたに質問しないところが、
これまた奇をてらっていると思います。)
「「結婚したら姓を変える」制度が当たり前だから」が29.4%で、
「旧姓を名乗るメリットを感じない」が26.9%となっています。
結婚改姓する理由は単に、「改姓することに疑問を感じない」とか
「旧姓を名乗る必要がない」ということで、苗字に対するこだわりがない
ということになるでしょう。

それでも「疑問を感じない」とか「必要ない」というだけであれば、
男性が結婚改姓してもよいはずです。
実際には、96%のケースにおいて女性が改姓するのであり、
ここには「女は結婚したら苗字を変えるもの」という社会通念が、
歴然と存在することをしめしていると言えます。
ほかの理由で目立つのは「子どもの姓をどうしたらよいかわからない」で18.0%です。
子どもの苗字で引っかかるかたはやはり結構いるようです。
選択別姓の反対派(非共存派)は「夫婦別姓なら子どもの苗字は
どうするのか?」と詰め寄るのが好きですが、子どもの苗字で悩む人は
最初から夫婦別姓なんて選ばないと言えそうです。
また夫や親や世間の反対があるというかたは意外とすくなくて、
これらを全部合わせて12.2%に留まっています。
これは女性が改姓しないことへの反対がすくないからではなく、
反対されるかたの多くが、前の質問で3.か4.(姓を変更した)を選んでいて、
ふたつ目の質問に回答する人がすくない、ということではないかと思います。
>Q3
最後の質問は「あなたの周りに夫婦別姓の人がいたら、どう感じますか?」です。
選択別姓は「他者の選択を容認できる」かが本来の論点ですから、
他人の夫婦別姓に対する寛容度を調べるのは、とても有意義だと思います。
いちばん多い回答は「何とも思わない」で43.3%です。
かなりの数の人にとって、他人さまの苗字などどうでもいいということですね。
つぎに多いのが「自分を持っている人だと思う」の30.0%です。
夫婦別姓をポジティブに見ているかたもなかなか多いことがわかります。

ネガティブな意見でいささか目立つのは
「その人の子どもがかわいそうだと思う」で12.1%あります。
夫婦別姓だと本人どうしはよくても、子どもにはなにかあるのではないかと
心配する人は、やはりある程度いるということだと思います。
ほかのネガティブな意見は、「家族を大事にしない人だと思う」
「ちょっと遠ざけてしまう」がありますが、合わせて5.1%に留まります。
夫婦別姓にあらわに反対する人は、意外とすくないことがわかります。
「ネットだと頑迷な非共存派がやってきて議論を吹っかけるが、
こういうのはかなり少数ではないか」と言われることがあるのですが、
それを裏付けたと言えるかもしれないです。
他人の夫婦別姓を「何とも思わない」人と「自分を持っている人だと思う」人を
合わせると、7割を超えて4分の3近くになります。
「自己主張が激しい人だと思う」と「その人に興味がわく」は、
ポジティブなのかネガティブなのか微妙ですが、これらを含めると
夫婦別姓に無関心ないし肯定的な人は8割を超えると思われます。
ところが内閣府の世論調査では選択別姓の導入に賛成のかたは、
女性に限っても35.5%で、通称使用を合わせても61.5%に留まります。
これは、他人さまが夫婦別姓にしても「どうぞご自由に」と思うが、
それを法律で認めるのはよくないと考える人が、
ある程度いることをしめしていると言えるでしょう。