性同一性障害で男性になったかたが、第三者の精子提供による人工授精で
子どもを設けたのですが「性別を変えた男性に生殖能力はない」として
嫡出子として認められなかった、というニュースがあるのでご紹介します。
「性同一性障害:性別変更、人工授精「父子」認めず 大阪家裁「生物学的血縁ない」」
区役所に出生届けを出したとき、区役所は嫡出関係を認めず
非嫡出子として扱い、子どもの戸籍の父親を空白にしたのでした。
男性は嫡出関係を認めてもらうべく訴訟を起こしたのですが、
家庭裁判所もまた嫡出子として認めなかったのです。
「民法は、血縁関係の存在を前提として法律上の親子関係を定めており、
自然生殖以外の父子関係を想定していない」というのが判決の主旨です。
これはいろいろと批判したいところもあるでしょうね。
性別変更のない男性の場合、不妊症のため第三者からの精子提供による
人工授精で子どもを設けた場合は、嫡出子として扱います。
「役所の窓口では精子提供の有無は確認できないため」なのですが、
そのくらいいい加減でいいのなら、なぜ性同一性障害のときだけ
杓子定規にこだわるのかと思います。
「離婚後300日規定」では、離婚後300日以内に産まれた子を
前の夫の子と推定しますが、あきらかに血縁関係がないとわかっていても、
かなり杓子定規に前夫の子にされ、前夫の戸籍に入れられます。
「民法は、血縁関係の存在を前提」もじつに怪しいことだと思います。
これでは性同一性障害だけ差別的に扱っていると思われても、
無理もないことだと思います。
4日に婚外子の相続差別に違憲判決が出たばかりだというのに、
こんなニュースが入って、とてもがっかりさせられます。
この性同一性障害の男性は、以前にも人工授精によって産まれた
子どもとの嫡出関係を認めてもらうために、訴訟を起こしていました。
2012年11月に判決が出たのですが、そのときも今回とおなじ理由で
嫡出関係が認められなかったのでした。
2012年11月のときは長男で、今回の訴訟は次男です。
「GIDの男性の子が非嫡出」
付記:
この性同一性障害の男性ことは、つぎの記事でもくわしく取り上げられています。
2011年1月なので、2年半以上前の記事です。
「(4)性の境界 「なぜ僕は父親になれないのか」」
謝辞:
今回の訴訟と2012年11月の訴訟の原告がおなじかたであることを
わたしに教えてくださったかた、そして「付記」の産経の記事を
教えてくださったかた、まことにありがとうございます。