2013年09月28日

toujyouka016.jpg 4人に1人の男がレイプ

かなりショッキングなニュースです。
アジア太平洋地域の男性は、なんと4人にひとりがレイプしたことがある
ということが、国連の調査であきらかになったのでした。

「男性の4人に1人がレイプ認める、アジア太平洋6か国で国連が調査」
「10人に1人或いは4人に1人」
「Nearly quarter of men in Asia-Pacific admit to committing rape」

 
調査対象国はバングラデシュ、中国、カンボジア、インドネシア、
スリランカ、パプアニューギニアの6カ国です。
18~49歳の男性を対象に、とうぜんながら匿名で聞き取りしたのでした。
結果はなんと、パートナー以外の女性をレイプしたことがある男性は11%、
パートナーを含めると24%というすごい数字だったのです。

おなじ国でも地域によってかなり異なるというので、多いところでは
レイプ経験のある男性はもっとたくさんいることになります。
ふたり以上の女性をレイプしたことがある男は45%だというので、
被害にあった女性はさらに多いことが予想されます。
レイプが横行する地域といえば、前にお話したインドやアラブ圏を思い浮かべますが、
アジア太平洋地域もこんなにレイプが多かったのでした。

調査した中でとりわけ多いのは、パプアニューギニアのブーゲンビル島です。
62%の男がレイプ経験があり、しかも「法的プロセスよりも
地域社会による私刑が優先されることが多い」ともあります。
「俺ら罰せられなければみな強姦魔」という、西村真悟のマイナスの名言
まさに体現しているかのようです。


これは驚くべきことですよ。
調査にあたったひとりである、エマ・フル氏も驚きを隠していないです。
「レイプは思ったより世界中で広範に蔓延しているのではないか」と
フル氏は考えていますが、わたしもおなじことを思いました。
世界はかくもレイプで満ちあふれているのかと、男性不信になってきます。

この調査は男性を対象に聞き取りをしたことが従来と違っていて、
それだけに新しい事実がわかったと言えます。
質問のしかたは「レイプをしたことがあるか」と直接的にせず、
「妻や恋人でない女性に性交を強要した経験はあるか」
「泥酔していたり薬物を与えられたりして、本人の意思を確認できない女性と
性交をしたことがあるか」のような訊きかたをしています。

「レイプをしたことがあるか」と直接訊いても否定する可能性が高いのでしょうね。
状況を具体的に訊くことで答えやすくすることに加え、
レイプする男はこれらをレイプと思わないこともすくなくないので、
正直に答える可能性が高くなるということなのでしょう。
よく考えられた調査だと思います。


エマ・フル氏によると、レイプ経験のある男性の割合が高いのは、
「母親が暴力を振るわれているのを目撃した経験のある男性」としています。
子どものころから女性が暴力を受けているのを見ることで、
「女性を暴力的に扱ってよい」「相手が女性のときは暴力で
解決してよい」といった考えが刷り込まれるのだと思います。

「買春の習慣がある男性」もレイプ経験者の割合が高くなるとあります。
これは買春によって「女性を性的に搾取してよいもの」と考えるようになり、
レイプへの抵抗もすくなくなるものと思います。
以前橋下徹氏が力説した「風俗の活用で兵士の性暴力の予防」は、
うまくいかないどころか逆効果であることが、ここでもしめされています。

レイプした理由は、4分の3の男は「彼女(被害者)を手に入れたかったから」
「セックスがしたかったから」と答え、59%が「娯楽のため」と答えています。
レイプを認めたうちの半数が10代の少年だったというのですが、
性について覚え始めたころで、興味本位でセックスする男も多いのかもしれないです。
女性の意志を無視して、女性を「もの」扱いするという、
性暴力を振るう男性の女性観が現れていると思います。

また「女性を罰するため」などという信じがたい回答をした男性が
38%もいたというのは、衝撃を通り越してもはや恐怖でさえあります。
性暴力を振るうのは、気に入らない女を卑しめ屈服させるためという、
男性の精神構造の現れだと思います。


>レイプ被害をなくすために

レイプを減らす方法として、エマ・フル氏はつぎの提案をしています。
これまで多くの国でレイプを減らすために、社会規範を変えることを含めて
なされてきたことを地道に行なうということです。
http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20130912/1379000066
========
Recommendations for reducing rape in the region include changing social norms,
such as the normalisation of violence against women in many countries,
promoting alternative notions of "manhood', ending impunity for men who commit rape,
and cutting down on the use of violence to discipline children.
========

1. 「男らしさ」の意味を問い直す
2. レイプした男をかならず罰する
3. 幼児期の虐待を減らす


1.は、レイプするのが「男らしい」というカチカンがあるのでしょう。
女性に対して優位に立てたような気がするからでしょうか。
また「女性と同意することはどういうことか」の理解も必要になると思います。
女性に望まないセックスを押し付けて、「これは同意があったのだ」と
独りよがりに納得する男性も多いだろうと思います。

2.については、レイプした男を罰することなく放免することが多く、
被害を訴えても警察が立件しないこともすくなくないようです。
前にお話したインドでも、レイプ犯が罰せられないことが問題になっていますが、
この調査でも「回答した男性の大半が、レイプに対する法的な処罰を
受けたことはない」と答えています。

そういえば日本でも「男の性欲は理性では抑え切れない」などと言って、
男性の性的加害を擁護する人がいます。
おなじようにレイプする欲求を男の本質的な性(さが)と考えるので、
レイプ犯に「寛容」になるのかもしれないです。

3.については、子どものころ性的虐待を含む暴力を受け続けると、
将来レイピストになる可能性が高くなるとされています。
暴力を受けると、「問題は暴力によって解決すればよい」という
カチカンを持つようになるということなのでしょう。
そうした「暴力の連鎖」を防ぐために、幼児期に親などによる虐待を
減らすことが大事になってくるということです。

posted by たんぽぽ at 16:42 | Comment(0) | TrackBack(0) | 家族・ジェンダー | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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