「仕事と子育てカウンセリングセンター」というNPOが、
「子どもが3歳になるまでは、母親が家庭で育てるべきと考えているか」
という意識調査を行なったので、ご紹介したいと思います。
調査対象は働いている男性と女性の両方で、
実際に子どもを保育園に預けている正社員とあります。
女性はもちろん男性も共働きだと思います。
「働く女性の3割「3歳まで家で育児を」」(リンク切れ)
(はてなブックマーク)
「働く女性の36%「3歳まで家で育児を」」(記事を掲載)
(「仕事と子育てカウンセリングセンター」のサイトを見たのですが、
調査結果のオリジナル資料は公開されてないようです。)
調査によると「子どもが3歳になるまでは母親が家庭で育てるべき」と
答えたかたが、「そう思う」と「ややそう思う」を合わせて女性の36%でした。
NHKの報道を見ると見出しに「働く女性の3割」とあって、
36%は「かなり多い」と考えているようです。
なんだか「保育所に子どもを預けて働いている女性だって、
本当は子どもを家庭で育てたいと思っているんだ」と言いたげにも見えます。
ところがこれは、働く女性の64%が「3歳までは母親が家庭で」とは
思っていない、ということでもあります。
3分の2近くの女性が、子どもを保育所に預けて問題なしと考えているのであり、
これはじゅうぶん多いと考えることもできるでしょう。
また、女性の81.8%が「子どもの病気などで突然遅刻や早退、
休みなどを取らなければらないことを心苦しく思う」と答え、
70.6%の女性が「家庭の事情や子どもがいることで残業や出張などが
できないことを心苦しく思う」と答えています。
子どもの事情と仕事の両立がむずかしいことが現れていると言えます。
前述の「3歳までは母親が家庭で」と答えたかたも、
子どもとお仕事の両立の困難さを考えてのかたも多いのかもしれないです。
子どものために仕事を打ち切ったり休んだりすることを、
もっと「当然のこと」として気兼ねなくできるようにする意識改革や、
必要によっては法整備が必要になるでしょう。
それよりわたしがびっくりしたのは、「子どもが3歳になるまでは
母親が家庭で育てるべき」と答えた男性が77.6%もいたことですよ。
なんと共働きの夫の4分の3以上が、子どもを保育所に預けて
妻が働くことに対してじつは理解がないということですよ。
この数字は驚異的にして脅威的だと思います。
「子どもは保育園で過ごす時間が長いほど社会性が発達する」という
調査があるのですが、これはどう考えるのかと思います。
NHKの報道は見出しをはじめ、女性の回答に焦点を当てているのですが、
本当に取り上げるべきは「77.6%の男性」ではないかと思います。
夫がかくも無理解なのは、ひとつは前述のように子どもと仕事の両立が
むずかしくなることがあるのだろうと思います。
また「3歳児神話」や「母性神話」の影響もあるのではないかと思います。
「育児休暇3年」なんて政策が打ち出されるのも、むべかるかなと思います。
調査をまとめたNPOのかたのコメントも紹介されています。
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調査をまとめたNPO「仕事と子育てカウンセリングセンター」の
伊藤由貴さんは、「本来なら子どもが3歳になるまで家庭で育てるべきという
プレッシャーを抱えながら仕事をしている女性が3割もいたほか、
仕事も育児も完璧にやり遂げたいと思っている人が多いことが
調査を通じて明らかになった。
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このようなプレッシャーから解放させるためには、
子どものために気兼ねなく仕事を打ち切ったり休んだりできる
職場環境を作るとか、「3歳児神話」「母性神話」のような
にせ科学の蔓延を防ぐ、といったことも必要になると思います。
しかしそれよりも、子どもを保育所に預けて妻が働くことをゆゆしく思う
夫の意識改革が重要ではないかという気が、わたしはしてきます。
夫が内心では「3歳までは子どもは家庭で」とつねづね思っていれば、
それは妻にとってじゅうぶんプレッシャーになると思うからです。
私もこの結果にはとても複雑な気持ちになりました
何よりもこの割合で無理解の夫がいるということです
衝撃です
前回コメントさせていただいたときにも触れましたが育児は男性、父親にもできることですよね
なのにどうして3歳までは母親が育児すべきという意味不明なことがまかり通っているのか不思議でなりません
これは管理人様も仰っているように母性神話からくるのでしょうね
育児に性別による向き不向きなんてないと思います
また、社会全体がそういう根拠のない神話や元来のシステム維持のためなどで父親の育児休暇取得に全く理解を示す気がないのも大きいのかもしれません
僅かながらでもいる理解のある夫でも、男性という理由で育休が取れなければ結局母親である女性にプレッシャーをかけてしまうことになりますし
3年育児休暇なんて全くふざけていると思います
3年も休んでしまえばどうしたって仕事復帰がしづらくなりますし、取り戻すのも大変です
企業だって3年も休まれては重要ポストなんて任せられないでしょうし、増やそうとしているらしい女性の管理職が増えるわけありません
そんな簡単なことがなぜ政府はわからないのか理解に苦しみます
やはり極端に女性政治家がいなさすぎるのも原因の一つなのかもしれません
待機児童を減らすこと、母親だけでなく父親に育休を与えることを始めないといつまでたっても変わらないと危惧しています
時間を気にせずに仕事出来ると言う状況は、実際、非常に気楽です。その上、非管理職な正社員ともなれば、気兼ねなく夜中まで仕事した分、残業手当が頂ける。「サラリーマンは気楽な稼業ときたもんだ。」とは、良く言ったものです。
高度成長期、増え続ける都市部の就労人口と、急激な経済成長に対して、「働く夫と専業主婦妻(プラス子供2人)」なるライフスタイルは良くマッチしていたのかもしれませんが、その中で「時間気にせず働くこと」の旨味を知ってしまった男が、実に大勢居るのだと思います。
そんな男性陣が、最近になって「ワークライフバランス」だとか、「女性の社会進出で経済成長を」とか言われはじめたために、「時間気にせず働く男の権利」を死守すべく、3歳児神話にすがっているのではないかと想像します。
>何よりもこの割合で無理解の夫がいるということです
>衝撃です
わたしもびっくりしましたよ。
NHKは女性の意見ばかり取り上げているけれど、むしろ問題にするべきは、
かかる男性の無理解だろうと思います。
>育児は男性、父親にもできることですよね
「子どもは家庭で」と思っているなら、自分がやればいいと思います。
でも妻にやらせることと思っていて、自分でやるという考えは
おそらくないのだろうと思います。
おそらく「母性神話」や「3歳児神話」が背景にあるのでしょう。
>僅かながらでもいる理解のある夫でも、男性という理由で育休が取れなければ
パタハラと言われて、問題視されるようになっていますね。
http://taraxacum.seesaa.net/article/371751454.html
こういう「男性の家庭進出」をさまたげるところを意識改革しないと、
「仕事と育児の両立」が、女性への負担となってかぶさってくるのですよね。
>3年育児休暇なんて全くふざけていると
3年も育児休暇で職場を離れていたら、どうやって復帰するのかと思います。
子どもがひとりでなく、何人も子どもを産んだら、
5年も6年も職場を離れることになりますし。
このあたり、おそらく考えなしに言っていると思います。
「育児休暇3年」というのも、ようは「母性神話」「3歳児神話」が
背景にあるのだろうと思います。
安倍政権は因習・反動的な「伝統的な家族」を標榜していますからね。
「母性神話」や「3歳児神話」は、その「伝統的な家族」に合致するのでしょう。
ようは現実ではなくイデオロギー優先だということです。
財界とかUNウィメンなどから言われて、安倍政権も「女性の活用」とか
言い出しているけれど、内心では「伝統的な家族」が大事で、
それに抵触することはしたくないのだろうと思います。
そして効果的な施策は「伝統的な家族」に抵触するので、
ピントのずれた施策しか出て来ないことになるのだと思います。
このエントリにコメントありがとうございます。
女性には「母性」というものがあって、子どもは母親が育てるべき、
という考えが現れたのは近代に入ってからですね。
フランス革命政府が、子どもの福祉の解決が必要となったため、
女性にこの役目をあてがうことを打ち出したりしています。
近代は資本主義が発達してブルジョワーが台頭した時代で、
家族観が大きく変化して、専業主婦なるものが現れたのでした。
女性が賃金労働をせず家事育児に専念するようになって、
「母性神話」の信奉者にとって都合がよかったのではないかと思います。
「3歳児神話」は、リンクした記事にあるように、
クラウスとケネルの「母子相互作用」の研究が発端になりますね。
「子どもにとっても母親を必要としている」という考えは、
「母性神話」を補強するものとなったと思います。
「母性神話」を信奉する人たちにとっては、受け入れやすいものだったのでしょう。
「母性神話」「3歳児神話」は、子どもの福祉のために
子育てを女性を押し付けるという、男社会の画策ということになるでしょうね。
いまもって男社会の画策で利益を享受したい人たちが、
「母性神話」「3歳児神話」にこだわるのは、むべなるかなかもしれないです。