厚生労働省が今年の3月に、若い世代の人たちを対象に意識調査を
行なったのですが、その結果が9月の下旬に発表されたのでした。
内容は家族や生活に関係することですが、なぜか専業主婦指向についての結果が
新聞記事で取り上げられたので、ご紹介したいと思います。
「独身女性、3人に1人が専業主婦希望 厚労省調査」
「専業主婦に「なりたい」3割 「なって欲しい」は2割」
「専業主婦に「なりたい」3割 「なって欲しい」は2割」(紙面版)
「■厚生労働省が発表!「若者の意識調査」」
この調査は15-39歳の独身の男女を対象に、インターネットで実施しています。
オリジナルの資料はこちらです。
「少子高齢社会等調査検討事業 報告書(若者の意識調査編)」
調査でははじめに「結婚相手(事実婚含む)の女性は専業主婦に
なってほしいと思いますか」と独身男性を対象に質問しています。
「そう思う」が3.9%、「どちらかといえばそう思う」が15.4%で
これらを合わせると19.3%になります。男性の5人にひとりですね。
それから「結婚(事実婚含む)したあとは専業主婦になりたいと
思いますか」と、独身女性を対象に質問しています。
「そう思う」が8.2%、「どちらかといえばそう思う」が26.0%で
これらを合わせると34.2%になります。女性の3人にひとりですね。
男女のあいだに意識の差があるのですが、男性が希望するよりも
女性がみずから専業主婦を望んでいる、という結果になっています。
おそらくここに意外性を感じて、記事になったのではないかと思います。
若い女性の専業主婦願望については、分析されていると思います。
1. 相手の男性に家事が期待できないから
2. 不況で女性の就職がむずかしい&妊娠出産後仕事を続けるのがむずかしい
というのが、おもな理由でしょう。
ようは仕事と家庭の両立が困難ということになると思います。
「若い女性の専業主婦願望」
仕事と家庭の両立は、いまもって女性に多くの負担がかかるということですね。
それで相手の男性が家事に非協力的だと、「あなたが家のことを
やってくれないなら、わたしは働かないで主婦やる」となるわけです。
実際、日本人の夫は欧米諸国の夫にくらべて、ずっと家事時間が短いのでした。
男性の家事が非協力的な理由は、ひとつはだらだら残業して
会社に残っていれば評価されるという、日本の企業風土があると思います。
ほかにも日本の男性は、家事をやりたがらないところもあるでしょう。
「夫に家事を手伝わせる方法」なんて指南が記事に書かれたりもしますし、
家事や育児への夫の貢献度は3割という調査もあります。
さらに「なぜ専業主婦になってほしい(なりたい)と思いましたか、
当てはまるものすべてを選択してください」という質問があります。
もちろん前の質問で専業主婦になってほしい(なりたい)と
お答えしたかただけが対象です。
男女合わせるとつぎのように「女性には家事や子育てなど、
仕事をするよりもやるべきことがあると思うから」が41.5%です。
ところが朝日の記事を見ると、女性にかぎると61.4%なのですよね。
これは上述の「仕事と家庭の両立は無理」と思った女性が、
「女性には家事や子育てなど、仕事をするよりもやるべきことが
あると思うから」という選択肢を選んだことが考えられます。
妻に専業主婦を期待する男性がすくないのは、ひとえに経済力だと思います。
会社員の平均年収は、結婚適齢期の30歳前後では400万円程度です。
配偶者を専業主婦にして暮らせるだけの年収は約600万円とされています。
したがってかなりの数の男性は、妻を専業主婦として養えるだけの
経済力がないのであり、それゆえ妻にも働いてほしいと考えるものと思います。
「結婚相手に望む年収」
すこし前に、共稼ぎの男性の4分の3以上が、「子どもが3歳までは
母親が家庭で育てるべき」と考えているという、衝撃的調査があったのでした。
こちらとの整合はどうなっているのかと思います。
「3歳までは母親が」の調査は既婚の男性、この調査は独身の男性に
訊いているので、その違いはありそうですが
それだけだとすると、あまりにも差がありすぎると思います。
「3歳までは母親が」というのは「理想」で、妻に専業主婦を
期待しないのは「現実」ということなのかもしれないです。