9月4日に婚外子の相続差別に対して、ついに違憲判決が出たのでした。
とうぜんながら、判決にしたがって民法を改正する義務が、国会には生じます。
ところが自民党内では反対する議員たちが出て来て、早々に難航するのですよ。
臨時国会での成立は見通しが立たない、という状況になっています。
婚外子差別の撤廃は、彼らが信奉する「家族のカチ」に真っ向から
抵触するので、もっとも手をつけたくないことのひとつでしょう。
猛反対する議員が出てくることは、予想できることではあったのでした。
反対派議員たちが噴きあがっている様子は、各新聞社が取り上げています。
記事にはブックマークもたくさんついて、かなり話題になっています。
以下にリンクを並べておきます。
「民法改正 調整に時間かかることも」
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「「家族制度を守れるのか」 婚外子相続の民法改正、自民から慎重論噴出」(1/2)
「「家族制度を守れるのか」 婚外子相続の民法改正、自民から慎重論噴出」(2/2)
(はてなブックマーク)
「自民政調会長、婚外子差別で法改正を 違憲判断受け」
「谷垣法相「速やかに」 婚外子規定で民法改正」
「婚外子規定「拙速手続き」に反対 自民保守派」
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「「婚外子」平等化に反対、自民勉強会に23議員」
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「婚外子違憲:自民党部会 民法改正に慎重論も」
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「違憲判断出たのに… 婚外子規定の削除 自民保守派が抵抗」
(はてなブックマーク)
反対している議員は総勢23人です。
西川京子文部科学副大臣と木原稔防衛政務官以外は、どの新聞記事を見ても
名前が出ていないのですが、全員の名前を公表したほうがよいだろうと思います。
西川京子氏は5年前の国籍法改正のときも、違憲判決を受けての
法改正にもかかわらず、反対して採決のときに退席をしています。
今回の婚外子の相続差別撤廃も、採決を拒否して退席するかもしれないです。
(採決にまでいたればのお話ですが。)
自民党・安倍政権はむろん違憲判決に従った法改正を進めるのですが、
23人の反対派議員たちは、「拙速な党内手続き」などと言っています。
違憲判決が出た以上、婚外子の相続差別はもはや議論することではなく、
判決にしたがってすみやかに法律を改正するだけのことです。
この期におよんでなにが「拙速」なのかと思います。
しかも彼ら反対派議員たちは、10月24日に国会内で勉強会を開いているのですよ。
そしてこの勉強会を議員連盟に昇格させることを決めています。
なにをいまさらのように勉強会だの議連だのやっているのかと思います。
彼らははさらに「司法の暴走だ」などとも言うのですが、
暴走しているのは司法ではなく、自民党の反対派たちにほかならないと思います。
これも「人は自分に当てはまることばで、他人を批判する」
ということの一種なのかもしれないですね。
反対派議員たちの婚外子に対するむき出しの差別意識もさることながら、
最高裁決定に従えず違憲判決を批判するという、彼らの遵法意識の欠如や
三権分立の軽視も、いかんともしがたいものがあると思います。
朝日の記事によると、彼ら反対派議員たちは「25日から法案審査に入る
党法務部会などで主張を強める構え」とあるのですよ。
自民党の法務部会と言えば、かつて民法改正の法案提出が
頑迷きわまりない反対派議員によって、何度となく潰された場所でした。
今回の婚外子の相続差別撤廃も、反対派議員たちによって
おなじように握りつぶされ、法案提出にいたらない可能性もあると思いますよ。
谷垣禎一法相は「相続は日々発生する。実務処理上の混乱を避けるためにも、
できるだけ速やかに成案を作りたい」と述べていて、
違憲判決にしたがって婚外子の相続差別を撤廃する民法改正を
早急に行なうべきだという意向を示しています。
法相が違憲判決を守らなければ、さすがにしめしがつかないですね。
いささか意外だったのは、あの高市早苗政調会長が
「日本の家族観に合った規定だと思っていたので、ものすごく悔しいが、
最高裁で違憲判断が出た以上、政府は民法を改正する責務がある」
と述べていて、違憲判決に従う意向をしめしていることです。
自分の政治信条には反するが、最高裁決定は守らなければならない、
という遵法意識はあるということですね。
23人全員の名前をきちんと出して、活動するべきですね。
もちろん、残り21名の名前を出さないならば、名前を出している2名の議員も同罪かと思います。
直ちにこの23人の辞職勧告決議案が提出、可決されるのが、法治国家日本のあるべき姿だと思います。
またこの不適格者23人全員の氏名を公表しないマスコミは、国民への背信行為者のそしりを免れないでしょうな。
更に言えば、日本国憲法よりも「家族のカタチ」とか言う己の思想信条を重んじる馬鹿共を抱える自民党が憲法改正を論ずるなど、言語道断でしょう。
刑法の改訂に強盗犯や殺人犯の意見を反映させるようなものですから。
23人もの国会議員が、公然と最高裁決定に反対するというのは、
もっと問題視されることだと思います。
婚外子や家族の問題にとどまらない、三権分立への明確な挑戦ですからね。
(どうせたいした批判もされないのだろうとは思うけれど。)
23人の国会議員の名前は、どこかでわからないかなとわたしも思います。
近々議連を作るので、もしかしたらウェブサイトが作られるかもしれないです。
産経の記事を見たら柴山昌彦の名前が出ていました。
http://sankei.jp.msn.com/politics/news/131023/plc13102322380023-n1.htm
あとエントリからリンクしていない新しい報道ですが、
西田昌司の名前が出ています。
「最高裁判所の非常識な判断」なんて、傲慢なことを言っていますよ。
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20131029/k10015646411000.html
このエントリにコメントありがとうございます。
>我が国の最高法規である日本国憲法よりも、
>「家族のカタチ」とか言う己の思想信条を重んじるこの馬鹿共23人は、
「家族のカタチ」は彼らにとって宗教の代わりなのでしょうね。
そういう「信仰」よりも憲法や最高裁決定のほうが優先されることなのに、
「自分の信仰が第一」になっているところが、嫌になってしまいますね。
予想できたこととはいえ、実際にやらかしてくれるとじつにへきえきします。
>またこの不適格者23人全員の氏名を公表しないマスコミは、
じつは朝日の記事以外は、23人という正確な人数も書いていないのですよね。
なにを遠慮しているのかと思います。
三権分立への挑戦なのですし、もっと問題視することのはずですよね。
>日本国憲法よりも「家族のカタチ」とか言う己の思想信条を重んじる
>馬鹿共を抱える自民党が憲法改正を論ずるなど、言語道断でしょう
まったくですよ。
こんなていたらくで憲法に手をつけるなんて、なにを考えているのかと思います。
もっとも自民党の憲法草案は立憲主義を理解していない、
近代憲法とは言えないしろものだという批判がありますし、
彼らのレベルにはふさわしいのかもしれないです。
http://www.tokyo-np.co.jp/article/politics/news/CK2013103102000120.html
>西田昌司参院議員は会合で「最高裁はわれわれの常識とは違うが、現行憲法を結びつけると今回の決定になる。現行憲法が間違っている」と言い切った。
だそうで。
法定速度50km/hの道路を60km/hで走っていて警察に捕まった時に、「この道路が50km/h制限なのは俺の常識とは相容れない。だから罰金も払わない。」と言っているようなものですね、この西田とか言う阿呆は。
そう言うアホアホな主張で、罰金の支払いを免れたという話は、聞いたことが無いですがね。
今朝の毎日新聞にも「自民党よおごるな」との社説が掲載されていましたよ。
またまたコメントありがとうございます。
>http://www.tokyo-np.co.jp/article/politics/news/CK2013103102000120.html
>>西田昌司参院議員は会合で「最高裁はわれわれの常識とは違うが、
>現行憲法を結びつけると今回>の決定になる。現行憲法が間違っている」と言い切った。
ご紹介ありがとうございます。
そろそろ出てくるかとは思ってましたよ。
「最高裁判決が気に入らないから憲法を変える」などという人。
自民党の憲法草案は、婚外子差別の温存が目的でしょうからね。
彼らが自分たちの憲法草案を優先させて、現行憲法や最高裁判決を
否定するのは、むべなるかなではあるでしょうね。
>今朝の毎日新聞にも「自民党よおごるな」との社説が掲載されていましたよ
こちらですね。
http://mainichi.jp/opinion/news/20131031k0000m070144000c.html
自民党の傲慢さを問題視する論調が、メディアの中にも出て来たかと、
ちょっと思ったです。
そして自民党は改憲して、時速180キロで無灯火逆走を合法にして、
事故を頻発させようというのですよね。
自民党の右バネが心配だ
http://www.nikkei.com/article/DGXDZO61836010Q3A031C1EA1000/
やはり問題視しています。
>自民党の右バネが心配だ
>http://www.nikkei.com/article/DGXDZO61836010Q3A031C1EA1000/
ご紹介ありがとうございます。
毎日、東京新聞に、日経も続きましたか。
さすがに今度はマスコミも、自民党はけしからんと考えるのかな。
「やや節度に欠ける発言」なんて書いていて、論調はまだそれほど強くないけれど。
それから野党が法案提出を準備していますね。
「野党から法案提出はしないのか?」という意見があったのだけれど、
本当に提出することになりそうです。
これくらいは当然でしょうね。
「婚外子相続法案を提出へ=民主、野党に共闘呼び掛け」
http://jp.wsj.com/article/JJ10268269237590944264918932611060586861309.html
自分の常識と違うからこの判決がおかしいって何を言ってくるんでしょうかね
それこそそんな理屈が通ればどんなことでも自分の常識とは違う、だから法がおかしいで通りますから。
自分と意見があわなければそっちがおかしいと言い出すなんて幼児と変わりませんね
そもそもこの人の言う伝統的な家族とやらも抽象的すぎますね
家族のありかたなど人によって違うと思いますし、国が決めることではないと思います
それこそおこがましいです
>自分の常識と違うからこの判決がおかしいって何を言ってくるんでしょうかね
まったくですよね。
最高裁判決より自分の常識が優先なんて、なにを考えているのかと思います。
違憲判決と自分の常識とで食い違うなら、疑うべきは自分の常識ほうですよね。
相当なまでに自分の常識中心主義ということになりそうですね。
西田昌司こそ「非常識」だと思います。
もっとも西田昌司は正直に言ったというだけで、
婚外子差別の違憲判決が気に入らない自民党議員は、
みんなおなじことを思っているのではないかと思うのですよね。
彼らの信奉する「伝統的な家族」は、高度経済成長期に定着した、
夫が外で働き妻が専業主婦という「標準家族」だと思います。
かかる家族思想は、おそらく彼らにとって宗教の代わりなのかもしれないです。
それで憲法や最高裁判決よりも自分の「信仰」が第一、ということなのでしょう。
日本の三権分立を根幹から揺るがす出来事ですし。
司法を無視し行政が暴走しているこの状態を見過ごせば日本の三権分立、民主主義の危機だと思います
伝統的な家族とやらの宗教は本当にどうにかならないものかと思いますね
こんな思想があるから安藤選手のバッシングなどがおこったのかもしれません
家族のありかたにこれが正しい、これが間違いなんてないでしょうし
どんな家族がいいかなんてその家ごとに異なりますもんね
自分と違う価値観は認めないという排他的な考えはやめてもらいたいものです
>この問題は本当にもっと取り上げられるべきですよね
>日本の三権分立を根幹から揺るがす出来事ですし
ご指摘の通り、自民党のやっていることは三権分立への挑戦であり、
婚外子や家族の問題にとどまらなくなっているのですよね。
まさに民主主義の根幹に関わることであり、もっと深刻にとらえることだと思います。
マスコミからはいくつか自民党を批判する記事が出てはいるけれど、
まだそれほど論調は強くないですね。
握りつぶされたと決まったわけではないので、様子見なのかもしれないです。
わたしの見たところ、世論はおとなしいですね。
三権分立への挑戦が深刻なことだと思わないのかなんなのか、
自分と直接関係ないので興味もわかないし、なにが問題なのかよくわかってない、
という人が多いのかもしれないです。
>伝統的な家族とやらの宗教は本当にどうにかならないものかと思いますね
「信仰」の域に入っているので、信者たちは手がつけられないでしょうね。
他人の家族のありかたにくちばしを挟むなと言っても、彼らは理解しないでしょう。
なにしろ自分が信奉するのと違う価値観を認めると、
日本が崩壊するなどとまじめに信じているのですから。
安藤美姫さんへのバッシングの原因のひとつは、まさに婚外子差別ですね。
「正しい家族」幻想がかくも強いのかと、わたしはびっくりしたです。
報道2001
http://www.fujitv.co.jp/b_hp/shin2001/chousa/chousa.html
2013年11月3日放送分↓
http://www.fujitv.co.jp/b_hp/shin2001/chousa/2008/131103.html
これのランダム500人の統計的な正確さがどれほどなのかはわかりませんが、この調査で意外だったのは、選択的夫婦別姓よりも婚外子の方が反対が多い(賛成ははるかに少ない)ことです。
どちらも反対する理由がさっぱりわからない自分としては、まったくもって理由はわかりませんが。。。
>これ↓だけ自民党の常識と世論は異なっているのに、それでもなおかつ自民支持率が高いのは、
ジェンダーにかぎらず、それはどんな政策でもそうだろうと思いますよ。
TPPも汚染水対策も、自民党の政策が支持できない人が多いのに、
自民党の支持率は依然として高いままですからね。
民主党政権の失敗の衝撃がいまだに大きいのでしょう。
それで自民党のやることにどれだけ不満があっても、
自民党政権を支持し続けると決めている国民が多いのだと思います。
>http://www.fujitv.co.jp/b_hp/shin2001/chousa/2008/131103.html
こちらはご紹介ありがとうございます。
婚外子や夫婦別姓について調査するとは思わなかったです。
違憲判決のインパクトはそれなりにあったようですね。
婚外子差別撤廃より、夫婦別姓のほうが賛成が多いのは、わたしも意外ですね。
内閣府の世論調査では、婚外子差別撤廃のほうが受け入れられていて、
夫婦別姓はそれほど賛成が多くなかったですからね。
調査対象が首都圏限定であることや、選択肢が「賛成」「反対」の
ふたつしかないことが影響しているのかもしれないです。
あと「問4」で「法律婚も事実婚も重視すべき」という意見が
もっとも多く半数以上のかたが選択していて、
事実婚に理解をしめしているかたも結構意外と多いと思ったです。
もうひとり、反対馬鹿議員の名前に宇都隆史
http://www.nikkei.com/paper/article/?ng=DGKDZO62090220U3A101C1PE8000
というのを見つけました。
>もうひとり、反対馬鹿議員の名前に宇都隆史
>http://www.nikkei.com/paper/article/?ng=DGKDZO62090220U3A101C1PE8000
ご紹介ありがとうございます。
でも記事は、わたしは日経のIDがないので、残念ながら読めないのでした。
あとこちらの時事の記事に、赤池誠章参院議員の名前が出ていますね。
http://www.jiji.com/jc/zc?k=201311/2013110500922
(著作権とか大丈夫なのかはわかりませんが、私が置いているわけでもないので、いちおう紹介)
http://www.utotakashi.jp/img-Y06130854.pdf
>http://www.utotakashi.jp/img-Y06130854.pdf
おおおお、よくぞ見つけてくださりました。
ご紹介ありがとうございます。
なんでこんなものが転がっていたのかは、ちょっと気になりますね。
「民法改正は「公約ほご」に思える」とあるけれど、
TPPで露骨な公約違反をしておいて、いまさらなにをか言わんやと思います。
それと法務部会は、事前審査・承認制度という旧式の意思決定システムが
すっかり復活しているのですね。
いまの民法改正反対派議員たちの噴き上がりは、
まさに10年前の民法改正の事前審査とそっくりですからね。
http://lacrima09.web.fc2.com/teardrops/movement/houmubu.html
>内閣府の世論調査では、婚外子差別撤廃のほうが受け入れられていて、
(たんぽぽ at 2013年11月06日 08:26)
と、わたしは書いていたけれど、これは違っていましたね。
内閣府の世論調査は、婚外子の相続格差は維持のほうが多く、
選択的夫婦別姓より受け入れられていなかったです。
http://www8.cao.go.jp/survey/h24/h24-kazoku/zh/z24.html
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現在の制度を変えない方がよい: 35.6%
相続できる金額を同じにすべきである: 25.8%
どちらともいえない: 34.8%
わからない: 3.8%
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