2013年12月08日

toujyouka016.jpg 同性結婚と生物の目的?(2)

12月7日エントリでお話しした、「生物の目的は子孫を作ることだから、
子どもを作れない同性結婚は積極的に否定するべき」という、
「ふじおかひろき」氏の同性愛に対する差別発言の続きです。

「生物の目的は子孫を残すことだから同性結婚は反対!」
(はてなブックマーク)
https://twitter.com/guchinandayo/status/405474092137988096
(はてなブックマーク)

 

子どもを作れない結婚は認めるべきでないというのでしたら、
異性愛者でも不妊症のかたは、子どもを作ることができないのですが、
彼らの結婚は積極的に否定されるべきなのか?という疑問が湧いて来ます。

「ふじおかひろき」氏がこれになかなかお答えしないので、
わたしは何度もお尋ねしたのですが、ようやく「性と女性が婚姻するに当たって
日本では両性の合意以外の条件はありません」
と言ってきました。
自分の意見を訊かれているときに、「規則はこうなってます」と言うのは、
「お役人」的な「逃げ」を感じますね。

これが「ふじおかひろき」氏の自分の意見だというのでしたら、
異性愛者であれば不妊症であっても結婚は認められるというのですから、
「生物の目的」は異性愛者の結婚には適用されないわけです。
結局この人は、同性結婚を否定したいという考えがさきにあって、
「生物の目的」は後付けの理屈ではないかと思われます。


自分の意志で子どもを持たないと決めている人はどうなるかと思います。
彼らも「生物の目的」に反するので、結婚を否定するべきでしょうか?
子どもを持つか持たないかといったライフスタイルのありかたは、
その人個人が自由に決めてよいことのはずです。
「ふじおかひろき」氏のような考えは、他者のライフスタイルのありかたに、
介入することにもなるわけです。

それから重度障がい者は、やはり子どもが作れないので、
彼らが結婚することは積極的に否定することになるのでしょうか?
高齢になって子どもが作れなくなった夫婦はどうなるのでしょうか?
彼らも「生物の目的」をまっとうできないので離婚するべきでしょうか?

「ふじおかひろき」氏の考えを進めて行くと、子どもを作れる人間だけが
生きる資格があるのであり、不妊症や同性愛者、障がい者などは、
子どもを作れないので、どんどん排除するべきだという
「優生思想」へと発展することになります。

この「優生思想」を積極的に推し進めたのがヒトラー・ナチスです。
ヒトラー・ナチスは富国強兵とドイツ民族の繁栄のために、
立派な子孫を残せる人間だけが価値があるものとして、
高齢者や障がい者は社会の負担になるだけとして切り捨てていったのでした。
同性愛者も子孫を残せない無価値な存在であるとして、
ヒトラー・ナチスは強制収容所に送るなどの迫害をしています。


「ふじおかひろき」氏はこんなことも言っています。

「同性愛を優遇しろ」というのは、だれが言っているのかと思います。
同性愛者にも異性愛者とおなじだけの権利を認めろとは言っています。
「ふじおかひろき」氏にとって、同性愛者は「二級市民」でなければならず、
異性愛者と同等の権利を認めたら「優遇」になる、ということでしょうか?

「同性結婚を認めると少子化が促進される」というのは、
同性愛の反対派がよく言うことですが、これも根拠のないことです。
同性愛というのは先天的で、産まれてから自分の意志で性的指向を
変えることはできないですから、同性結婚を禁止したところで
異性愛者と結婚して子どもを作るようにはならないからです。

アフリカなどの開発途上国では、人口増加に悩む国が多いですが、
そうした国が「同性愛者は人口増加を抑制してくれる」と言って、
感謝しているというお話はぜんぜん聞かないですよね。
むしろそういう国は、同性愛に対して厳罰を課していることが多いです。


じつは同性愛者も異性とやることをやれば、子どもは作れるのですよね。
なぜならば「そういう機能があるから」です。
直接異性とやらないにしても、精子提供や卵子提供によって
子どもを設ける同性愛者は実際にいらっしゃります。
同性愛者もじつは「子孫を残している」ということです。

また「子孫を残す」ためには、子どもを産むだけでなく育てる必要があります。
同性愛者のカップルの中には、養子縁組で子どもを持つかたもいます。
自身は産まなくても、「育てる」ほうで「子孫を残す」ことに
貢献している同性愛者のかたもいらっしゃるわけです。
「同性愛者は子孫を残せない」というのは、同性愛者の現実が
あまりに見えていないがゆえの思い込みだとも言えると思います。


はじめのトゥゲッターは、20000ビュー以上に達しました。
「お気に入り登録」が20以上で、コメント欄もコメントがたくさん付いています。
はてなブックマークも200近く付き、300以上のツイートで引用され、
フェイスブックの「いいね!」も20以上押されています。
わたしが作ったまとめが、これだけ反響を呼んだのははじめてですよ。
アクセス御礼をもうしあげます。

はじめに「サイエンスでいうなら」発言のツイートを捕捉したときは、
新規性のない言い古された同性愛差別発言ですし、
さほど興味を惹かないと思っていたので、これは意外でしたよ。
みなさんこういうお話はとても興味があるということですね。
「ふじおかひろき」氏は、わたしを入れて5人のかたと直接議論をしています。
「たんぽぽに噛み付かれる」どころの騒ぎではなかったですね。


付記:

「人間は愛する葦である」なのよね、わたしに言わせればね。

posted by たんぽぽ at 18:13 | Comment(6) | TrackBack(0) | 疑似科学(にせ科学) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

はてなブックマーク - 同性結婚と生物の目的?(2) web拍手
この記事へのコメント
私は異性愛者ですが、「積極的に同性結婚を否定すべき」とは思いません。
少なくとも、同性愛そのものは全く否定すべきことではないと思いますし。

ただ現状の婚姻制度は根幹の思想が非常に古く、同性愛について対応ができていないとは思います。
ですので、子供を作らない(作れない)夫婦はどうなのかという意見はごもっともとも思います。
少なくとも現状の婚姻制度が子供のいない夫婦を対象に含めてる以上は同姓婚を否定する理由はないとも思っています。


ですが、私としては現状の婚姻制度の様々な権利(メリット)については子供の有無(出産・育成)に起因すべきだと思っていますので、可能ならばこのあたりの不平等性の改善は「同姓婚を認めたうえで現状婚姻制度の権利(メリット)の大部分を「子供のいる家族」に移す」という方向に進むことはできないのかなとも思っています。

まぁこの手の問題はどの陣営も思想の押し付け合いになりやすいので、気長な議論ができるといいですね。






Posted by rkurosuke at 2013年12月08日 21:00
生物の目的は生殖であって、法律婚はその目的にかなうべくあるべきだ、というのであれば、このふじおかなんたら氏は、選択的夫婦別姓の導入には、諸手を挙げて賛成してくれるはずですが、どうなのかな?
Posted by ニャオ樹・ワタナベ@モバイル at 2013年12月08日 23:01
rkurosukeさま、いらっしゃいませ。
わたしのブログにコメントありがとうございます。

>ただ現状の婚姻制度は根幹の思想が非常に古く、

現在の家族制度は「夫が外で働き妻が専業主婦で子どもはふたり」という、
高度経済成長期の「標準家族」が前提になっているのですよね。
http://lacrima09.web.fc2.com/teardrops/against/illusion.html

ここに同性愛のカップルは入ってないですから、
とうぜん同性結婚など認められる余地はないことになるのですね。
夫婦別姓や、つい最近までは婚外子まで認めてなかったのですから、
同性結婚はなおさらとも言えます。

不妊症のかたとか、子どもを持ちたくないかたも当時からいましたが、
子どもを作らないことを理由に婚姻届けを受け付けないとか、
子どもがいない高齢の夫婦が婚姻を取り消される、ということはなかったですね。

婚姻届けを受け付ける時点でそれを判断するのは
むずかしいという技術的な問題はあるだろうと思います。
それから子どもを持たない人はいまより珍しかったので、
存在が無視されていた可能性も考えられます。


>可能ならばこのあたりの不平等性の改善は
>「同姓婚を認めたうえで現状婚姻制度の権利(メリット)の大部分を
>「子供のいる家族」に移す」という方向に

これは具体的にどういったことを考えているのかと思います。
「権利(メリット)」という表記もしばし気になるところです。
(権利とメリットはもともとおなじではない。)
Posted by たんぽぽ at 2013年12月09日 19:19
ニャオ樹・ワタナベさま、
このエントリにコメントありがとうございます。

>選択的夫婦別姓の導入には、諸手を挙げて賛成してくれるはずですが、

異性愛者で子どもが作れればいいというなら、
苗字のことは問題にならないはずですよね。

じつは前にそのかたに、夫婦別姓のことも訊いたのですが
(国連の勧告を無視して世論調査をもとにして
多数決で選択別姓を否定するべきか?という訊きかたでしたが)、
https://twitter.com/pissenlit_10/status/402815088328855552
なんとも煮え切らないお答えしかしないのですよ。
https://twitter.com/guchinandayo/status/402816178545901569

このかた、ちょっと立ち入ったことを訊くと、多数決で決めればいいとか、
現行法はこうなっているとか言って、自分の意見を言うのを避けようとしますね。
Posted by たんぽぽ at 2013年12月09日 19:21
吹き出しちゃった。

生殖を伴わない性交は一切禁止しましょう。
よって親父の援交も禁止。
避妊具も発売禁止にしちゃいましょう。
Posted by うがんざき at 2013年12月17日 03:02
うがんざきさま、このエントリにコメントありがとうございます。

>吹き出しちゃった

ツイッターの議論、ご覧いただきありがとうです。
無防備な「とんでも」発言が、想像以上に反響を呼んで、
猛反撃を受けることになったのですよね。

>生殖を伴わない性交は一切禁止しましょう

「種をこぼしたオナンは神の怒りに触れ」の世界に生きている、
なんて言われていましたね。
おやじの援助交際がなくなるのはいいけれど、「レ イプは元気」は嫌だわ。
Posted by たんぽぽ at 2013年12月17日 20:11
コメントを書く
お名前: [必須入力]

メールアドレス:

ホームページアドレス:

コメント: [必須入力]


この記事へのトラックバック