2013年12月09日

toujyouka016.jpg 婚外子差別撤廃・法案成立

婚外子の相続差別の規定を撤廃する民法改正法案が成立です。
12月5日に参議院本会議で全会一致で可決です。
ついにこの日が来たという感じですね。

「改正民法成立 婚外子の遺産相続同等に」
「婚外子の相続差別撤廃 改正民法が成立」
「婚外子相続差別を解消 改正民法が成立」

 
自民党内で反対派が噴き上がって議連を作る準備をしたりして、
法案の閣議決定が遅れることもあったし、一時は今臨時国会での成立は
間に合わないのではないかとも、わたしは思っていましたよ。
きゅうに自民党内の反対派が折れて、法務部会での了承
取り付けられたところで、あとは順調に行くことになりました。

採決は4日の昼の予定だったのですが、いま話題の特定秘密保護法案をめぐる
与野党の攻防のあおりを食って、採決が5日の夜中になったのでした。
新聞記事は「5日未明」とありますが、記事配信時間を見たところ
法案成立したのは0時をまわってすぐくらいではないかと思います。
こちらも思ったほど採決に影響が出なくてよかったです。

法制審議会の答申書が1996年ですから、17年目にしてようやくの実現ですよ。
ずいぶんと時間がかかったものだと思います。
朝日新聞の記事に家族法の研究者のコメントが載せてありますが、
本当に「もっと早くできただろう」と思いますよ。
《棚村政行・早稲田大教授(家族法)の話》 
法改正は歓迎するが、もっと早くできただろう。
最高裁の違憲判断の後、自民党内で異論が相次いだが、それは多くの議員が、
既存の制度を是とする古い世代の方を向いている証拠だ。
家族をめぐる法制度の議論には、若い世代の意見を積極的に反映させる必要がある。


NHKの報道に、婚外子の当事者や運動にかかわってきたかたたちの
コメントが載せてあるので、ここに引用したいと思います。
「また一つ前に進むことができてよかった。
子どもはみんな同じ価値を持っており、決して特別なことを訴えてきたとは思っていない。
ようやく規定が変わったことは少し遅かったという気持ちもある」

「生まれた子どもには何の責任もなかっただけに、やっと法改正されて特別な気持ちだ。
相続格差によって自分がずっと2分の1の価値しかないように感じていたが、
初めて国から1人の人間と認められたのだと思っている。
法律がなくなってしまえば婚外子への偏見はなくなっていくはずで、
その第一歩になった」

「これまで国は出生届に嫡出子かどうかを記載する理由として、
遺産相続の格差を挙げていたがこれが撤廃されたことで、
差別的な扱いの根拠はなくなった。
戸籍法の改正案も1票差だったこともあり、近い将来すべてが見直され、
1人の人間として尊重される世の中になってほしい」


婚姻届けの嫡出・非嫡出の区別をチェックする欄を廃止する
戸籍法改正法案も、野党各党から提出されていて、こちらも採決がありました。
賛成117票、反対118票で、残念ながら否決です。

それでも差が1票だけというのが、とても意外でした。
もっと差がついて否決されると思ったからです。
その前に採決にいたったというだけで、わたしには意外ですよ。
野党が法案提出したところで、自民党がさっくり無視して、
ろくに審議もされないのではないかと思っていたからです。


これまでのエントリをリンクしておきます。
(ずいぶんたくさん書いた。)

「民法改正法案・閣議決定」
「報道2001の意識調査」
「ちゃんとした子ども?」
「自民・民法改正法案了承」
「違憲判決に挑戦する自民」
「違憲判決に反対論噴出」
「出生届けの嫡出欄が合憲」
「多様な家族を認める時代」
「GIDの男性の子が婚外子」
「違憲判決の波及効果(2)」
「違憲判決の波及効果」
「婚外子相続差別に違憲!(3)」
「婚外子相続差別に違憲!(2)」
「婚外子相続差別に違憲!」

「池田信夫の民法改正の記事」
「民法改正法案・衆院通過」
「野党・戸籍法改正法案を提出」
「女の敵は女と婚外子差別」
「婚外子の権利と不倫の抑止」
「はっきり言えばいいのに」
「野党が民法改正法案提出」
「婚外子にも平等相続の判決」
「野田聖子も婚外子だった」
「民主党が法案提出を準備」
「伝統的な家族とはなにか?」
「違憲判決に反対論噴出」
「嫡出欄廃止の出生届け」
「婚外子と親の扶養義務」

posted by たんぽぽ at 20:17 | Comment(2) | TrackBack(0) | 民法改正一般 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

はてなブックマーク - 婚外子差別撤廃・法案成立 web拍手
この記事へのコメント
何とも言えない感じですね。
戸籍法改正法案については却下。相続差別は撤廃となったのに、嫡出、非嫡出記載って、何の作業のために必要なんでしょうね。

結局、男に属さない結婚は許さないってこと。これに尽きる。

で、許さんけど、外でオイラは女を作るよ。
で、外で子供を作っちゃったときは、自分の嫡出子のみ優遇されればいい、あと知らんからね〜
…って、男目線で書くと、こういうことだったんだろうな、と.

Posted by うがんざき at 2013年12月16日 08:47
うがんざきさま、このエントリにコメントありがとうございます。

>何とも言えない感じですね

悲願の相続差別撤廃が実現したので大成果と見るか、
出生届けの嫡出・非嫡出のチェックは残っているのでふじゅうぶんとするか、
このあたりは意見がわかれそうですね。

>相続差別は撤廃となったのに、嫡出、非嫡出記載って、何の作業のために必要なんでしょうね

嫡出・非嫡出のチェックを維持するのは、相続格差があるから
というのが、大きな理由だったのですよね。
相続格差がなくなったいま、なぜ残すのかという疑問はとうぜんありますね。

ようは「家族のカチ」にこだわる反対派の差別意識のためなのでしょう。
彼らのあたまの中では、いまだ嫡出と非嫡出は区別される存在なんだと思います。


>男に属さない結婚は許さないってこと。これに尽きる
>許さんけど、外でオイラは女を作るよ

婚外子の相続差別をなくしたほうが不倫の抑止になることは、
指摘されているのですよね。
婚外子差別撤廃に反対する男というのは、じつは不倫したいのではないかと、
思いたくもなってきますね。
http://bit.ly/1kOn78f

自分で婚外子を作っておいて、「正式の結婚によらない婚外子は許さない」
などと言うのだから盗人だけだけしいというものです。
そういう男の独善を「正妻の立場を守るため」などと言って、
あたかも女性のためのように言っているところが、
輪をかけて盗人たけだけしいですね。
Posted by たんぽぽ at 2013年12月16日 20:05
コメントを書く
お名前: [必須入力]

メールアドレス:

ホームページアドレス:

コメント: [必須入力]


この記事へのトラックバック