2013年12月18日

toujyouka016.jpg ストーカー加害者の告白

ストーカーの被害が深刻なのは、よくご存知のことだと思います。
被害者が結婚改姓によって難を逃れていた逗子のストーカー殺人事件をはじめ、
最近でも三鷹のストーカー殺人や、市川のストーカー殺人など、
ストーカー加害者による凶悪な殺人事件に発展する事件が相次いでいます。

そうしたストーカー加害者の精神構造や、具体的な加害者対策について、
12月12日にNHKの「クローズアップ現代」で取り上げられたのでご紹介します。

「ストーカー加害者の告白 〜心の闇と対策〜」
(はてなブックマーク)

 
ストーカーも加害者があってはじめて被害者が存在することになります。
したがって、ストーカー加害者の精神構造をくわしく研究し、
ストーカー加害者に対する適切な対策を考えることが、
ストーカー被害を根本からなくすために必要ということになるでしょう。

記事にはストーカー被害者の遺族の、つぎのコメントが紹介されています。
「単に相手に罰を与えるとかいうことよりも、
被害者を守るために、加害者治療しかない。」

ストーカー加害者への対策をほどこすことで被害を食い止める取り組みが、
まだはじまったばかりで研究段階という感じではありますが、
最近になって行なわれるようになっているのでした。


記事には、元ストーカー加害者の告白が並べられています。
これを見るとたとえば、「憎しみというか、怒りがわいてくる。
そうすると、衝動的な行動に出たくなる。殺意みたいな気持ちが、一瞬に芽生える。」
なんて言っていて、ただひたすら「怖い」なのですよね。
こんなことを考えている人に、常づねつきまとわれることが
いかに恐ろしいかが、あらためてうかがえるというものです。

元ストーカー加害者の告白はどれも怖いのですが、
以下のコメントについて、わたしはとりわけ注目したいと思います。
「自分の所有物が勝手に出て行った。心の中から聞こえてくるんですよ、“奪還せよ”。」
「自分が許可していない態度をとるな。自分の思いどおりに動いてくれる
人形だと思っていたんですけど、支配欲がすごいあったと思います。」
「(殺すことで)自分の手の中に入ったような気持ちになっていると思うんですよね。」

またストーカー加害者の対策を長年続けて来た、
NPO「アウェア」のかたの、つぎのコメントも興味を惹くところです。
「自分の意に反するような行為をする者に対して、罰を与える、罰してもいい。
そういうことをする権利が自分にはある。
そういうことを考えている、勘違いしている人は多いと思います。」

ここにあるのは、ストーカー男の女性に対する飽くことなき支配欲ですよ。
「女は自分の思い通りになってしかるべき」と考えていて、
「思い通りにならない女は殺してもよい」という精神構造なのですよね。


「女を支配したい」「女は自分の思い通りになるべし」という欲望は、
「非もて」の精神構造にも同種のものがあると、わたしは思いましたよ。
非もては、女は自分にも配分されるべき「資源」と考えていて、
「資源」が自分の思い通りにならないので、被害者意識を持つからです。

また前にお話した「処女萌え男」の精神構造とも共通すると思います。
彼らが処女に対して異常にこだわるのは、処女なら自分の思い通りになるはず
という、おかしな幻想を持っていることもあるからです。

これらの違いは、女性に対する支配欲がどう現れるか、だと思います。
非もては支配欲が満たされないことに対して被害者意識に走り、
処女萌え男は一種の現実逃避に走るのですが、ストーカー男はこれらより
ずっと相手に対して直接的で攻撃的になる、ということだと思います。


ストーカー加害者のように、女性に対する支配欲が強い男が
なぜ出てくるのかですが、それは長いあいだ恋愛関係というものが
男性中心だったことと関係があるのだという指摘が記事にあります。

最後は、そもそも、これまで男性中心の恋愛関係が主だったんですが、
実は今や、男性と女性、対等であるといったことを十分に男性側が理解しないで、
そういった行為に入ってしまうというふうな、
そういったことが考えられるというふうに思っております。
(男女間の恋愛観のギャップの大きさということ?)
そうですね。

女の子は子どものときから他人の気持ちや考えを理解し、
他人を配慮するよう育てられる傾向があると思います。
これに対して男の子は他人の気持ちや考えに頓着することなく、
それよりも自分のことを中心に考え、自分が将来社会で成功することを
考えるよう育てられる傾向があると思います。

つまり男の子の世界は「なせばなる」なのですよね。
とにかく自分のために努力すれば、欲しいものはなんとか手に入るわけです。
それで女性(他人)の気持ちという、自分の努力だけでは
どうにもならないものに直面したとき、自分の思い通りにならなくても、
「自分は努力したのだから、手に入ってとうぜんなのに」と考えて、
相手の女性に対する支配欲となるのだろうと思います。


むかしは男性もこれでやっていけたのでしょう。
女性が経済的に自立してひとりで生きて行くのは困難でしたから、
おのずと男性と結婚して、男性に依存せざるをえなかったのでした。
したがって、男性はとくに自分から女性を探しにいかなくても、
女性のほうから男性に気を遣ってくれて、男性を選んでくれることになります。

とくに経済力があって生活の安定した男性ほど選ばれやすいですから、
男性はなおさら女性の気持ちなど考えなくても、
自分が社会で成功することだけ考えて、それを実現させていれば、
恋愛相手や結婚相手を得ることができたわけです。

現在はそのような男性中心の恋愛関係の時代ではなくなっています。
男性も女性の気持ちを考える必要があること、
そして女性の気持ちは本来自分の思い通りにならないことを、
はっきりと理解する必要があるのだと思います。

記事では、男性が女性を支配する場面を描いた創作物が
ネットに流布していて、それが悪影響を及ぼしているという指摘があります。
恋愛関係や愛情関係における適切なロールモデルがないことで、
恋愛において「これはやってはいけない」と言ったことが
理解できないでいるということも大きいようです。
(古典的な恋愛小説を読むべし、ということになるのかしら?)


ストーカー加害者対策として、記事ではNPO「ステップ」の活動を紹介しています。
警察や国の機関よりも民間の団体が先行しているところに、
この分野の対策の立ち遅れを感じないでもないです。

やはり単に加害者に罰を与えればいいということではなく、
「女性を支配したい」という思考を変えることが大事だとしています。
更生プログラムを続けることで、「相手は思いどおりになる」という思考を
すこしずつ「相手は思いどおりにならない」という思考に
変わって行くようにするということです。

これは、ストーカー加害者に自分のやっていることを
客観視させることもできて、記事でもよい試みと評価されています。
ただストーカーの加害者は、自分がやっていることの危険性や
ひずんだ思考に気がついていないことが多く、
こうしたプログラムに参加する人はわずかという問題があります。

posted by たんぽぽ at 22:29 | Comment(0) | TrackBack(0) | 家族・ジェンダー | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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