2013年12月19日

toujyouka016.jpg ストーカー事案の概況

警視庁のサイトに「ストーカー事案の概況」という資料があります。
ストーカーの発生件数や、性別、年齢別の内訳、行為者と被害者の関係や
行為形態についてのデータをまとめたものです。
ストーカーに関する基礎資料と言えるでしょう。

「ストーカー事案の概況」

 
被害者の性別ですが、2012年のデータは女性85.7%、男性14.3%です。
サイトには2008年からデータがありますが、内訳は毎年ほぼおなじです。
女性のほうがずっとたくさん被害にあっていることがわかります。

ストーカー事案の分析 被害者の性別(平成24年)

続いて行為者の性別です。2012年のデータは、男性83.4%、女性13.6%です。
問題なく男性が加害者であるケースが多いということですね。

ストーカー事案の分析 行為者の性別(平成24年)

両方を合わせると、男性が加害者で女性が被害者というパターンが
もっとも多く一般的な組み合わせであることになります。
これはごもっともなことだし、多くのかたの予想通りだろうと思います。

前のエントリでお話したように、恋愛関係も男性本位の状態が長く続きました。
それで「女性は自分の思い通りになるべし」と考える男性のほうが、
「男性は自分の思い通りになるべし」と考える女性よりも
ずっと社会通念上許されやすく、多く存在しうることになります。
となれば、交際相手に対する支配欲の現れであるストーカーも、
男性から女性に対してというケースがおのずと多くなるということです。


続いて行為者と被害者の関係を見て行きたいと思います。
「交際相手(元を含む)」が62.1%、「配偶者(もとを含む)」が4.8%で、
両方合わせて66.9%になります。

ストーカー事案の分析 行為者と被害者の関係(平成24年)

これもご存知のかたが多いと思いますが、
見ず知らずの他人ではなく、交際相手がストーカーになることが多いということです。
交際相手だけで全体の3分の2を占めています。
とくに危険なのは、わかれたあとだろうと思います。

前のエントリでご紹介した、クローズアップ現代「ストーカー加害者の告白」では、
男はみんなストーカーの加害者になる可能性、女はみんなストーカーの
被害者になる可能性を考えておく必要があるとコメントがあります。
それはさすがに極端では?と思うかたもいるかもしれないですが、
心構えとしてはそれくらい用心しておいていいかもしれないですよ。

http://www.nhk.or.jp/gendai/kiroku/detail02_3446_all.html
実際にデータを見ていきますと、元彼、そして、元だんなといった人が
ストーカー行為を行っております。
ですので、そもそも男女双方とも、別れた時点で、
「私はストーカーの被害者になるかもしれない」、
「僕はストーカーになるかもしれない」といったことを自覚しなければいけない。


ところで、クローズアップ現代「ストーカー加害者の告白」についた
ブックマークを見ると、「女にも加害者はいるよね」とか
「男が被害者になることもある」とか「男性差別にならないことを祈る」
などと言ったコメントがちらほらあるので、嫌になってしまうのですよね。

上述の警視庁の統計を見ればあきらかなように、ストーカー事件は、
男性が加害者で女性が被害者、というパターンが問題なく多いです。
男女であらわに非対称なのにそれを無視して、
男女で差がないかのように思い込もうとするのは、あきれるばかりです。
データにもとづかないのですから、非実証的でもあります。

これらの人たちは、ストーカー加害者があまりに凶悪なので、
彼らの直接の弁護ができなかったのではないかと、おそらく思います。
それで「女にも加害者がいる」としか言えなかったのではないかと思います。
例によって女性差別を否認したい人たちなのかもしれないです。

このような相対主義は、加害者が男性で被害者が女性という
もっとも多いケースのストーカー事件を矮小化することになります。
それは事実から眼をそらすことになり、ストーカーの深刻さを薄めることにもなります。
ストーカーを解決したいなら、不愉快でも現実を直視するよりないでしょう。
現実を見据えてはじめて、適切な対策をほどこすことができるからです。

posted by たんぽぽ at 22:47 | Comment(2) | TrackBack(0) | 家族・ジェンダー | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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この記事へのコメント
はじめまして、近畿の野次馬と申します。
早速ですがミス・インターナショナルの日本人女性が芸能関係者にストーカーされていることを記者会見で訴えたのに、1社を除いて無視されたそうです。
ttp://www.saga-s.co.jp/news/saga.0.2595685.article.html
仕方がないので欧米のマスコミに訴えたら、まじめに取り合ってくれたようです。
ttp://news020.blog13.fc2.com/blog-entry-3143.html
ミスコンって、多くの人がどんなに意義をえらそうに口にしても、結局は花瓶の花のように「こいつは枯れた」と思ったら捨てるだけの存在として女性を扱ってるのが実情なんでしょうかね。
Posted by 近畿の野次馬 at 2014年01月02日 17:09
近畿の野次馬さま、いらっしゃいませ。
わたしのブログにようこそお越し下さりました。

>ミス・インターナショナルの日本人女性が芸能関係者にストーカーされている

吉松育美さんのことですね。
こちらにすこし書いているので、ご覧いただけたらと思います。
http://taraxacum.seesaa.net/article/383488641.html

>http://www.saga-s.co.jp/news/saga.0.2595685.article.html
>http://news020.blog13.fc2.com/blog-entry-3143.html

こちらはご紹介ありがとうございます。
日本のメディアはどこもこの事件を取り上げないのですよね。
おそらく保身に走ったのだろうと思います。
唯一取り上げたのが佐賀新聞と聞いていましたが、ご紹介のものですね。

外国のメディアは報道したのですよね。
吉松育美さんはダボス会議の男女平等指数を引き合いに出して、
日本の女性差別まで訴えていたというので、またまた諸外国の人たちに、
日本の非常識が知られたこととと思います。


>ミスコンって、多くの人がどんなに意義をえらそうに口にしても、

ミスコン批判が出てくるとそれにせっせと反論をする人たちは、
こういうときこそ、先陣を切って吉松育美さんを守れ、ですよね。
しょせんミスコン擁護派は、女性を男性の鑑賞や搾取の対象と思っていて、
そういう男たちはいざとなったら女を守らない、ということかもしれないです。
Posted by たんぽぽ at 2014年01月02日 21:53
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