テロリストが「日本と韓国は女性が従順な理想の国」と言ったことが、
わたしにとってはとりわけ衝撃的です。
「ノルウェー連続テロ」
これは極右テロリストという偏った思想の持ち主だから
こう思っているのではなく、すくなくない欧米の人たちが
(「理想の国」の部分を除いて)このように思っているであろうことは、
前のエントリを見れば察しがつくと思います。
くだんのテロリストは正直に言っただけなのでしょう。
>中国
つぎの記事は日本に帰化した中国人女性が、セクハラで会社を訴えたお話です。
これを見ると、日本社会が中国や欧米の民主主義国とくらべて、
いかにセクハラに「寛容」なのかが、伝わってくると思います。
「中国人だから? アルバイトだから?「女」だから?
〜あるセクハラ裁判を巡って〜その1。の巻」
「中国人だから? アルバイトだから?「女」だから?
〜あるセクハラ裁判を巡って〜その2。の巻」
「中国人だから? アルバイトだから?「女」だから?
〜あるセクハラ裁判を巡って〜その3。の巻」
「中国人だから? アルバイトだから?「女」だから?
〜あるセクハラ裁判を巡って〜その4。の巻」
欧米の民主主義国と日本とで、セクハラで裁判になったときの違いのひとつが、
補償額の規模で、欧米の民主主義国では補償額は日本円で数億円から
ときには数100億円単位になりますが、日本では補償額ははるかにすくないです。
セクハラをどの程度深刻な人権侵害と考えるかの違いが、
補償額の規模の違いにも現れていると言えるでしょう。
実際に裁判になると原告の中国人女性に対して、まわりの人たちは
彼女の感覚では理解できないくらい非協力的だったのでした。
セクハラやパワハラを目撃した人たちは、証人として出廷が求められても
公判に現れなかったり、陳述書を書くのも嫌がったりでした。
支店の係長にいたっては「セクハラなかった」とうその証言をしたりしていました。
彼らはセクハラの摘発よりも、自己保身を優先させたものと思います。
また「性被害を受ける女性は性的に淫乱にちがいない」という偏見にもとづいて、
事実無根の証言をしたり陳述書を提出する人もいました。
さらには異動さきのホテルの同僚である中高年女性たちからも、
「自分たちもセクハラをがまんしたのだから、
あなたもがまんするべきだ」などと言われたりします。
これらは典型的なセクハラの二次加害だと言えます。
判決もおそまつなもので、地裁、高裁ともに「セクハラを認めるに
足るだけの証拠がない」などと言って、中国人女性の訴えを棄却しています。
訴えた中国人女性はこのように述べています。
http://www.magazine9.jp/karin/100922/
「セクハラって人がいないとこでのことだから、証拠証拠って言っても、密室なんです。
それで裁判長は、パワハラ・セクハラの証拠には足りませんって。
私が叩かれるの見て第三者が陳述書も出したのに、それでもパワハラにならない。
事実としてあってもセクハラ・パワハラとは言えないって。
もし、私が欧米人だったらこういう判断しますか。
今まで我慢してきたこと、侮辱されたこと、全部裁判長が
公平に判断してくれると思った。だけど全然違った」
日本で長く生活しているわたしたちは、悲しいかな上述の周りの人たちの
セクハラに対する無理解や非協力、自己保身、二次加害、
そしてセクハラを軽視する判決は、「まあこんなものだろう」
「いかにも日本的だ」と、なかばあきらめたように思うだろうと思います。
ところが外国、すくなくとも日本より男女平等意識の進んだ国から
来たかたにとっては、まったく意外でありショックということです。
この中国人女性は「「なぜ日本の女性はセクハラを受けても
裁判を起こさないか」がよくわかった」と述べています。
性犯罪の理解がこの程度では、被害を受けても泣き寝入りするのも
むべなるかなと、納得されたということです。
セクハラの加害男性は、「現在も変わらずに働いている」のでした。
そして「セクハラなどしていないという言い分は変えていない」のでした。
加害者が平然としていられるところも、「日本的」かもしれないです。
そしてこの中国の女性のかたは、中国はもっと男女平等だ、
日本は女性差別のひどい国だと、日本社会を経験した外国人女性が
きっと感じるであろう、感想を述べるのでした。
とくに後半は前のエントリでご紹介した、ドイツ人や台湾人の感想と同様ですね。
http://www.magazine9.jp/karin/100922/
「裁判起こした女性は、会社にも周りの人にもものすごく非難される。
人格まで侮辱される。あと、体力と精神力の問題と、お金がかかる。
中国では、こんなに女性を侮辱したり、下に見る感覚はない。
同じように出世できるし、同時に会社に入ったら同じ給料だもん。
掃除だってお茶汲みだって当番で男性も女性もする。差別がない。
私の感じでは、日本の男性は女性を人として見てない、ものとして見てる。
結婚したら子どもを産む機械、会社だったらお茶汲む、掃除する機械。
そういうふうに感じた」
中国ではセクハラなんてとんでもないことだとも言います。
中国と日本はセクハラに関する意識は、ここまで落差があるのですよ。
http://www.magazine9.jp/karin/100908/
「みんなの前で仕事の途中に男性が女性の身体触る、
お尻や胸触るとか手を握るとか、そんなことしたらクビか大変なことになる。
中国では見たことも聞いたこともないです。だからびっくりしました」
>アメリカ合衆国
アメリカ合衆国の国務省にも、海外渡航時の注意が書かれていますが、
日本への渡航の際の注意書きが、いささか衝撃的なのですよ。
アメリカからは日本はこんなふうに見られているの?と思うかもしれないです。
「アメリカ国務省に記載されている日本渡航時の注意」
(はてなブックマーク)
米国市民の報告によると、日本の警察手続はアメリカと比較して
被害者への配慮に欠けるようで、特に家庭内暴力や性暴力、被害者・加害者とも
外国人の場合に顕著である。被害者支援組織や虐待された女性の避難所は、
大都市にわずかにある程度で、地方ではほとんど利用不可能である。
性犯罪被害の事情聴取ではしばしば婦人警官の同席無しで行われ、
警察は決まって性犯罪被害者に性的な経歴や過去の関係を聴く。
通訳の質はピンきりで、それが米国市民にとっての問題となることがある。
「性犯罪被害者に性的な経歴や過去の関係を聴く」というのは、
「性被害にあうのは、きっと性的に淫乱だからに違いない」という
偏見にもとづいているのだろうと思います。
性的に淫乱と見なせる経歴があれば、「それなら性被害を受けても
しかたない」と判断して、被害を取り合わない可能性があるのでしょう。
日本の警察は性暴力の被害者に対して理解がないと、
アメリカ人に思われていて、それが日本へ渡航するアメリカ市民にとって、
警戒するべきことになっているのですよ。
国務省が記載していることですから、国家機関によって
公式に「日本はこういう国」と見られていることになります。
たとえば、アラブ首長国連邦のドバイで、強姦の被害を
現地の警察に訴えた女性が、逆に「不法な性行為の罪」とされて、
有罪判決を言い渡されるといった事件が起きたりします。
こうしたニュースを聞くと、「女性の権利が守られない怖い国だ、
そういう国に行くことになったらじゅうぶん気をつけねば」と
思うかたもたくさんいるだろうと思います。
アメリカ国務省の「日本渡航時の注意」にかかる記載があるというのは、
それとおなじような眼で、アメリカ人たちは日本を見ている、
ということなのだろうと、わたしは思いますよ。
でも、あれは単行本未収録話なのでそのことは明記したほうがいいかと…単行本だと幸せに終わってるので。そのあとの御話なので。
あ、テロリストが「女性が従順な理想な国」とかいってましたけど
1938年芸子の言葉で
「男はうまくやれば潰してくる。
従順な女でいれば利用するだけ利用して使い捨てにする。いったいなにをしろっていうの!?」
との台詞が…。
女がなにしようが男がクソからクソであるといういい至言と思います。
だったら「どうして女が出世しないのか」とかいう男と直接闘えよお前ら男はと思います。
わたしのブログにコメント、ありがとうございます。
>ツイッターでドイツ人の会話の漫画の紹介ありがとうございます
とても興味深い情報だと思います。
日本の男はここでもそう言われているのかと思いましたよ。
「日本の男の正体」が「世界の常識」になるのも、そう遠くないかもしれないですね。
わたしとしては、外国人からあのように思われているというのが、
日本人男性の「常識」になって、危機感を持ってほしいところなんだけど、
たぶんなかなかそうならないのではないかと思います。
>でも、あれは単行本未収録話なのでそのことは明記したほうがいいかと
情報ありがとうございます。
追記で入れておきました。
>1938年芸子の言葉で
そのくらいむかしから言われていたのですね。
こんにちにいたるまで、男はあまり変わってないみたいですね。
女が「従順」と言うけれど、それは外からそう見えるというだけで、
実際はあきらめているとか泣き寝入りしている、ということなのでしょう。
>「どうして女が出世しないのか」とかいう男と直接闘えよお前ら男は
男相手だとかなわないので、自分より弱いと思える女に絡んでくる、
ということなのでしょうね。