2013年12月26日

toujyouka016.jpg 親子関係の新たな法律

12月14日エントリで、性同一性障害で女性から男性になったかたが、
精子提供で妻とのあいだにできた子を嫡出子とする、
という最高裁判決が出たことをお話しました。
民法772条の父性の推定を適用したということです。

この最高裁判決を受けて、自民党法務部会が12月17日に協議を行ない、
新しく法律を整備することを決めたのでした。

「新たな親子関係、立法措置で対応検討 自民法務部会」
「新たな親子関係、法整備検討=性同一性障害の最高裁決定受けー自民」
「性同一性障害:性別変更、嫡出子認定 最高裁決定に異論噴出 自民、法整備へ」

 
現行法では、精子提供や卵子提供、代理出産といったケースに対して、
親子関係を定めたはっきりした規定が存在しないのでした。
それでこうした親子関係に対応するためには、
新しく法律を定める必要があることになったということです。

最高裁決定を受けて、立法措置を講じる動きになったのはよかったと思います。
(放置されたり、あるいはもっと中途半端な措置で
すまされたりしないかと、わたしはすこし心配していました。)
順調に行けば来年の通常国会で、民法改正法案や生殖補助医療関連法案が
提出されることになります。


やっかいなのは、自民党内にはしっかり反対派がいることですよ。
「「(かつて女性だった)夫には生殖能力がない。現行の民法の規定を
適用するには無理がある」などと決定への異論が相次」いだのですよ。
お役所や裁判所が、従来親子関係を認めなかった理屈そのままです。
「離婚後300日規定」や、不妊症の夫婦が精子提供や卵子提供で
子どもをもうけた場合は嫡出子となるのは、どうなるのだと思います。

毎日の記事には、最後に法務部会の出席者の様子がすこし書いてあります。
「決定を評価する声はなかった」ですよ。
========
自民党の大塚拓法務部会長は部会終了後、
「決定を評価する声はなかった」と記者団に説明。
家族の定義を拡大する法整備・法改正には党内保守派の反発が見込まれ、
最高裁決定の位置づけを巡り議論を呼ぶのは必至だ」
========

どうせ最高裁判決を歓迎しないのだろうとは思っていたけれど、
こうやって露骨な態度を取られると、あらためてへきえきしますね。
具体的に法案提出の作業をする段階に入ったら、
婚外子の相続差別撤廃のときのように、また反対派議員が噴き上がって、
面倒なことになったりしないかといまから心配です。

精子提供、卵子提供や代理出産の場合に親子関係を認めることは、
どうも「家族の定義の拡大」と見られているようです。
それが反対派の信奉する「家族のカチ」に抵触するのでしょう。


付記1:
「生物学的な親子関係にこだわって、精子提供、卵子提供、
代理出産のケースを、逆に締め出す立法に向かうのではないか?」と
心配なさるかたもいらっしゃると思いますが、
いまのところそうした方向に向かう動きはないようです。

付記2:
同性愛者が子どもを持つ場合、精子提供や卵子提供になりますから、
こうしたケースを見据えて、法整備をしておく必要があるとも言えます。

付記3:
記事の見出しや本文には「新たな親子関係」とあります。
実際には、新しいのは「親子関係」ではなく、「法律」だろうと思います。
そういう親子関係も以前からあったけれど、
社会や法律が認知してこなかった、ということなのですから。
なので、わたしのエントリのタイトルは「親子関係の新たな法律」です。

posted by たんぽぽ at 21:53 | Comment(2) | TrackBack(0) | 民法改正一般 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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この記事へのコメント
自民党は「家族因習党」とでも改名するべきですね。
Posted by 魚 at 2013年12月27日 11:03
このエントリにコメント、ありがとうございます。

因習的な家族の維持は、自民党にとってはじつは大事なイデオロギー
というのは、もっと広く知られていいと思います。

でも一般的にはあまり知られていないようですね。
ふつうに政治に興味のあるかたは、家族やジェンダーに関することは
あまり興味を持たないのですよね。
Posted by たんぽぽ at 2013年12月27日 19:36
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