2014年01月10日

toujyouka016.jpg 年収が低い男性との結婚

エキサイトに「恋愛結婚」という婚活サイトがあります。
そこに「みんなの婚活」というコーナーがあって、
さらにその中に「恋愛質問箱」というアンケートのコーナーがあります。

この「恋愛質問箱」のコーナーで、
女性に対しては「自分より年収が低い男性との結婚は?」、
男性に対しては「自分より年収が高い女性との結婚は?」という
アンケートを行なっているので、ご紹介したいと思います。
(いつアンケートを行なったのかは、確認できなかったです。)

「女性に聞きました。自分より年収が低い男性との結婚は?」
「男性に聞きました。自分より年収が高い女性との結婚は?」

 
これらふたつは同時に行なったアンケートのようですが、
質問が男女で非対称なのは、この際やむを得ないですね。
女性が自分より年収の高い男性と結婚するのは、問題ないでしょうし、
男性が自分とり年収の低い女性と結婚するのも、たぶん問題ないだろうからです。

結果はつぎのようになっています。

男性に聞きました。自分より年収が高い女性との結婚は?

女性に聞きました。自分より年収が低い男性との結婚は?

男性の場合、「自分より年収が高い女性との結婚は?」と訊かれて、
「かなり高くてもOK」と答えたかたが73.0%です。
これはいささか意外でした。
「男のほうが収入が多くなければ」と、妙なプライドにこだわる男性は
もっと多いのかと思ったのですが、そんなことはなかったからです。

きょうびは男性もかならずしも年収が高くないですし、
共稼ぎでないと生活が苦しく、実際妻にそれを望むかたも多いです。
妻の年収のほうが高いのは、結婚で経済的に楽になることを意味しますし、
そういう実利を取って抵抗がすくないのかもしれないです。


女性の場合、「自分より年収が低い男性との結婚は?」と訊かれて、
「考えられない」と答えたかたが61.3%ですよ。
かなりの数の女性は、自分より夫のほうが年収が多くないと
結婚生活ができそうにないと考えていることになります。
これはこれで無理もないことですね。

一般に女性は年収がすくないし、雇用も非正規になるケースが多く不安定です。
夫の年収が自分よりすくなければ生活が困難なかたも多いでしょう。
年収200万円程度で出産後の就労が不安定なかたであれば、
ほぼ確実に「考えられない」と答えると思います。
コメントを見てみると、やはり経済的理由を挙げて、自分より夫の年収が
すくないのは「考えられない」というかたが多くなっています。

正規と非正規の両方にわけて、男女べつに年齢層に対する年収分布を
しめしたデータ(このエントリで紹介したもの)をしめしておきます。
あらためて男女の年収格差をご覧になられたいと思います。



このアンケート結果に対して、こんなツイートがあるのですよ。
納得している人もいるのですが、こんな考えの男は結構多いのでしょうか?)

「男性を食べさせよう、専業主夫でもいい」という女性がすくないのは、
上述のように経済的事情でむずかしいからですね。
きょうびは男性でも「妻は専業主婦」はなかなか困難です。
ましてや一般に男性より収入がすくなく、妊娠や出産によるリスクがあって
雇用が不安定なことが多い女性が夫を養うなど、なおさら困難でしょう。

かかる経済的な事情を、カチカンの問題にすり替えているところに、
上述のツイート主のこの問題に対する無理解がありますね。
女性が男性とくらべてずっと低い賃金水準となっている現状を
よくご存知ない、ある意味気楽なかたなのかもしれないです。
アンケートサイトのコメントくらい、どんな意見が多いか見ておけと思います。)


「男性を食べさせよう、専業主夫でもいい」という女性がすくないのが
ご不満でしたら、女性の収入を引き上げて雇用をもっと安定させて、
男性とのあいだの賃金格差をなくすよう努力することですね。
ところがそれを、女性のカチカンのせいに転嫁しているわけです。
本来なら社会問題であり、政治や社会が解決することなのに、
個人の責任に帰せているというのは、当節流かもしれないです。

そして「家事は女の仕事」という社会通念が温存されるのが、
女性自身の責任であるかのように言っているのですよね。
これも「お約束」とはいえ、わたしは「かちん」と来ましたよ。

posted by たんぽぽ at 23:12 | Comment(10) | TrackBack(0) | 家族・ジェンダー | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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この記事へのコメント
女性が年収の高い男性を求めるのはやはり出産、育児等で仕事を辞めざるをえなくなり自分が思うように稼げなくなるという不安が大きいのだろうなと思います
出産を経ても職場に戻れ、子供がいても働きやすい社会となればこのような考えの女性は減ると思いますね
日本はまだまだ社会制度が遅れていて出産を機に辞めざるをえない方が多すぎます
これは本当に恥ずべき問題であると感じます(先進国とは思えない多さですよね)
きちんと産休、育休が取れ(男性の育休も少しずつでも認められるようになるべきだと思います)職場復帰ができる社会に変えていかねばと強く思います
他国では職場復帰は法律で保証されているところもありますよね
日本のように旧態依然な国も法的に変えていかなければ変わらないのではとよく思います

それに政府が頭を抱えているらしい少子化も結局は子供を産むことで仕事を辞めざるをえなくなりキャリアをつめなくなるという恐怖から産めない方もいると思うんですよね
子供を産んでもキャリアも諦めなくていい社会になればもっと安心して産める方もいらっしゃるのではないかと思います

あとは無意識に結婚すれば家事育児は女である自分がしなければならないという固定観念に縛られている方も多いように思います
そのせいで家事育児に加えバリバリ働くなんて無理だからそんなに稼げない、だから収入のある人をっていう発想があるように思います
家事育児も夫婦二人で分担が当たり前になればこういう固定観念もなくなるのになあと思いますね
家事も育児もどっちがやってもいいものですからね

日本は働くお父さんに専業主婦のお母さんという高度経済成長の頃のままの働き方が残っているから女性が働きづらいのだと思います
時代は変わったのだと政府も企業も早く理解して働くお母さんがゴロゴロいる国の政策をちょっとは勉強してほしいものです(そのまま真似するのは無理でも学べる点は必ずありますから)

Posted by りほ at 2014年01月11日 01:35
りほさま、このエントリにコメントありがとうございます。

>女性が年収の高い男性を求めるのはやはり出産、育児等で
>仕事を辞めざるをえなくなり自分が思うように稼げなくなるという不安が

女性は雇用が不安定なので、夫となる人に安定した高収入を期待する、
ということはもちろんあるでしょうね。
女性のほうが男性より収入がすくないのも、
そうした不安定な雇用によるところも大きいですからね。

しかも女性は結婚すると正社員であっても年収が減るのですよね。
http://bit.ly/1hGlo8c
ただでさえ収入がすくないのに、結婚したらさらに減るとあっては、
夫となる人に高収入を期待するのは、なおさらのことでしょうね。

>出産を経ても職場に戻れ、子供がいても働きやすい社会となれば
>このような考えの女性は減ると思いますね

まったくですね。
男性の中には、女性が夫となる人に高収入を求めることを、
なにか男性が被害にあっているかのように考える人がいるけれど、
解決したかったら、女性の安定雇用を男性並みに保証して、
男性との賃金格差もなくせばよいのだと思います。


>他国では職場復帰は法律で保証されているところもありますよね
>日本のように旧態依然な国も法的に変えていかなければ変わらないのではとよく思います

早い国では1990年代から対策を始めていましたね。
2010年代のいま、まともな対策を行なった国とそうでない国とで
だいぶ差が出て来たと思いますよ。
http://bit.ly/1cVQ1yu

>それに政府が頭を抱えているらしい少子化も結局は子供を産むことで
>仕事を辞めざるをえなくなりキャリアをつめなくなるという恐怖から
>産めない方もいると思うんですよね

まったくもってそうですね。
妊娠・出産をすると就労の継続がむずかしいのが大きな原因だと思います。
いまの政府の少子化対策もあきらかにおかしな方向へ行っていますね。
政権が安倍になったおかげで、迷走がひどくなったと思います。
http://bit.ly/1eLw1lh


>あとは無意識に結婚すれば家事育児は女である自分がしなければならないという
>固定観念に縛られている方も多いように思います

まだまだいるのかしら?
そういうかたの意識も変えていく必要はありますね。

それとはべつに、結婚したら家事育児を全部自分に押し付けられることを、
心配している女性もいるのですよね。
前にドイツの漫画を紹介したけれど、やはり日本人男性は
諸外国の男性とくらべて家事育児をやりたがらないようです。
http://taraxacum.seesaa.net/article/383259991.html


>日本は働くお父さんに専業主婦のお母さんという
>高度経済成長の頃のままの働き方が残っているから

高度経済成長期からバブルまでの時代に生きて来た
「既得権益層」がまだまだ力を持っているのですよね。
それで「働くお父さんに専業主婦のお母さん」という家族観が
いまだに根強いのだと思います。

こないだご紹介した曽野綾子のぴんぼけした記事が、
みょうに共感を得たりするあたり、彼ら既得権益層が弱体化するのは、
まだまだ時間が必要なのかという気がしてきます。
http://taraxacum.seesaa.net/article/384042275.html
Posted by たんぽぽ at 2014年01月11日 16:48
女性は、長時間労働などの過酷な労働を
男性に押し付ける一方、賃金の上昇を
求めています。矛盾してます。
Posted by 通りすがり at 2014年01月22日 15:51
通りすがりさん、
長時間労働の過酷な労働を男性に押し付けてるのは企業では・・・
女性が男性の収入に依存してる、と言うなら正しいかもしれませんが。



Posted by うがんざき at 2014年01月22日 17:00
通りすがりさま

ハンドルは不特定多数を連想させるものではなく、
ユニークで個性の感じられるものをお願いします。

それから、はじめてコメント投稿なさるときは、
ごあいさつと簡単な自己紹介をお願いしたいです。
Posted by たんぽぽ at 2014年01月22日 19:54
うがんざきさま、コメントありがとうございます。

>長時間労働の過酷な労働を男性に押し付けてるのは企業では・・・

まったくですよね。
女性はむしろ「残業をもっと早く切り上げて、家事をやってほしい」と
思っていることのほうが多いのではないかと思います。

こういうところで女のせいにしているうちは、
なにも解決しないということですね。
Posted by たんぽぽ at 2014年01月22日 19:55
たんぽぽさん

会社のほうは会社のほうで、早く帰ればいいのに、ダラダラ仕事してる男性って結構います。
忙しい忙しいって口癖で、家でもイバってるのか、家に帰っても相手にされないからなのかよくわかりませんが。
たいがいのひとたちは、大した仕事してないですけどね。
むしろ子持ち女性のほうが上手に時間やりくりして、けじめもしっかりしています。

Posted by うがんざき at 2014年01月23日 18:56
うがんざきさま、またまたコメントありがとうございます。

>会社のほうは会社のほうで、早く帰ればいいのに、ダラダラ仕事してる男性って結構います

それはたぶん、だらだらしていてもとにかく会社にいる時間が
長ければ評価される、という日本企業的風土の現れではないかと思います。

そういう感性の人は、企業の側にも社員の側にも結構多いようで、
実際日本人男性の家事育児時間が短い原因のひとつだったりします。
Posted by たんぽぽ at 2014年01月23日 23:40
アンケートの結果、私はこう見ました。

え、女房の方が稼いでくれんの〜?やった、オレの給料まんま小遣いじゃん♪ラッキー☆
は?男女平等だろ、お前ら女も働いて家族《=俺》を養えよ。

こういう、自分に都合の良いところだけ男女平等を主張する男性って、本当に卑劣だと思います。
他の部分では頑迷で、歴史だ伝統だ文化だ言って絶対に新しい考えを受け入れようとしないくせに、自分に関するお得情報には飛びつくその姿勢が。
私が今まで漠然と感じていたことを、確かな統計と共に記事にして下さってうれしいです。
何だかスッキリしました。
Posted by あやめ at 2014年02月11日 14:37
あやめさま、このエントリにコメントありがとうございます。

>アンケートの結果、私はこう見ました

やはりそう思うのですね。
このアンケートに答えた男は、「妻のほうが年収が多かったら、自分の小遣いが
増えてラッキー♪」くらいに思っていたのが多いことは、考えられますよね。

女性が年収の低い男性と結婚した場合のように、
生活できるかどうかに直結する事態は、ぜんぜん考えてないのでしょうね。


>自分に都合の良いところだけ男女平等を主張する男性って、本当に卑劣だと思います

ときどきいますね、ご都合主義的に「男女平等」を振り回す男。
その男にとっての「お得情報」というのも、
女性が直面している身体や生活にかかわるレベルのこととくらべたら、
ぜんぜんたいしたことない「贅沢」だったりしますしね。

さらに程度がはなはだしくなって、「男こそ被害者」だなんて倒錯したことを
信じ込むようになったのが、「弱者男性」なのだと思います。


>私が今まで漠然と感じていたことを、確かな統計と共に記事にして下さってうれしいです

いえいえ。
わたしのつたないブログがお役に立てて、こちらこそうれしいです。
Posted by たんぽぽ at 2014年02月11日 20:55
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