2月9日に投開票予定の都知事選の候補者である田母神俊雄氏が、
そのむかしセカンドレイプ発言をしたことがあるのでご紹介します。
つぎのように2件ありますよ。
「元自衛官が田母神氏に謝罪要求 セクハラ勝訴の女性」
(はてなブックマーク)
「米兵の被害女性に「セカンドレイプ」 田母神氏ツイートに批判殺到」
(はてなブックマーク)
>航空自衛隊セクハラ訴訟
ひとつ目は航空自衛隊のセクハラ訴訟で勝訴した女性に対してです。
わたしもこのブログで取り上げたことがありますが、かなり話題になった事件です。
2010年7月に原告の被害女性の勝訴が決まったのでした。
「航空自衛隊セクハラ訴訟」
田母神俊雄氏は『自衛隊風雲録』という著書の中で、
被害女性に対するセカンドレイプとなることを書いているのでした。
「元自衛官が田母神氏に謝罪要求 セクハラ勝訴の女性」
「女性自衛官裁判:元原告が田母神氏に謝罪要求」
具体的には「よくある男女間の“いざこざ”のたぐい」とか
「女性は精神的に不安定で、病院に2回ほど入院した」などと書いています。
性暴力をたいしたことのない事件であるかのように矮小化したり、
被害者を病気扱いするのは、こうした場合にありがちだと言えます。
田母神俊雄氏の著書が刊行されたのは2009年5月ですから、
裁判の係争中にこのようなセカンドレイプ発言を本に書いて出していたわけです。
これらの記述は事実に反しているし、また職務上知り得た女性のプライバシーに
かかわることを公刊物に載せるのは、守秘義務にも反するとして、
女性の代理人弁護士は、田母神俊雄氏に謝罪を要求したのでした。
女性の代理弁護人が田母神俊雄氏に謝罪を求める文書を送ったのは、
2010年11月で、原告の勝訴が決まってから4ヶ月後です。
このエントリを見ると、田母神俊雄氏はこの件について
公式サイトでもツイッターでも、ノーコメントを続けているとあります。
おそらくこのまま謝罪することなく過ぎ去ったのだろうと思います。
>沖縄のアメリカ兵による強姦事件
ふたつ目は2012年10月に起きた、沖縄の在日米軍による強姦事件です。
これもわたしはブログで取り上げたのですが、かなり話題になったのでした。
これで在日米軍による性犯罪に対する批判が、ふたたび高まることになりました。
「沖縄で米兵による強姦」
在日米軍が性暴力事件を起こすと、決まって米軍をかばおうとして
被害者に対する二次加害をやりだす人が出てくるのですよね。
そのひとりに田母神俊雄氏もいたということです。
「米兵の被害女性に「セカンドレイプ」 田母神氏ツイートに批判殺到」
これが問題のセカンドレイプ発言です。
https://twitter.com/toshio_tamogami/status/259433401663246338
(はてなブックマーク)
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沖縄女性暴行事件でテレビが連日米兵の危険性を訴えるが、
この事件が起きたのは朝の4時だそうです。
平成7年の女子高生暴行事件も朝の4時だったそうです。
朝の4時ごろに街中をうろうろしている女性や女子高生は何をやっていたのでしょうか。
でもテレビはこの時間については全く報道しないのです。
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性暴力の加害者を批判するべき状況なのに、女子高校生が朝の4時に
出歩いていたことを批判して、矛先をそらしているのですよ。
なんだか「朝の4時に女子高校生が出歩いていたから悪い」とか、
「朝の4時に女性が出歩いていれば、強姦にあっても無理もない」
などと言いたいようにも聞こえますね。
これをご覧のかたでしたらよく承知と思いますが、女性がどんな時間に
出歩いていたとしても、性暴力の加害者が悪いことに変わりはないです。
田母神俊雄のツイートは、典型的な「被害者落ち度論」であり、
よくありがちなセカンドレイプと考えることができるものです。
田母神俊雄氏は「テレビはこの時間については全く報道しない」などと
ツイートしているのですが、フジテレビ系のFNNと日本テレビ系のNNNが、
それぞれ「午前4時半ごろ」「午前4時頃」と報じています。
(新聞報道でも、たとえば毎日新聞の記事には、
「16日午前3時35分から同4時20分の間」と書いてあります。)
また「平成7年の女子高生暴行事件」が1995年9月の事件だとすると、
襲われたのは女子高校生ではなく女子小学生です。
しかも事件が起きた時刻も朝の4時ごろではなく、夜の20時ごろです。
田母神俊雄氏は事実認識さえも間違いがあるということです。
この記事を見ると、田母神俊雄氏はこの件の謝罪も訂正もしていないとあります。
このままなんの釈明もすることなく過ぎ去ったのだろうと思います。
付記:
航空自衛隊のセクハラ訴訟の件は2010年11月、
沖縄のアメリカ軍の暴行事件は2012年10月でむかしのことですが、
最近ツイッターでこれらについての情報が流れたのでした。
田母神俊雄氏は今度の都知事選に出馬を決めているので、
どういう人かを思い起こすために、この話題をふたたび流したのでしょう。
このようにセカンドレイプ発言を繰り返し、なおかつそれを批判されても
なんの釈明もしないあたりに、田母神俊雄氏の女性観や、
彼が性暴力をどのように見ているかが、わかるというものです。