NHKの出口調査の重要な争点ごとの投票先のデータを見ていきたいと思います。
NHKによる東京都知事選の出口調査、有権者が重視した政策の1位は「景気・雇用」で31%、2位は「原発などエネルギー政策」22%、医療・福祉が僅差の21%。「防災」「教育・子育て」「東京五輪」がそれぞれ8%、7%、4%と続く。 pic.twitter.com/fvj6Yjav1Y
— Ikuo Gonoï (@gonoi) 2014, 2月 9
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重視した政策(投票日出口調査)
景気・雇用: 31%
防衛: 8%
医療・福祉: 21%
教育・子育て: 7%
原発などエネルギー政策: 22%
東京五輪: 4%
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はじめはいちばん多く、31%が重視した政策と答えた「雇用・景気」です。
NHKの都知事選出口調査、有権者が重視した政策の「景気・雇用」分野は舛添氏が圧倒的。続いて宇都宮氏、そしてなぜか田母神氏という順番。 pic.twitter.com/C1Mm8Su9SV
— Ikuo Gonoï (@gonoi) 2014, 2月 9
見ての通り、半数以上が舛添要一に投票と答えています。
舛添のアベノミクス支持が評価されたのか、それとも仕事を持ってくるのは
やはり自民党だと思われているのか、そんなところだと思います。
一般に経済に関することはリベラルは弱いと思われていますね。
もっとも多くの有権者が重視するところですし、
こうしたところから票を取って来れるようにするのがよいのでしょう。
引き続いて、22%が重視した政策と答えた「原発などエネルギー政策」です。
NHKの都知事選出口調査、有権者が重視した政策の「原発などエネルギー政策」分野は「原発即時停止」を訴えた細川氏が圧倒的。続いて同主張の宇都宮氏。「段階的に依存度減らす」の舛添氏、「安全確保して利用」の田母神氏ら原発肯定派は支持されず。 pic.twitter.com/GOI2HiNFEI
— Ikuo Gonoï (@gonoi) 2014, 2月 9
これを見るとかなりの票が、細川護煕に集まっていることがあきらかです。
宇都宮健児と票が割れた、というほどのものでもないと思います。
舛添要一の脱原発は「格好だけ」と思って、ぜんぜん信用しなかったことになります。
細川護煕は、原子力政策・エネルギー政策の単一争点を強調しただけあって、
NHKの出口調査を見るかぎり、原発やエネルギー政策に
関心のある有権者の票はしっかり取ってこれたわけです。
いろいろと批判もありましたが、細川護煕は脱原発を支持する人たちから
期待と信用をされるにはじゅうぶんだったと言えるでしょう。
ちなみに田母神の得票が皆無に近いことから、「原発などエネルギー政策」を
重視した有権者は、その大部分が脱原発派であることがわかりますね。
原発推進を期待して、推進派の候補者に積極的に投票する有権者は
ほとんどいないということになります。
そして21%が重視した政策と答えた「医療・福祉」です。
NHKの都知事選出口調査、有権者が重視した政策の「医療・福祉」分野は舛添氏を宇都宮氏が追う形に。他方、この分野での細川氏、田母神氏の存在感はほぼないに等しい。 pic.twitter.com/uvfU3D5plo
— Ikuo Gonoï (@gonoi) 2014, 2月 9
なんと半数以上が、舛添要一に投票しています。
なぜに舛添?と思いたくなりますが、厚生労働大臣をやっていたし
母親の介護もしていたので、福祉のことはわかるだろう、
くらいに思った有権者が多かったのかもしれないです。
(片山さつきのインタビューによれば、舛添は外面がいいらしいので、
それで信用した人もすくなくなかったかもしれないです。)
「生活保護は怠け者」発言とか、「ジジババから金を取る」発言などは、
ネットでは結構拡散して情報が共有されていました。
しかしこれらは大手メディアは報道していなかったし、
リアルで知っているかたは、ほとんどいなかったのでしょう。
しょせんネットの力はたいしたことない、ということですね。
つぎに票を取っているのが宇都宮健児なのですね。
舛添に入った以外の票を、ほとんど全部宇都宮が取っています。
医療や福祉を期待している有権者で、舛添を信用しなかった人たちは、
宇都宮に期待をしたということになります。
(この判断は、わたしは妥当だと思います。)
きわだっているのが細川護煕の得票が皆無に近いことですよ。
エネルギー政策にこだわりすぎたので、
医療や福祉はぜんぜん期待できないと思われたということですね。
福祉に期待する人が細川に投票できないので、票が宇都宮に流れて、
それにより宇都宮の得票が細川より多くなった、ということのようですね。
本来なら「原発などエネルギー政策」と「医療・福祉」の両方の票を、
おなじ候補者が取ってくる必要があると言えるでしょう。
脱原発とエネルギー政策の単一争点にこだわった
細川護煕は失敗だったことが、ここからも見て取れると思います。
こうして見ると、都知事選で当選するためには、
主要な3政策のうちふたつを制覇する必要があることになりそうです。
舛添は「医療・福祉」と「雇用・景気」の2分野から過半数の票を
取っているので、「原発などエネルギー政策」の票が
ぜんぜん取れなかったのですが、当選できたのでしょう。
リベラル候補者が当選するためには、「医療・福祉」と
「原発などエネルギー政策」の2分野からの支持を堅めて、
さらに「雇用・景気」にもある程度食い込めればよいのではないかと思います。
これが前のエントリでお話した「リベラルを軸にして中間層まで支持を広げる」
というパターンになりそうに思います。
これは興味深い分析ですね。
たもたもクンが何処から60万票も取ったのかと思ったら、案外、経済重視派の票を取ったんですね。エネルギー政策ではなくて。
そう言えば、たもたもの応援演説に、あの「ネットde真実の経済学者(自称)」の、三橋貴明(字が違うかも)が出てました。何年か前にご紹介頂いた、野党時代の自民党大会でコスプレかましてたあの人w
そんなんで、東京の景気回復をたもたもクンに託した人がいたのかも、と思うと、少し頭が痛くなります。
「ああ、東京には60万人のネトウヨがおるんだな、一千万の6%は多いのか少ないのか」
なんぞと考えておったのですが、「景気雇用」で支持した人もいるんですね。
確かに減税を訴えてもいたし、やたら景気良いことは言ってました。オリンピックは盛大にやるとか、原発なくして産業の発展は出来ないとか。ちょっと考えれば、なんの論拠もない矛盾だらけの発言なんですけれど、あまり考えない人だと入れちゃうんでしょうかね?
どっちにしても情弱なことに変わりはないですけれど。
このエントリにコメントありがとうございます。
>たもたもクンが何処から60万票も取ったのかと思ったら、
>案外、経済重視派の票を取ったんですね
それが意外ですよね。
(あと、重視する有権者があまり多くない「防衛」あたりから、
かなり取ったのではないかと思いますが。)
田母神俊雄なんて右翼イデオロギーばっかりという感じで、
食いぶちのことなんてなにが期待できるのかと思うところなんだけど。
自民党の傍流なので、経済のこともそれなりにわかるだろう、
くらいに思われたのかもしれないです。
やっかいなのは、これで田母神が自信をつけちゃったことですね。
最初の予想の2倍くらいの得票なので、自信持つのもむべなるかななんだけど。
参院選の東京選挙区で当選がうかがえる得票ですし。
http://www.asahi.com/articles/ASG2B4GFMG2BUTFK11C.html
>あの「ネットde真実の経済学者(自称)」の、三橋貴明
あらあら、そうなのね。(字は合ってます)
そういう政治的立ち位置で経済に関心がある人から、票が来たことはありそうですね。
>何年か前にご紹介頂いた、野党時代の自民党大会でコスプレかましてたあの人w
そういえばそんなこともありましたね。
わたしもブログで書いた覚えはあります。
(過去エントリを探したけど見つからなかった。ごめんなさいね。)
2010年の参院選の前くらいですね。
>ちょっと考えれば、なんの論拠もない矛盾だらけの発言なんですけれど、
>あまり考えない人だと入れちゃうんでしょうかね?
田母神俊雄に投票するくらいの人であれば、
矛盾だらけの発言でも、「そうかそんなものなのか」と思って、
結構信用するのではないかと思いますよ。
あと景気・雇用で投票した人も、上述の三橋貴明のような
「ネトウヨ」で経済をやっている人が多い、ということは考えられますね。