2014年02月24日

toujyouka016.jpg 若年女性の貧困の深刻

すこし前ですが、1月27日に放映したNHK「クローズアップ現代」は
若年女性の貧困について扱っていました。
文字に書き起こした記事も、1000以上ブックマークがついて反響が大きかったので、
いまさらですがここでも見ておきたいと思います。

「あしたが見えない 〜深刻化する“若年女性”の貧困〜」
(はてなブックマーク)

 
この番組を受けて、いくつかブログエントリも書かれています。

「NHK「クロ現」に、ひとこと言いたい」
(はてなブックマーク)
「社会保障は、常に●●が肩代わりしてきた。」
「「社会保障は風俗に敗北した」 NHK「ガールズプア」特集が話題に」


だいぶ前にもお話したことがありますが、いまの日本社会は
単身女性は約3分の1が相対的貧困という、衝撃的な状況にあるのでした。
番組ではそうした貧困状態にある女性の生活を取材しています。

「単身女性の貧困率」

くわしくは書き起こしを見てもらうとして、インタビューのコメントを引用しておきます。
はじめのセクションで紹介されるのは、単身の女性たちですね。
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「ご飯はカップラーメンだったり、あとはパンとか、
そういうの買って、どうにかしています。」

「理想はないですね、基本。今の生活から脱出して、
朝9時くらいからお昼までとか、お昼から夕方までバイトして、
夕方普通に家に帰ってという感じが、今1番理想ですかね。」
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「ファミレスに朝10時出勤の4時半までやって、
5時からピザ屋さんで9時までやって、9時半にスナック行って、
閉店まで2時3時まで働いて、本当に時給安くて、すごく働いた気がしても、
やっと10万いったりとか。」
========

これらの女性たちは高校卒だと思いますが、
正規雇用につけず賃金がきわめて低いので、1日中働き詰めだけど、
ご覧のように相当なまでに切り詰めた暮らしをすることになります。
そしてすこしでも暮らし向きを楽にするために、資格を取ろうとして、
苦しい中から学費をやりくりして専門学校に通っているのでした。

それにしても「理想はない」と言い切っていますよ。
いまの生活が苦しすぎて将来に希望が持てないというより、
将来の夢みたいなことを考える余裕がないのではないかと、おそらくは思います。
それくらい目先のことで手がいっぱいになっている、ということだと思います。


かかる状況の背景には、男女の賃金格差や非正規雇用の比率の高さがあるでしょう。
これまでにも取り上げてきた統計をご紹介しておきます。

「男女の年齢層別年収分布」
「男女&雇用形態別年収分布」
「女は結婚で年収が減る」
「就労形態と未婚率の関係」

前に掲載したグラフも、ここでもう一度掲載しておきます。

https://twitter.com/tmaita77/statuses/415101381297438720

seiki-hiseiki.png


正規雇用だけですが、男女の格差がかなりビジュアルにわかるので、
これもここであらためて掲載しておきます。

https://twitter.com/tmaita77/status/400973407879036928/photo/1

nenshu-bunpu.png


インタビューのかたが「子どもを生みたい願望は?」と
質問をするのですが、これに対してこう答えているかたがいるのでした。
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「それ1番ないです。
自分1人でこの状態で、いっぱいいっぱいなのに、子どもいたらアウトだなって思って。
最悪自殺まで考えちゃうんじゃないか。」
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わたしの意見は「それはそうだろう」ですよ。
これをご覧のかたはどうかわからないですが、わたしには衝撃でもなんでもないですよ。
むしろ生活が苦しい中、子どもを持つなんて、さらに無茶なことを
考えていなくて、なんとなく安心した気持ちになったくらいです。

こうした状況に置かれた女性が多ければ、少子化が進むのもむべなるかなです。
そして少子化対策に必要なのは、経済的な支援であることがあらためて確認できます。
番組に登場するような女性に対して、女性手帳を配ったり
婚活支援をすることの無意味さが、あらためてはっきりするというものです。

posted by たんぽぽ at 23:01 | Comment(0) | TrackBack(0) | 家族・ジェンダー | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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