1月27日のNHK「クローズアップ現代」で放映した、若年女性の貧困です。
「あしたが見えない 〜深刻化する“若年女性”の貧困〜」
(はてなブックマーク)
「NHK「クロ現」に、ひとこと言いたい」
(はてなブックマーク)
「社会保障は、常に●●が肩代わりしてきた。」
「「社会保障は風俗に敗北した」 NHK「ガールズプア」特集が話題に」
単身の女性に続いて、番組ではシングルマザーの生活を取り上げています。
前に出て来た単身の女性のかたは、子どもを産むなんて「それ1番ない」と
きっぱり言っているくらいですから、子どものいる女性であれば、
その生活はより苦しいものであろうことは、想像にがたくないです。
番組ではつぎのような、シングルマザーの賃金水準について述べています。
とても衝撃的なのですが、この数字、出典がわからなかったのでした。
今、20代のシングルマザーのうち、およそ80%が、
年収114万円未満の貧困状態に置かれています。
代わりにというわけではないですが、
総務省の『就業構造基本調査』(2012年)から作った、年齢階層べつの
母子世帯の母親(有業のみ)の年収分布図を紹介しておきます。
母子世帯の母親の年収分布図(年齢層別)。これが現実。 pic.twitter.com/B0zXq2QwB2
— 舞田敏彦 (@tmaita77) 2014年2月2日
年収200万円未満のワーキングプアばっかりという感じで、
母子世帯の貧困の現状が、あらためてはっきり突きつけられるというものです。
いささかびっくりしたかたもいるのではないかと思います。
20代は70%前後が年収200万円未満となっています。
(80%が年収114万円未満という記述は、無業の母親も含まれるものと思います。)
2月24日エントリでしめした、正規雇用の女性全体の年収分布や、
未婚と既婚で比較した、正規雇用の女性の年収分布と比較しても、
シングルマザーの低賃金はあきらかだと思います。
インタビューの部分をすこし引用しておきます。
前のエントリで紹介した単身の女性と同様、この母子家庭のかたも
すくない生活費でぎりぎりまで切り詰めている様子がわかります。
「母子家庭に支給される、およそ4万円の手当」というのは、
おそらく児童扶養手当てのことではないかと思います。
広島市に住む、28歳のあさみさんです。
4歳と2歳の息子を育てています。
保育所で、時給800円で働いているあさみさん。
フルタイムで働いて、収入は月10万円ほどです。
母子家庭に支給される、およそ4万円の手当などを加えて、
なんとか家計を維持しています。
「食費をできるだけ、かけずにかけずに、うどん1玉を3人で食べたり、
汁を多めに作って、汁で腹いっぱいにさせるっていうのはあります。」
母子家庭の貧困をしめすデータは、1月22日エントリでも
舛添要一の差別発言を取り上げる際に、いくつか紹介しています。
「母子家庭は怠け者発言」
ここでは、日本は子どもを持つ女性の賃金が、男性の4割程度であり、
OECD加盟国の中では群を抜いて低水準という調査を挙げておきます。
おそらくこれは結婚して夫もいる女性も含めての数字で、
母子家庭にかぎると、さらに低い水準になるのではないかと思います。
もうひとつ、日本は政府の再分配によって、ひとり親世帯の貧困率が
かえって高くなっていて、しかもそれはOECD加盟国の中では、
ただひとつの国だという、きわだった特徴があることも、挙げておきます。
「分け与えている」のではなく「むしり取っている」のですね。