家事をしない日本の男この記念日にちなんで、OECDが家事時間の男女差について調査をしています。
「Balancing paid work, unpaid work and leisure」
これがロイターや日本のメディアでも報道されたのでご紹介します。
つぎの3紙とも「日本の男性は家事時間が短い」と書いているのですよ。
国際女性デーに、「女性の社会進出」ではなく「男性の家庭進出」に
注目したのは、特筆するところかもしれないです。
「「家事に最も協力的」な男性はノルウェー人、日本は男女差顕著＝ＯＥＣＤ」
「家事の時間 日本男性最低水準」
「男性の家事、日本は最低レベル ＯＥＣＤ調査、１時間２分」
OECDのサイトの下のほうに、もとのデータがエクセル形式でリンクしてあります。
これを使って男性と女性の家事時間を2次元的に表わしたのが以下の図です。
左に行くほど、男性にくらべて女性の家事時間が長いことになります。
１日あたりの家事時間の国際比較図。日本の男性の平均時間は62分で下から二番目。ジェンダー差が大きい（4倍超！）。右下の北欧国では，男女の家事分担が図られている。ノルウェーの性差はたったの1.2倍。 pic.twitter.com/huTSd1X3V2
— 舞田敏彦 (@tmaita77) 2014, 3月 8女性の家事時間が男性の4倍以上というのは、日本と韓国だけなのですね。
「日韓の外れっぷりはスゴイよなあ。ジェンダー関連の統計ではいつもこうだ」
と、グラフを作ったかたはツイートしています。
それはわたしも常づね思っていることですよ。
かならずと言っていいほど、日本と韓国とで最下位争いをするのですね。
日本と韓国でいがみ合っていると、近親憎悪にも見えてくるというものです。
右下の隅のほうの、女性の家事時間が男性の1.5倍以下の領域に
集まっているのは、例によって全部北欧諸国です。
これらの国は男性の家庭進出も進んでいることになると言えます。
北欧諸国がもっとも男女平等のカテゴリに入るというのもまた、
ジェンダーの統計ではかならずと言っていいほどのことですね。
多くの国は1.5倍から2.0倍の領域に入っています。
すべての国において「男性の家事時間＜女性の家事時間」となっているわけです。
女性のほうが家事時間が短い国はないのであり、欧米やオセアニアの民主主義国でも、
まだまだ家事は「女の仕事」ということなのでしょう。
日本の女性の家事時間が、男性にくらべてはるかに長いのは、
ひとつは自分は家事をやらず女性に押し付けるという男性の意識でしょう。
昨年の12月21日エントリで、日本人男性は家事をやらないから、
同居すると我慢と拷問の世界になると、ドイツ人が書いた漫画で
言われていることをご紹介したのでした。
もうひとつは、だらだらと会社に残って残業していると、
それだけで評価されるという日本の企業風土にあると思います。
それでとくに男性は家に帰るのが遅くなって、家事時間が短くなるということです。
後者の理由に関してですが、さきほどのOECDの調査を使って、
男性の1日あたりの家事時間と仕事時間を2次元のグラフにプロットした図が、
つぎのエントリにあるので見てみたいと思います。
右下に行くほど、家事時間が短いわりに仕事時間が長いことになります。
「仕事・家事時間の国際比較」
日本と韓国の男性は、仕事時間は家事時間の6倍になっているのですよ。
そしてまたまたこれら2国だけが飛び抜けていることになります。
韓国の事情はわからないですが、日本の場合はだらだらと残業をやって
会社にいる時間を長くしていることも、じゅうぶん考えられることです。
欧米やオセアニアの民主主義国は、1.5倍程度のところにほとんどが集まっています。
日本の男性がいかに仕事ばかりで家事をあまりやっていないかが、
あらためてはっきりしてくるというものです。
さきのエントリには、こんなことが書いてあります。
日本の男性の家事時間が女性とくらべてとても短いこと、
そして日本の男性は家事時間にくらべて仕事時間が異様に長いことは、
「男は仕事、女は家庭」という高度経済成長期の家族観を
いまだに引きずっているということなのかもしれないです。
http://tmaita77.blogspot.jp/2014/03/blog-post_10.html
わが国の偏りには驚かされます。
男性は仕事人，女性は家庭人としての顔しか持っていません
付記:
男女別の家事時間についてのOECDの調査は前に紹介したことがあります。
これはおそらく2013年に発表されたデータだと思います。
今回新たに調査してデータを更新したものと思いますが、
傾向はほとんどおなじですね。
「家事をしない日本の夫」
#Frauen, #Männer und unbezahlte #Arbeit - Grafik zur aktuellen OECD-Statistik #Gender pic.twitter.com/evjM53FBiG
— OECD Statistik (@OECDStatistik) 2013, 7月 3
