2014年03月17日

toujyouka016.jpg 理工系分野の女性人材

3月10日エントリと3月12日エントリのつづき。

「STAP細胞・型破りの発見」
「理科教育と理系人材」

理科教育と理系人材のお話ですが、つぎのまとめでも言及があるように、
今回はとくに女性の人材を確保することについてお話したいと思います。

「「STAP細胞」の社会的側面:倫理問題・理系人材など」

 
ご存知のように理工系は女性がすくない分野となっています。
分野ごとの差はありますが、全体的傾向としては女性がすくないです。
ジェンダー比が偏っていることは、さまざまな意味で
好ましくないことは、言うまでもないでしょう。

理工系分野に女性がすくないことは教員の比率にも影響して、
高校と大学の女性教員の割合を見ると(文系も全部入れてですが)、
日本はOECD加盟国の中で飛び抜けてすくないことがわかります。
こうした場合のつねとして「日本と韓国だけが」ではないですよ。
今回は本当に日本だけが孤立しているのですね。

「高校・大学教員の女性比の国際比較」

university-staff-female.png

分野ごとにわけた女性教員の比率は、こちらをご覧ください。
2012年6月18日エントリで引用したもの。日本のみの年次推移。)

ratio.jpg


>社会通念

理工系分野に女性がすくない原因のひとつは
「理科は女の子に向かない」とか「女の子は理系に進むものではない」
といった固定観念がある、ということだろうと思います。
ひとむかし前よりは緩和したのかもしれないですが、
「リケジョ」なんてことばがあるあたり、
理系出身の女性はまだまだ特別視されることが多いのだと思います。

このような固定観念に関しては、理工系関係者の多くの人たちが
おおむかしから気にしているところではあります。
自分がやっていることを敬遠されるのは、はなはだ残念なことですからね。
それゆえ「理科は女性向きでない」というイメージをぬぐい去るために、
さまざまな努力をしてきてはいるのでした。

現実に理系分野で活躍している女性の研究者や技術者を紹介する
というのは、ひとつの効果的な方法だと思います。
具体的なロールモデルがあるというのは、将来を考える
高校生や中学生にとって、ひとつのおおいなる指針となりうるからです。
以下で紹介されている本は、とても参考になるもののようです。

「書評『理系なお姉さんは苦手ですか』(著/内田麻理香さん、絵/高世えり子さん)」


「理工系の女性のロールモデル」も、世間一般のあいだに固定観念があって、
たいてい「しなやか」とか「したたか」とかされるのですよね。
こうしたイメージに合っている人なんて、そんなにいないだろうと思います。
受け手の側が自分のイメージに合うようなキャラクタやストーリーを
期待したり作ったりしてはうまくいかないですね。
ロールモデルをしめす以上、現実をありのままに見つめる必要があることです。

一部で見られる、理工系の女性学生対象のミスコンテスト、
なんてのは、かえって感心できないことです。
理工系分野で求められる資質と、容姿や男受けなんてのは関係ないからです。
そもそもミスコンテスト自体、性的搾取にもなって批判が多いです。

それから「女が大学院まで行ったら婚期がなくなる」とか、
「女が博士号を取るなんて」と言う人は、まだまだいるのでしょうか?
前者についてはひとむかし前は、学部でさえ4年制の大学に行くと
結婚できなくなる、なんて言われていたのでした。
後者につていも、ひとりやふたりはそういうことを言っている人を
見たことがある、というかたもいるかもしれないです。


>就職に有利

理系を希望する女性を増やすひとつの方法として、
就職に有利という点をアピールするのも一案ではないかと思います。
理工系出身者は技術や専門知識を持っているゆえに、収入や雇用が安定するからです。
女性は一般には雇用が不安定で収入もすくないことが多いです。
景気の影響を受けやすく、妊娠や出産にともなう解雇や再就職の困難もあります。
ゆえに収入や雇用の安定はアピールできるポイントだと思います。

現時点でも「手に職をつけて就職で有利に、と考える女性は増えている」とあり、
実際に理工系学部を志望する女子受験生は目立って増えているとあります。
(一般に景気が悪くなったり、社会情勢が不安定になると、
安定性のある理工系に人気が出てくる傾向はあります。)

「もてもて理系女子、広がる活躍の場」
「リケジョが多く誕生? 今年も「理高文低」」


>職場環境

それからありきたりですが、理系志望の女性を増やすためには、
理工系の職場に対して結婚や妊娠、出産をしても仕事を続けられる
環境を整えることがとても大事だろうと思います。
(わたしのブログをご覧になるかたには「ありきたり」でしょうけれど、
理工系の職場にいる男性諸氏には、意外と気の回らないところだったり
するのではないかと思います。)

2012年6月18日エントリで、大学の女性教員が離職する理由について
お話しましたが、女性にだけ顕著な離職理由として
「結婚」「育児」「家族の転勤」「男女差別」の4つがあったのでした。

rishoku.jpg

仕事と家庭を両立させやすい環境を整えるというのは、
どこの職場でもとうぜんのことですが、とくに研究職や技術職の場合は、
その仕事のハードさゆえに結婚や妊娠、出産が壁になりやすく、
より徹底させる必要があるだろうと思います。


「男女差別」でほかに思いつくことは、セクハラやパワハラの対策ですね。
セクハラやパワハラを起きないようにする体質を作り、
セクハラやパワハラが発生したときは、じゅうぶんな対応ができる
環境やしくみを整備しておく必要があると思います。
いかんせん大学の研究室はボスが小専制君主になりやすい環境です。
一般の組織にもまして、ボスに権力性が強く発生しやすいからです。

トゥゲッターを見るとこんな教員がいるというお話をしているのですよね。
これを一般のお役所や企業でやったら、とんでもない差別だと思います。
でもありえないお話ではないと、わたしは思います。
https://twitter.com/ishiiakira/status/429213958357004288
========
ひどい例として、旧帝大のある物性物理の大先生が、
「女子学生って扱い方がわからないでしょ。だから、ウチの研究室は
女性の卒論生は取らないって宣言してるんですよ」と言ってるケースが。
========

そういえばもうだいぶ前になりますが、「女が男よりダメなこと」なんて
公言をしてはばからない大学の教員もいたのでした。
こういう人たちはさすがにまれなのだろうとは思いますが、
それでも大学の男性教員の中には、たまにエキセントリックな
ジェンダー観を持った人がいるようです。


付記:

STAP細胞のお話は、いよいよのっぴきならなくなっていますね。
つぎのエントリで新聞記事をいくつか並べています。

「From STAP to stop?」

ここでの問題はふたつあると思います。
1. STAP細胞自体の科学的正否
2. 小保方晴子氏の論文の是非

建設的な調査や今後どうしたらよいかの対策については、
ツイッターやフェイスブックなどでも、かなり議論されているようです。
いずれ一定の結論に落ち着いていくことと思います。

posted by たんぽぽ at 21:20 | Comment(4) | TrackBack(0) | 家族・ジェンダー | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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この記事へのコメント
たんぽぽさん。お元気そうですね。
また、あいつがまたどんなアホなこと書いてくるか楽しみだわ、という幻聴が聞こえたので来ました(^^)

それでジェンダー比が偏っているのは良くないと私も思います。
CAのスカートが短くてどうのありますが、それより女性のパイロットがもっと増えてもいいですね。
逆に男性がCAでもいいと思いますし。
だいたいCAのスカート短くするって男性客のためと思われても仕方なく、乗客は女性も多いのにおかしな話です。
それに私は自分の彼女でもない人のスカートが短くても嬉しくないです。

また歯科衛生士が女性である必要もなく、女性歯科医と男性歯科衛生士でもいいと思いますし、
女性医師と男性看護師が互いにもっと増えてもいいと思います。

政治家の場合は女性が少なくても、女性国会議員に男性秘書というのは結構あるそうですから、それはいいことですね。

小保方さんはこれからどういう展開になるのか分かりませんが、たとえば女性も数学好きな人は結構いますから、三角形を三等分することを証明してノーベル賞をとる日本人女性が出てくるんじゃないかと期待しております。
身近な、こういうパソコン、ネット操作の知識などは理系と言えますよね?するとやはり男女差なんてないはずです。
SE、プログラマーなども女性が活躍できる分野ですが、以前はホワイトカラーの仕事だったものがインド等にアウトソーシングされて不利とも言われます。
でも、ランクアップしたスキルを身につけることで理系はもちろん文系でも職業の幅や選択肢が広がるチャンスの時代ともいえると思います(^^)
Posted by 幸福好き at 2014年03月18日 22:09
>あいつがまたどんなアホなこと書いてくるか楽しみだわ、

わたしはあなたのコメントなど、まったく楽しみにはしておりません。
管理者の考えを勝手に推し量るのは、ご遠慮いただきたいです。

>という幻聴が聞こえたので来ました(^^)

本当に幻聴が聞こえるのでしたら、病院へ行くのがよいと思います。
Posted by たんぽぽ at 2014年03月20日 21:08
「幸福好き」氏

初めまして。ジャジーと言います。
横やり失礼しますが、参考にしていただければうれしいです。

>また、あいつがまたどんなアホなこと書いてくるか楽しみだわ、という幻聴が聞こえたので来ました(^^)

謙遜だということは分かる。
少なくとも、私(ジャジー)は、たんぽぽさんにかまって欲しい君の気持ちぐらいは理解できた。
ただ、相手が言ってもいない事をしたことにするのはまずいよ。

発言(書き込み)をする時は、相手の発言(書き込み)に興味を持った方がいいかもね。

「あなたの言いたいことなんて知らないけど、ねえねえ、ボクの言う事を聞いてよ!」

こんな態度をする人間は、老若男女・洋の東西を問わず、距離を置かれて仕方がない。
「この子は私の言う事を聞いてくれないんだ」と思ったら、誰が相手をしたいと思う?

君の主張を聞いて欲しいなら、相手の言葉に耳を傾けないと。
まあ、私の方が少しばかり知っていただけだから。

その上で、君はこれから書くときには、今のままではダメだね。
決めるのは私ではないけれど、たんぽぽさんの態度が決定的に変わらないように、よく考えて書くべきだと思う。
Posted by ジャジー at 2014年03月22日 12:38
ジャジーさま、いらっしゃいませ。
このエントリにコメントありがとうございます。

これで3人目の抗議ですね。

>たんぽぽさんにかまって欲しい君の気持ちぐらいは理解できた

わたしもそれは思いました。
いわゆる「かまってくん」なのかなと。

>相手が言ってもいない事をしたことにするのはまずいよ。

自分が相手にされたいのだろうに、わたしが相手にされたいことにする
というのは、いったいなんなのかと思います。


自分でブログを書いてもぜんぜんお客さんが来ない人とか、
だれかに相手されたくて、コメント欄に投稿者の多いブログへ行って、
そのコメント欄に居着くことは、ときどきありますけれどね。

もっともわたしのブログは、アクセスなんてたいしたことなく、
コメントもとくに多くない「人の来ないブログ」だと思うのですよね。
こんな「場末」のブログで、だれかに相手にされたいための
コメントをしてどうするのか、という気がとてもしています。

アクセスが1日に4桁もあるような人気ブログは、
管理がやかましいところが多く、コメントが承認制だったり、
ちょっと面倒なコメントが来るとすぐに削除や出入り禁止にするので、
わたしのブログくらいがちょうどいいということなのかもしれないです。
Posted by たんぽぽ at 2014年03月23日 00:05
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