ひとつ目は年収と生涯未婚率、すなわち50歳になっても結婚していない人の割合です。
年収別の生涯未婚率。こんな感じっすよ。生涯未婚にとどまるとみられる者は,男性は低収入層ほど多く,女性は高収入層で多い。X型のジェンダー差できている。 pic.twitter.com/VyGntIi1f1
— 舞田敏彦 (@tmaita77) 2014年2月8日
もうひとつ、つぎのエントリは30代後半の未婚率をしめしたグラフがあります。
男女別にしめしています。
「年収と未婚の関連」
どちらのグラフを見てもあからさまなのはジェンダー差ですね。
男性は年収が低いほど未婚率が高く、女性は年収が高いほど未婚率が高くなっています。
男性と女性とで傾向がまったく逆ということです。
男性は年収が高ければ結婚できて、年収が低いと結婚できなくなる
というのは、男性は家系を支えることを求められるからですね。
男性には専業主夫という選択肢が狭い以上、おのずとこうなると思います。
また女性は生活が困難なくらい低収入であることが多いので、
相手の男性の収入がすくないと経済的に生活ができなくて、
高収入の男性と結婚するということもあるでしょう。
「年収が低い男性との結婚」
男性の年収と未婚率の関係は、年収の増加とともに、
ほぼ直線的に未婚率が減少している特徴があることも言及しておきます。
女性の年収と未婚率の関係はよく見ると直線的ではなく、
まんなかのあたりでほぼ平坦になっていると言えます。
女性のグラフは男性のグラフを単純に逆にしたものではないということです。
生涯未婚率のグラフを見ると、年収が400万から1000万の範囲でほぼ平坦です。
30代後半の未婚率になると、平坦の領域がさらに広くなって、
年収が150万から1000万の範囲がそのようになっています。
女性の場合、年収と未婚率のあいだには、むしろ依存はないと考えてよく、
年収が低いところとごく高いところで、それぞれに事情があると
考えたほうがよいだろうと思います。
年収が低いほうですが、これは女性は結婚や妊娠・出産で
退職を余儀なくされることが多く、その後もパートやアルバイトなど
低収入の非正規雇用にしかつけないことが原因だろうと思います。
年収が低いから結婚できるのではなく、結婚してから年収が低くなるということです。
「女は結婚で年収が減る」
年収が高いほうは(1000万以上なのでかなりのエリートでしょうが)、
このくらいになると結婚することへのメリットがすくないわりに、
妊娠・出産にともなうキャリアの継続とか夫の家族との関係といった、
結婚にともなうリスクが大きくなる、ということだと思います。
低年収の低未婚率と、高収入の高未婚率は、どちらも結婚に関しての
女性を取り巻く環境が原因という意味では、同種のものと言えそうです。
最初に紹介したエントリには、つぎの考察がなされています。
これは「どうかな?」とわたしは思います。
女性は年収が低いから結婚できるのではなく、結婚したことによって
年収が低くなるのであり、低収入が結婚できることの原因ではないからです。
http://tmaita77.blogspot.jp/2013/09/blog-post_5551.html
2010年策定の『第3次・男女共同参画基本計画』では,
2020年までに,指導的地位に占める女性比率を少なくとも30%程度にまで高める,
という数値目標が掲げられています。
今後は,ガシガシ稼ぐ女性がどんどん増えてくることでしょう。
http://www.gender.go.jp/about_danjo/basic_plans/3rd/index.html
そうなった時,未婚化の進行に拍車がかからないかどうか。
上図のような「X」線型が保持されるとしたら,
理論上は,総体としての未婚率は高まることになります。
よく言われているように、妻を専業主婦として養えるだけの年収のある
男性が減っているから、婚姻率が下がっているという要素もあります。
女性の年収が上がれば共稼ぎによって家計を支えられる
家庭が増えるということですから、結婚しやすくなることになるでしょう。
したがって、女性の労働力率を高めることは、
やはり婚姻率を高める上で妥当な施策、ということになると思います。
「結婚相手に望む年収」
また上述のふたつのグラフを見るときは、年収階層ごとの人数が一定ではなく
異なっていること、またおなじ年収階層でも男性と女性とでは
やはり人数が異なるということにも、注意しておく必要があると思います。
あと、年収が高い女性の独身率が高いのは、無理に結婚しなくても食っていけるから良い、ってことでしょうね。
私自身、こういうのは男女差別的でいやだなあと思いつつも、安定した専門職技術職についていて、自立した経済力のある独身女性は
「好きな人が出来て、一緒になりたいと思って結婚して幸福な家庭を得られることはなにより幸せだけど、特にそういう相手がいなければ、別にわざわざ結婚しなくてもいいよね」
と思います。
一方で、パートや派遣を転々としてきて、実家パラサイトの女性は
「親が死んだらどうするんだろう?今更正社員になれる年でもないし、スキルも無い、年をとればとるほどバイト仕事も無くなるんだから、この際、舅姑の介護要員でも良いから、なんとか養ってもらえそうな比と探して結婚でもするしかないんじゃないか」
と思ってしまいます。
ただ、まあ、結婚って感情ですからねえ。
男は「俺はATMじゃねえ!」と思うでしょうし、女は「ロハで住み込み介護要員かよ!」と思うでしょうから、実際には上記のようにはいかないのが現実ですが(^^ゞ
>私自身、こういうのは男女差別的でいやだなあと思いつつも、
そうなのですよね。
高収入の女性が結婚しないのは、結婚にともなう女性のデメリットのためですし、
低収入の女性が結婚するのは、結婚によって女に与えられるものが必要だからですからね。
どちらももろにジェンダーの影響が効いている。
経済力というのは結婚を大きく左右しますから、年収と未婚率の相関を見ると、
こうした構造がかなりはっきりと現れると言えるでしょうね。
念の入ったことをなさるのですね。
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