2014年04月25日

toujyouka016.jpg 出生率上昇に数値目標?(2)

4月24日エントリで、「少子化危機突破タスクフォース」が、
出生率上昇に数値目標を出す、という記事をご紹介しました。
この記事に図がふたつ出ているので、これらを見てみたいと思います。

「何人産むか目標必要? 「出生率2.07回復」政府会議が検討開始」
「何人産むか目標必要? 「出生率2.07回復」政府会議が検討開始」(全文)
(はてなブックマーク)

 
ひとつ目は「出生率と将来人口の推計」です。
1. 出生率が2030年に2.07まで回復しその後横ばいのケース
2. 出生率が現状のケース
についてグラフが描かれています。

AS20140422000307_comm.jpg

1.の2030年までに出生率2.07というのは、タスクフォースが
目標にしようとした、どうやったら実現できるのかと思う数値ですね。
棒グラフになっている「生産年齢人口」の推計は、
「出生率が現状の場合」とあるので、おそらく2.とおなじく
国立社会保障・人口問題研究所のデータだと思います。

1.の推計のデータの出展を見ると、「選択する未来」委員会とあります。
これは2月28日エントリと3月1日エントリで紹介した、
移民の受け入れと出生率の回復で、100年後も1億人以上の人口が維持できるなんて、
とても楽観的な試算をした委員会だと思いますよ。

「人口政策・選択する未来」
「人口政策・選択する未来(2)」


ふたつ目の図は「各国の出生率の推移」です。
これはよく見かけるグラフだと思います。
少子化を克服したフランスとスウェーデン、いわゆる先進国の中では
例外的に少子化問題のないアメリカ合衆国、そしてジェンダー問題では
しばしばブービーを争う日本と韓国を比較しています。

AS20140422000306_comm.jpg

1980年代まではどこの国も少子化問題を深刻とは考えず、
対策らしい対策をした国はなかったのでした。
1990年代から少子化を問題視しはじめて対策を講じた国が出て来ました。
2000年代になると少子化対策の効果が現れてきたと言えます。
そして2010年代のいま、効果的な少子化対策を行なった国と
そうでない国とで、出生率が二極化してきたのではないかと思います。

posted by たんぽぽ at 22:56 | Comment(4) | TrackBack(0) | 家族・ジェンダー | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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この記事へのコメント
2030年に出生率が2.07人に仮になったとして、その2.07人が公的年金や労働力不足解消に役に立つのは、2050年頃からですな。
危機突破たすくほーすとやらは、今から35年位の間は、ズタズタになっていく公的年金や労働力不足を、指くわえて見てます、ってことだと(笑)。
全員クビ。
Posted by ニャオ樹・ワタナベ@モバイル at 2014年04月25日 23:50
このエントリにコメントありがとうございます。

出生率が2.07になるとしたら、きゅうにではなく2030年までに
すこしずつ上がっていくのでしょうし、年金や労働力の不足も
人口だけで解決しようとはさすがに思っていないでしょうから、
そこまではわたしは言わないですよ。

危機感を持って行動をはじめるのが遅かったとは言えるし、
遅くなってから行動をはじめているのにもかかわらず、
見当違いのことばかりやっているとは言えますね。
Posted by たんぽぽ at 2014年04月26日 19:29
仮に明日、出生率が2.07になったとしても、それが公的年金や労働力不足解消に役に立つのは2034年頃からです。
少子化危機突破と言いながら、少なくとも20年経たないと効果が出ないものを目標に据えること自体が、的外れなのですよ。
あるいは、出生率さえ回復すればそれで良い、的な雰囲気だけを漂わせて、国民の目を眩ませているとも言えますね。産めるはずなのに産まない女達をスケープゴートにするだけです、こんなもの。
少なくとも向こう50年くらいは、日本の人口ピラミッドがどのようになるかは、ある程度の確度で分かっているのですから、それに応じた社会制度をどのように構築すべきなのかを考えるのが、正しい少子化対策だと思いますよ、私は。
どうあがいたところで、日本の人口は7000万人くらいまで減るんじゃない?だったら7000万人の国民がハッピーになれる制度を作ればいいんですよ。
仮に、女達にプレッシャーかけて、一億人が維持出来たとして、それに何の意味があるんでしょうか?と、問いたいです。
Posted by ニャオ樹・ワタナベ@モバイル at 2014年04月28日 23:59
またまたコメントありがとうございます。

>少なくとも向こう50年くらいは、日本の人口ピラミッドがどのようになるかは、
>ある程度の確度で分かっているのですから、

出生率が回復しないことを前提にして、社会制度をどのように作るか、
という議論は、いまのところほとんどないですね。
「税制とか社会保障制度を具体的にこうすれば、これくらい人口が減っても
社会を維持できる」というたぐいの、数値まで入った議論はなされていない。
政治家やお役人は、まだ「出生率をなんとか回復させる」とか、
「出生率を回復させることで事態を解決する」、という意識なのでしょう。

彼らはいまごろになって少子化に危機意識を持つというレベルですからね。
彼らが「人口が減っても維持できる社会を構築しよう」という認識に
移行することがあるとしたら、それはさらにとうぶんさきで
すっかり手遅れになってからのことだと思います。
Posted by たんぽぽ at 2014年04月30日 22:06
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