これまでに何度かお話しています。
それをしめす統計がまたあるのでご紹介したいと思います。
子どもがふたりいる世帯の年収分布を、
母子世帯と夫婦がいる世帯とで比較したものです。
出典は総務省の『就業構造基本調査』(2012年)です。
母子世帯と夫婦がいる世帯の年収比較図(子が2人の世帯)。こうだものな。全然違う。母子世帯は平均198万,夫婦がいる世帯は平均739万。 pic.twitter.com/MiF8YcQV0K
— 舞田敏彦 (@tmaita77) 2014, 3月 31
母子家庭に低収入の世帯が多い状況が一目瞭然です。
夫婦がいる世帯と比較することで、「一般的な」家庭とくらべて
母子家庭がいかに経済的に苦しく「あたりまえの生活」が
できていないかを、はっきりしめしていると思います。
夫婦がいる世帯は夫と妻の両方の収入を合計していると思いますが、
それでも母子世帯の低収入はきわだっていると言えます。
ツイートの文章にあるように平均は母子世帯が198万円、
夫婦ががいる世帯は739万円ですから、格差が歴然としています。
グラフ中でピンクの丸がついている最頻値を見ても、
母子家庭は100万円台、夫婦がいる世帯は500万円台です。
2月26日エントリでは、「母子世帯の母親の年収分布図」をしめしました。
年収200万円未満のワーキングプアばっかりという感じで、
母子世帯の貧困の現状をはっきりと突きつけるものとなっています。
「若年女性の貧困の深刻(2)」
母子世帯の母親の年収分布図(年齢層別)。これが現実。 pic.twitter.com/B0zXq2QwB2
— 舞田敏彦 (@tmaita77) 2014, 2月 2
2012年12月21日エントリで、男女格差についてのOECDの調査報告をしめしました。
日本は子どもを持つ女性の賃金が男性の4割しかなく、
ほかのOECD加盟国とくらべて賃金格差がきわだって大きいのでした。
「OECDの男女格差の報告」

これまでのエントリ:
「若年女性の貧困の深刻(2)」
「母子家庭は怠け者発言」
「OECDの男女格差の報告」
「単身女性の貧困率」
ritiarnoと申します。
政治的立ち位置は中道を自認しています。自分のブログは長いこと更新していませんが、私の考え方の一端は反映されていると思います。
日本の保育サービスの未整備による女性の出産・育児とキャリア継続の両立の困難さが、出生率の低迷、および女性のキャリア断絶による男女の社会的格差の一面として、当記事の母子家庭の貧困に顕れているのだと思います。
私はYahoo知恵袋で少子化対策について書いていますが、保育サービスの部分だけでもフランス並みの政策を取れば、出生率だけでなく、母子家庭の貧困問題を含む男女の社会的格差のかなりの割合が解消できるのではないかと思うのですが、いかがでしょうか?
http://note.chiebukuro.yahoo.co.jp/detail/n44839
大変お手数ですが、ご返事いただければ幸いです。
わたしのブログにコメントありがとうございます。
>保育サービスの部分だけでもフランス並みの政策を取れば、
ご指摘のように保育サービスの立ち遅れが、
女性の出産・育児と仕事の継続との両立をむずかしくしているし、
出生率の低下の大きな原因となっているのは、繰り返し言われていることですね。
これが母子家庭の貧困の原因のひとつであることもたしかでしょう。
子どもの養育の負担が軽減すれば、母子家庭の貧困もある程度解決すると思います。
母子家庭の貧困に関しては、このほかにも「女は結婚して
夫に養われれば暮らしが安泰する」とされてきたことが大きいと思います。
女は結婚して仕事をやめることを社会が前提にしているので、
子どもを持つ女性の労働環境が劣悪となったのだと思います。
エントリで図を貼っているけれど、子どもを持つ女性の賃金格差はあからさまですからね。
かかる賃金格差の是正も重要なことだと言えます。
>http://note.chiebukuro.yahoo.co.jp/detail/n44839
「Yahoo」のサイトも拝見しました。
いろいろと書いていらっしゃりますね。
内容は多岐にわたっているので、コメントしたいこともいっぱいありますが、
さしあたって最初のほうに言及すると、
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社会が発展してゆくと産業も高度化し、それにに伴って
技術やスキルの高い人材が求められるようになりますから、
それに対応するために高学歴化をもたらし、高学歴化は子どもの教育費の増大と、
子どもが成長してから社会的に自立できる年齢を遅らせる効果をもたらします
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というのは大事だと思います。
少子化問題が話題になると、たまにだけど「むかしは少子化対策なんか
しなくても多産だったのに、いまの女どもは要求ばっかりして贅沢だ」
などと乱暴なことを言う人がいるのですよね。
むかしはいまよりずっと上の学校に行く子がすくなかったですし、
子どもの教育費がいまより問題なくすくなかったのですよね。
(義務教育なのに無視して、親が子どもを学校に行かせず
家の仕事をさせる、なんてざらにありましたし。)
そういう時代は技術の高い人材を、社会がそれほど多くは求めなかったので、
国民全体が低学歴でもやっていけたのですね。
上述の「乱暴なことを言う人」は、いまは技術の高い人材が
相当数いないと社会がそもそも成り立たたないので、
必然的に社会が国民全体に高い学歴を要求していること、
そしてそれが国民ひとりひとりに高い子どもの養育費を求めることに
なっていることが、理解できないのだと思います。