2014年05月03日

toujyouka016.jpg 配偶者控除廃止に反対?

配偶者控除の廃止が議論されるようになっていますが、
廃止に反対を主張する記事があるので、ご紹介します。
内容は簡単に言えば「控除の廃止による増税はケシカラン」ですよ。

「「配偶者控除廃止」議論の薄っぺらさ 「女性躍進」で得るもの、失うもの」
(はてなブックマーク)

 
配偶者控除のなにが問題かは、さんざん議論されていることです。
簡単に言えば、
1. 年収が103万円を超えると適用されなくなるので、
配偶者控除を得るために、妻がみずから低賃金労働を望むようになり、
女性の就労の抑制として働く。
2. 高所得者ほど控除額が多くなり、高所得者に有利になる。
のふたつがあります。

「配偶者控除」
「配偶者控除(2)」
「基礎控除への一本化案」

専業主婦世帯優遇かつ高所得者有利というのは、
つぎのエントリにあるグラフを見ればあきらかなことでしょう。

「自民党の子ども政策--選択と集中」

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配偶者控除は既得権益層の反発が強いので、廃止が望まれながらも、
なかなか廃止にいたらないという現状があるのでした。
そこで既得権益層の反発を防ぐために、すでに結婚している人たちの
配偶者控除はそのままにして、これから結婚する人たちに対して、
配偶者控除を廃止するというアイデアを出しているかたもいます。

「配偶者控除を廃止する一案」

また、配偶者控除は税金の負担を軽減することはたしかなので、
廃止によって経済的に苦しくなる家庭が出てくることは考えられます。
そこで一部の世帯の経済的圧迫を緩和するために、
配偶者控除を基礎控除に一本化する、という対案を考えるかたもいます。

「配偶者控除を基礎控除に一本化すべきである」

配偶者控除を廃止することは20年前から言われていて、
議論の蓄積もあり、上述のような対案もいくつか考えられています。
現在検討されている配偶者控除廃止の議論も、
これまでになされた議論の蓄積をふまえてのものです。
サンケイビズの記事は、配偶者控除廃止の議論が「薄っぺらい」と言うのですが、
なにをもってそんなことを言うのかと思います。


記事の4ページ目は共稼ぎ世帯がだんだん増えていることを、
グラフを挙げてしめしていますが、これでなにが言いたいのかと思います。
(「配偶者控除を廃止しなくても共稼ぎ世帯が増えているから、
配偶者控除と女性の就労抑制は関係ない」とでも言いたいのか?)

妻の年収が103万円よりずっと多ければ、妻が無収入になって
配偶者控除を受けるより、共稼ぎしたほうがとうぜん有利です。
配偶者控除の存在に関係なく共稼ぎする世帯も多いのですから、
なにもおかしなことではないと思います。

共稼ぎ世帯が増えたことで、配偶者控除を受けている世帯の
有利さが目立つようになり、そこに不公平を感じて配偶者控除の廃止を
求める人が増えてきた、ということだと思います。

家計に必要なことから配偶者控除を得るために、
年収を低く抑えている女性がいることもたしかでしょう。
3月28日エントリで、30代後半の有業者の未婚率をしめしました。
女性は年収が150万円未満できゅうに未婚率が下がっていて、
これが扶養内で働く既婚女性が多いことをしめしていると考えられます

「年収別未婚率の男女差」
「年収別未婚率の男女差」

「年収と未婚の関連」

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記事の5ページ目では、「家庭生活について、夫は外で働き、
妻は家庭を守るべきであるか」という内閣府の世論調査をしめしています。
若年層でも「賛成」のほうが「反対」より多いというのですが、
それでなにが言いたいのかと思います。
(「専業主婦を希望する人がこんなに多いのだから、
女性の活躍推進の必要はない」とでも言いたいのでしょうか?)

きょうびの専業主婦願望についても、議論されていることです。
女性に関しては、
1. 相手の男性に家事が期待できないから
2. 不況で女性の就職がむずかしい&妊娠出産後仕事を続けるのがむずかしい
というのが、おもな理由でしょう。
ようは仕事と家庭の両立が困難ということです。

「独身女性の専業主婦願望」
「若い女性の専業主婦願望」


この記事、データや統計を出しているわりには、
それでなにを言いたいのかわからない、というのが率直なところです。
最初の一文から「またまた国がサラリーマンへの大増税をもくろんでいる」ですし、
はじめの2ページを使って家計の負担が増えることを書いています。
結局「増税けしからん」程度の内容でしかないのだと思います。

あるいは「女の権利のために増税されるなど気に食わん」くらいの
ミソジニー的反発も、多少あるのかもしれないです。
そして配偶者控除が高所得者に有利であることはなにも語っていないです。
「薄っぺらい」のはこの記事のほうだと思いますよ。

それでも控除の廃止によって増税になることはたしかです。
民主党政権は配偶者控除を廃止した財源を子ども手当てに回すことを
考えていましたが、自民党は子ども手当てを潰しましたから、
増税による負担増をどう埋め合わせるか、という問題は出て来ます。
「増税反対」という立場からの配偶者控除廃止の反対は、
これからも出てくることが予想されます。

記事の3ページ目は、小泉政権のブレーンだった竹中平蔵氏や
経団連次期会長の榊原定征氏のコメントを引用しています。
「配偶者控除の廃止は新自由主義者や財界の利益のための政策」と
印象づけているとおぼしきところが「なんとも」ですよ。

posted by たんぽぽ at 15:26 | Comment(0) | TrackBack(0) | 家族・ジェンダー | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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